乱れ格子(新座チャペル)

チャペルの豆知識

2015/01/01

キリスト教とチャペル

OVERVIEW

チャペルにまつわる豆知識をご紹介します。

新座チャペルの正面を見ると、大きな十字架が取り付けられており、その回りにたくさんの格子があるのにお気づきのことと思います。これが「乱れ格子」です。

私も教会牧師や学校のチャプレンになって今年で31年になりますけれども、聖堂やチャペルの正面にある十字架の回りはクロスが張られているのがほとんどであり、格子が取り付けられている場合でも同じ形のものがならんでいて、立教新座のチャペル以外に乱れ格子が取り付けられているのを見たことがありません。このチャペルの大きな特徴の一つと言ってよいでしょう。
乱れ格子は、人間社会の様々な関係、親子、兄弟、等々を表現したものとされており、ステンドグラス同様アントニン・レーモンド氏の設計によるものです。すなわちこれがチャペル正面に取り付けられている意味は、この学校で学ぶ者、チャペルに集う者一人一人を表しているということになります。

人間は一人一人異なっています。乱れ格子のように、形に例えれば、縦長の人、横長の人、正方形の人、三角形の人がいて、どこか一つの格子がなくなれば全体が成り立たないように、私たちの集団は一人一人がなくてはならない大切な存在であるのを表しているのです。そしてこの集団を、十字架が結び合わせている、これが新座チャペルの乱れ格子が表している意味なのです。

これはチャペルだけの精神ではなく立教全体のことでありますので、昨年春、立教新座中学校・高等学校新本館が完成した際、この乱れ格子が本館1階のエントランスにも取り付けられ、中高で学ぶ者にもその重要性を訴えかけています。

昨今、海外のテロリスト活動等により、宗教に対して警戒心を持つ人が増えていると言われます。確かに宗教のもとに長い世界の歴史において戦いや争いがあったのは事実です。しかし、そもそも宗教は戦うのが目的ではなく、平和を説き伝えるのが目的です。言い換えれば、十人十色の豊かな人間性を尊重し、その人が最もその人らしく存在し生きることができるのを追い求めていくのです。それを否定し、洗脳するかのように豊かな人間性を奪い去り、同じ価値観や同じ考えを持たせるようにしていくのは、宗教として決してあってはならないことです。

宗教はそもそも豊かさの中に存在しています。宗教の名前を聞き、昨今の出来事を短絡的に結びつけて、あの宗教は危険だ、あの宗教は理解できないと簡単に答えを出すのではなく、宗教の豊かさを見いだしてほしいと願います。

立教の建学の精神であるキリスト教もまた、二千年の歴史の中でそのことを証してきました。その具体的内容が、乱れ格子など目に見える形で私たちに語り続けているのです。


立教新座中学校・高等学校チャプレン 鈴木 伸明


〔『チャペルニュース』第582号 2015年4・5月号/連載「チャペルのタカラモノご紹介します!」より〕

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