復興・防災の実践をとおしてコミュニティ政策の未来を描く
コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科 原田 峻准教授(大学案内2027)
2026/05/07
研究活動と教授陣
OVERVIEW
コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科の原田 峻准教授に、ご自身の研究テーマについて伺いました。
現代日本が抱える課題の解決を目指して
頻発する自然災害、社会的格差の拡大、そして地域のつながりの希薄化—。これらは現代日本が直面する深刻かつ複雑な課題です。大規模災害は地域社会の脆弱性を浮き彫りにする一方で、NPOやボランティアによる新たな支援活動を芽生えさせてきました。
こうした社会の現場で生まれる動きに学び、研究・実践・教育という三つの側面から解決の糸口を探っているのが、コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科の原田峻准教授です。専門は社会運動論と地域社会学。市民による政策提言のプロセスから、被災者支援や地域防災まで、幅広いテーマに取り組んでいます。
こうした社会の現場で生まれる動きに学び、研究・実践・教育という三つの側面から解決の糸口を探っているのが、コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科の原田峻准教授です。専門は社会運動論と地域社会学。市民による政策提言のプロセスから、被災者支援や地域防災まで、幅広いテーマに取り組んでいます。
社会運動と政策をつなぐ「ロビイング」の研究
原田先生の研究の柱の一つは、特定非営利活動促進法(NPO法)の制定・改正をめぐる市民の政治参加です。1998年に制定されたNPO法は、市民団体が福祉・教育・まちづくり・環境など多様な分野で法人格を得やすくする画期的な法律でした。その背後には、市民団体が時間をかけて積み上げた粘り強いロビイング(政策提言、アドボカシー活動)がありました。
原田先生は、博士課程時代からこのNPO法をめぐる政策過程と社会運動の相互作用を、政治学と社会学の両面から分析。数十名へのインタビューを行うほか、当時の議事録・資料を丹念に調べ、20年以上にわたる運動の軌跡を描き出しました。その成果は著書『ロビイングの政治社会学—NPO法制定・改正をめぐる政策過程と社会運動』(有斐閣)にまとめられています。「法律は無機質な条文の集まりに見えますが、その背後には生身の市民や政治家が織りなす人間のドラマがあります」と原田先生は語ります。こうした視点は、学生にとっても「社会を動かす仕組み」を具体的に理解する貴重な学びにつながっています。
原田先生は、博士課程時代からこのNPO法をめぐる政策過程と社会運動の相互作用を、政治学と社会学の両面から分析。数十名へのインタビューを行うほか、当時の議事録・資料を丹念に調べ、20年以上にわたる運動の軌跡を描き出しました。その成果は著書『ロビイングの政治社会学—NPO法制定・改正をめぐる政策過程と社会運動』(有斐閣)にまとめられています。「法律は無機質な条文の集まりに見えますが、その背後には生身の市民や政治家が織りなす人間のドラマがあります」と原田先生は語ります。こうした視点は、学生にとっても「社会を動かす仕組み」を具体的に理解する貴重な学びにつながっています。
災害と「災間」のコミュニティを見つめて
もう一つの柱は、2011年の東日本大震災を契機に始まった広域避難者支援の研究です。震災と原発事故により、被災3県から全国へ6万人以上が避難。避難生活の長期化に伴い、多くの人々が「帰りたいけれど帰れない」状況に置かれました。
原田先生は、さいたまスーパーアリーナ避難所でのボランティア経験をきっかけに埼玉県での避難者支援に参加。国・自治体・NPOなど多様な主体の動きを時間軸で追い、災害時と平時をまたいだローカルガバナンスを分析しました。この成果は『避難と支援—埼玉県における広域避難者支援のローカルガバナンス』(西城戸誠との共著/新泉社)として出版され、現在も避難者支援NPOの理事として活動を続けています。
「災害と災害の間=“災間”にあるコミュニティの力に光を当てることで、被災地と避難先の双方におけるつながりづくりを考えていきたい」と原田先生は語ります。こうした実践は、単なる研究にとどまらず、当事者と寄り添う姿勢そのものを学生に示す「生きた教育」にもなっています。
原田先生は、さいたまスーパーアリーナ避難所でのボランティア経験をきっかけに埼玉県での避難者支援に参加。国・自治体・NPOなど多様な主体の動きを時間軸で追い、災害時と平時をまたいだローカルガバナンスを分析しました。この成果は『避難と支援—埼玉県における広域避難者支援のローカルガバナンス』(西城戸誠との共著/新泉社)として出版され、現在も避難者支援NPOの理事として活動を続けています。
「災害と災害の間=“災間”にあるコミュニティの力に光を当てることで、被災地と避難先の双方におけるつながりづくりを考えていきたい」と原田先生は語ります。こうした実践は、単なる研究にとどまらず、当事者と寄り添う姿勢そのものを学生に示す「生きた教育」にもなっています。
学びを地域へ還元する防災活動
教育活動においても、災害は欠かせないテーマです。2023年度には「埼玉県知事との意見交換会」にゼミ生と参加し、「若い世代の防災意識向上」をテーマに提案。学生たちは防災イベントの企画やLINEを使った啓発案を考案し、その一部が翌年度、新座キャンパスでの公開防災イベントとして実現しました。
さらに2025年度には、新座市の公開講座枠を活用し、小学生向け防災体験教室「目指せ!防災マスター」を開催。地域の自主防災会・町内会と合同で「防災まちあるき」や机上訓練も実施しています。
こうした取り組みを通じて、学生が地域と協働しながら「自分たちの企画が社会に役立つ」という実感を得ることができます。「学生が県や市と協働し、企画立案から実施、成果のフィードバックまで経験することは、学びを地域に還元する好例です」と原田先生は強調します。防災教育をとおして地域の子どもから大人まで巻き込み、「次世代につながる学びの循環」を育んでいるのです。
さらに2025年度には、新座市の公開講座枠を活用し、小学生向け防災体験教室「目指せ!防災マスター」を開催。地域の自主防災会・町内会と合同で「防災まちあるき」や机上訓練も実施しています。
こうした取り組みを通じて、学生が地域と協働しながら「自分たちの企画が社会に役立つ」という実感を得ることができます。「学生が県や市と協働し、企画立案から実施、成果のフィードバックまで経験することは、学びを地域に還元する好例です」と原田先生は強調します。防災教育をとおして地域の子どもから大人まで巻き込み、「次世代につながる学びの循環」を育んでいるのです。
コミュニティ政策学科での研究と学び
「研究は計画通りに一直線に進むものではありません。調査を重ねる中でテーマを変えたり、仮説を修正したり。その繰り返しの中で出合う人や対話、議論が私を支えてきました」
原田先生は、社会問題に直面した主体の時間的展開や、組織・組織間の連携に注目し、「社会問題→運動→政策」というダイナミックな流れを描き続けています。
新たに採択された科研費研究では、2000年代から2020年代にかけての社会運動を俯瞰的に分析。全国の市民団体が提出した要望書を収集し、現代日本の社会運動の地域・分野ごとの分布を描き出すことを目指します。今後は海外の研究者との交流や国際発信にも力を注いでいくといいます。
コミュニティ政策学科は、社会学・政治学・経済学・地理学・公共哲学など、幅広い分野の教員が集う環境が魅力です。「防災や貧困、過疎化、差別、困難を抱える若者・子ども、多文化共生など、ゼミごとに地域課題に実際に取り組めるのも大きな特色です。まちづくりやNPO、SDGsに関心のある高校生には最適な場だと思います」と語ります。
「災害は地域の弱さを露わにすると同時に、助け合いの力を引き出す。学生とともに地域のつながりを育み、その力を社会に広げていきたい」—これが原田先生の変わらぬビジョンです。
原田先生は、社会問題に直面した主体の時間的展開や、組織・組織間の連携に注目し、「社会問題→運動→政策」というダイナミックな流れを描き続けています。
新たに採択された科研費研究では、2000年代から2020年代にかけての社会運動を俯瞰的に分析。全国の市民団体が提出した要望書を収集し、現代日本の社会運動の地域・分野ごとの分布を描き出すことを目指します。今後は海外の研究者との交流や国際発信にも力を注いでいくといいます。
コミュニティ政策学科は、社会学・政治学・経済学・地理学・公共哲学など、幅広い分野の教員が集う環境が魅力です。「防災や貧困、過疎化、差別、困難を抱える若者・子ども、多文化共生など、ゼミごとに地域課題に実際に取り組めるのも大きな特色です。まちづくりやNPO、SDGsに関心のある高校生には最適な場だと思います」と語ります。
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原田 峻
2007年東京大学文学部卒業。同大大学院人文社会系研究科博士課程満期退学。博士(社会学)。本学助教などを経て、2021年より現職。NPO法人埼玉広域避難者支援センター理事も務める。