「学び続ける教師のためのワークショップ」開催レポート

久々宮 茉衣 さん(文学部教育学科 4年次)

2019/02/05

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OVERVIEW

2018年12月27日(木)に、文学部教育学科主催の「いい授業がしたい!学び続ける教師のためのワークショップ」が行われました。現場の小学校、中学校、高校の教員に加え、学生、教員となった卒業生、他大学の研究者も参加くださり、盛会となりました。若手の小学校教員とかつての指導教員の鼎談からなる第1部、日本史討論授業で知られる加藤公明氏の模擬授業からなる第2部の模様を、ワークショップに参加した在学生、久々宮茉衣さん(教育学科4年次)がレポートしてくださいました。

左から、渡辺准教授、津留﨑氏、土田氏

文学部教育学科主催の「いい授業がしたい!学び続ける教師のためのワークショップ」に参加しました。教育学科の渡辺哲男先生と和田悠先生が中心となり、学び続ける教師として何ができるかを考える良い機会となりました。
第1部では、渡辺先生と横浜市公立小学校教員の土田大貴さん、東京都公立小学校教員の津留﨑勇希さんの三人による鼎談を聞きました。土田さんと津留﨑さんは渡辺先生の2013年度卒論ゼミの卒業生であり、鼎談を聞いていて三人が信頼し合っている様子がうかがえました。
テーマは「卒業後も学び続けるための読書会」というものでした。月に1回読書会を開催しているそうですが、津留﨑さんが教師になってから渡辺先生に「自分は本を読んで共有したいのに現場で本を読んでいる先生が少ない」と相談したことがきっかけで始まったそうです。本を読むだけでなく日々の現場での悩みを話すこともあり、学校以外で学んだり落ち着いたりできる場となっているようでした。
3人が行っている読書会では、研究しつつ現場の実践をしているモデルとして東井義雄の『村を育てる学力』(明治図書、1957)や、一見教育と関係なさそうな、石井朋彦『自分を捨てる仕事術』(WAVE出版、2016)などを読んだそうです。そして、読書会で読んだ本や交わした会話が、渡辺先生の研究関心や現場の二人の実践につながっていることから、師弟間の「学びの相互作用」とでも呼べるものを感じました。
この読書会は、一人で読書をするよりも少人数で読んだ本について語り合うことで、教育に関係ないような事柄でも教育につながり自分の糧となるという魅力があると思います。

加藤公明氏

第2部では、元東京学芸大学特任教授で元千葉県公立高校教員の加藤公明先生による、日本史の模擬授業が行われました。足利義満について学ぶという内容でしたが、足利義満の経歴を教師からの伝達によって知るというような授業ではありませんでした。
まず渡されたのは義満の肖像画の写真で、肖像画の中から「変だな」と思うことを生徒役が二人組でさがします。そしてその「変だな」をクラス全体で解明していくことにより、足利義満がどのような人物で何を企んでいたのかなどを学んでいきました。
実際の模擬授業では、「将軍なのに僧侶みたいな格好で変だな」や「将軍なのに刀を持っていなくて変だな」というような意見が出て、生徒役の人はとても盛り上がっていました。加藤先生はあらかじめ用意していた資料を活用しながら、生徒役が出した「変だな」という謎を一つ一つ丁寧に教えてくださいました。謎が解明されていく度におもしろいという気持ちと、もっと知りたいという気持ちが沸き上がり、気づいたら夢中になって授業に参加していました。実際の小学二年生の子どもも参加していましたが、その子もとても楽しそうでした。
教師は児童や生徒に、学びに対するきっかけを与えたり好奇心をかきたてたりして、児童や生徒が互いに学び合うことで思考を深めていくことができるようなコーディネーターであるべきだと感じました。そのような授業を行うためにはどうしたらよいかを練り続ける、それが「教師が学び続ける」ということなのではないかと思います。
今回のワークショップでは多くの教員をしている方が参加なさっていました。大学のwebページの宣伝を見て関西から来たという方もおられました。会の最後に、ワークショップにいらした方の中から数名感想を聞いたところ、どの方も授業づくりに悩み、そしてその悩みを克服するために学び続けているようでした。
私は教育学科で、小学校教員になるために必要な授業づくりや指導方法、子どもとの関わり方などを学んできました。しかし大学で学んだことが、学校現場でどのように活用することができるのかという不安があります。大学の模擬授業では、同じ学科の仲間を相手に授業を行っていましたが、実際に教えるのは子ども達です。そんな不安と向き合わせてくれたのがこのワークショップでした。
ワークショップに参加してみて、まずこのように教師になってからも、分野や土地を超えて学び合う場があるということに喜びを感じました。そして教師として学び続けることによって、子どもにより良い指導や授業などの支援をすることができるのだと思いました。実際の現場で働く教師の多くは、保護者対応や成績処理などの多忙さから、学び続けることを断念してしまう傾向にあると思います。そういった状況の中で、教師として子ども達に自分が何を与えることができるのかを、常に意識して実践していきたいです。そして大学を卒業してからも「学び続ける教師」でありたいと強く思いました。

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