「ACEプログラム」総括ワークショップ開催報告——大学の世界展開力強化事業キャンパスアジアプラス採択
立教大学
2026/08/21
RIKKYO GLOBAL
OVERVIEW
日中韓政府の枠組みで展開されている「大学の世界展開力強化事業 キャンパスアジアプラス」に採択された「ACEプログラム」(2021年度〜)を総括するワークショップが2月13日、シンガポール国立大学で開催されました。26年3月をもって終了する本プログラムの5年間の取り組みを振り返り、高等教育機関の在り方や人の学び方を改めて考え直す時間となりました。
パネルディスカッションの様子
最後に、シンガポール国立大学NUSカレッジのダニエル・P・S・ゴー副学部長を司会として、北京大学元培学院ソン・フェイユー副院長、ソウル大学校自由専攻学部オ・ドユン助教、ブラウン大学社会学部マイケル・ケネディ教授、チュラロンコン大学文学部パスリー・ルースクン准教授、本学国際化推進機構長で事業責任者の松井秀征教授によるパネルディスカッションを実施。テクノロジーや社会の変容の加速する現代においてリベラルアーツがどのような役割を持つのか、次のような意味付けと言語化が行われました。
学生パネルディスカッションのメンバーとNUSカレッジのチー・ケン・リー上級講師(左)
ワークショップ参加メンバーによる集合写真
パネルディスカッションでのコメント概要
チュラロンコン大学(タイ)
ルースクン氏
「多角的な視点」「ストーリーテリング」の重要性を強調し、伝統的な宇宙観をデジタル技術で再構築するプロジェクトを紹介。人文科学とテクノロジーを融合させ、新たな「ソフトパワー」を創出する現代的なリベラルアーツの可能性を提示しました。
立教大学(日本)
松井
ACEプログラム独自の「C⁶ubic Curriculum」で育まれるスキルを「世界を認識すること」と「世界に働きかけること」の統合であると定義。AIが生成する事実に対し、人間が倫理的なフィルターを通し、自らの価値観に基づいて世界に関与していく力こそが、現代における教養の核心であると位置付けました。
北京大学(中国)
ソン氏
荘子の「無用の用」を引用し、一見「無用」に見える教育こそが人間の深みを養う最も有用な基盤になると説きました。儒教の「君子不器(君子は道具であってはならない)」という概念を援用し、大学ランキングや生産性といった「有用性の罠」に抗い、多面的な知性を持つ「君子」を育てるという、教養教育の理想を追求する姿勢を示しました。
ソウル大学校(韓国)
オ氏
学生が自ら専攻を設計する制度の有効性を報告。既存の学部の壁を打破し、大学という安全な環境の中で「失敗する権利」を保障することで、変化の激しい社会を生き抜くためのレジリエンス(回復力)を養う文化の構築を目指していると述べました。
ブラウン大学(米国)
ケネディ氏
リベラルアーツを「世代間の学び」として再構築すべきだと提言。不確実なAI時代において、内面を見つめる「識別力」という知恵を養う重要性を説きました。深刻な課題に対し、あえて「ユーモア」を持って挑む創造性こそが、困難を乗り越える鍵となると述べました。
シンガポール国立大学(シンガポール)
ゴー氏(司会)
全ての意見を総括し、大学を単なる「解決策を探す砂場」から、予期せぬ発見や自己変容が起こる豊かな「遊び場」へ進化させるビジョンを掲げました。本事業は、この「遊び」を通じた深い学びの場を、集団的な努力で持続させる使命を担っているとし、ワークショップと5年間続いたACEプログラム全体を締めくくりました。
※本記事は季刊「立教」276号(2026年4月発行)をもとに再構成したものです。バックナンバーの購入や定期購読のお申し込みはこちら
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。
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