「古くて、新しい」栃窪(とちくぼ)での暮らし
理学部数学科4年次 加藤 優幸
2015/07/08
立教生のキャンパスライフ
OVERVIEW
理学部数学科4年次 加藤 優幸さんは、立教サービスラーニング科目で新潟県南魚沼市にある栃窪に行く「雪掘りと農村交流を通して持続可能な社会を考える」を履修しました。
私は、2014年度に立教大学で初めて開講された立教サービスラーニング科目の一つである「RSL─ 2『雪掘りと農村交流を通して持続可能な社会を考える』」を受講しました。この科目は先に述べた通り、過去の履修者が「0」であり、「履修することで、どのような結果が現れるか」が、学生はもちろん教員ですら分からない、いわば「未開の地」の科目でした。そのような科目をなぜ私は履修しようと考えたのか、そしてこの科目で何を学び・考え・最終的にどのように変化していったのかをお話します。
都心ではできない体験
身長を超える積雪の中で
履修するきっかけは単純でした。私はそれまでの3年間、同じ理学部の学生との交流はありましたが、サークルなどに入っていなかったため他学部の学生との接点が全くありませんでした。「このまま他学部との接点を持たず学生生活を終えてしまうのか」と後悔していたとき、3年次の夏休み前のある授業で「RSL─ 2」の案内が配布され、「これが最後のチャンスなのかもしれない」と思い履修を決意しました。その思いが届いたのか、履修者9名は私以外が文系学部、さらに北は自分の北海道、南は鹿児島県、さらには上海出身など生まれ育った環境がバラバラな人たちが集まり、新潟県南魚沼市にある栃窪に行くことが決まりました。
栃窪では高齢の方の家の周りの雪掘り(「かく」だけでは処理できないので掘り進んでいく)、村の人々との交流(小学校訪問や自宅訪問)、納豆作りや豆腐作り、まだ誰も足を踏み入れてない雪の上を散策するなど、都心ではできない体験をしました。そのような具体的な経験をするだけで完結させるのではなく、その経験から感じたことや学ぶべきことは何かを毎晩学生同士でディスカッションしました。「持続可能な社会」を創り出すためには「現状維持のため」ではなく「変化し続けるため」に考え行動するのが必要であること、互いの個性を認め合い、得意なことは自分のプライドとして他者を支え、不得意なことは卑下することなく他人に支えてもらうことで自分の生きがいを確立できること、さらに「豊かさ」の中枢に必ずしも「お金」があるわけではないことなど座学だけでは学べなかったこと・気が付けなかったことを学生同士が思いのままに発表しました。都心での生活において、効率化・利便化・合理化を求められるがゆえに、プロセスよりも結果が重視されることが多いが、プロセスを大切にする・手間をかけることがなければリスクを防ぐことは言うまでもなく、実際にリスクが生じても迅速かつ柔軟な対応ができなくなってしまう。このように栃窪に根付いている「古くからある」暮らしには現在の日本社会が抱える問題を解決する「新しい」暮らしの在り方を気付かせるヒントがありました。
栃窪では高齢の方の家の周りの雪掘り(「かく」だけでは処理できないので掘り進んでいく)、村の人々との交流(小学校訪問や自宅訪問)、納豆作りや豆腐作り、まだ誰も足を踏み入れてない雪の上を散策するなど、都心ではできない体験をしました。そのような具体的な経験をするだけで完結させるのではなく、その経験から感じたことや学ぶべきことは何かを毎晩学生同士でディスカッションしました。「持続可能な社会」を創り出すためには「現状維持のため」ではなく「変化し続けるため」に考え行動するのが必要であること、互いの個性を認め合い、得意なことは自分のプライドとして他者を支え、不得意なことは卑下することなく他人に支えてもらうことで自分の生きがいを確立できること、さらに「豊かさ」の中枢に必ずしも「お金」があるわけではないことなど座学だけでは学べなかったこと・気が付けなかったことを学生同士が思いのままに発表しました。都心での生活において、効率化・利便化・合理化を求められるがゆえに、プロセスよりも結果が重視されることが多いが、プロセスを大切にする・手間をかけることがなければリスクを防ぐことは言うまでもなく、実際にリスクが生じても迅速かつ柔軟な対応ができなくなってしまう。このように栃窪に根付いている「古くからある」暮らしには現在の日本社会が抱える問題を解決する「新しい」暮らしの在り方を気付かせるヒントがありました。
RSL─ 2受講生の皆と
最後に、「Time is money」という慣用句がありますが、今の私の中では「Time is time」を大切にする、つまり「時間」を「お金」として換算するのではなく、非効率かつ不利益なものであっても自分自身がゆっくりではあるが着実に成長・変化ができるために時間は存在すると捉えています。栃窪で過ごした4日間という「時間」は私の型にはまった考え方を壊し、新たな視点を与えてくれる何物にも代えることのできないものとなりました。
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご注意ください。
※本記事は季刊「立教」233号 (2015年6月発行)をもとに再構成したものです。定期購読のお申し込みはこちら
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