3人の主将がフィールドでつなぐ1部への夢

ホッケー部男子

2018/06/15

アスリート&スポーツ

OVERVIEW

スティックを細やかに操り、ボールをコントロールしてゴールに向かう。ボールスピードは時速150キロ以上になることもあり、身体に当たれば、大きなあざ。流血も珍しくない。にもかかわらず、防具はすねあてのみ。そんな過酷な状況に身を置き、瞬時の判断力が求められるのが、グランドホッケーだ。今回は、3季連続で入替戦出場に導いた主将たちに迫る。

挑戦状 ─青柳から出口へ─

2017関東学生春季リーグ2部優勝の瞬間

2016年秋季リーグ。ホッケー部男子は関東大学ホッケーリーグ2部2位にまで昇り詰め、数十年ぶりに1部入替戦への挑戦権を手に入れた。長年、2部の下位に低迷。3部に在籍していたこともある。歴史は大きく動くかに思えた。しかし、1部の壁は厚く敗北を喫す。悔しさが残るも、当時の主将・青柳(2017年3月法卒)を筆頭とするチームをOBは「ここ最近で一番強い」と絶賛した。
1部への可能性を築いた代。偉業を成し遂げた主将は言った。「超えられるものなら、超えてみろ」。後輩に挑戦状を残し、引退。時を待たずして、新チームが始動した。
新主将の名は、出口(2018年3月観卒)。青柳たちを「超える気持ち」を持ちつつも、主力の引退による戦力低下を恐れた。しかし、チームは春季リーグで19年ぶりに2部優勝、秋には2部2位に輝く。
春・秋ともに1部に挑むことができた。二度のチャンスをつかめた理由は何か。挙がるのは、新戦略と出口のスタンスだ。

出口たちは対戦相手によって戦術を柔軟に変えることで、勝利を確実にした。リーグ戦は、一戦ごとに2週間以上期間が空く。その間の練習では、他校に「やられた」戦術を取り込んだ。いままでにない新しい試みだった。この効果は、試合を重ねるごとに現われていく。出口の狙いは当たった。
同時に出口は、選手の力に「平等」のスタンスで向き合った。学年にかかわらず参戦できるようチャンスを設ける。スタメンやベンチ枠を全員に意識させ競争させた。そうした方針は選手の士気を向上。チームで勝つという理想像に近づいた。2つの要因は織り交ざり、快挙を遂げる強いチームに変貌した。
2017年11月、リーグ戦を終えて出口は言い切った。「(先輩たちを)超えたぞ」。やっと肩の荷が下りた。今度は出口が言葉を残す。「入替戦への道を止めないように」。次世代に夢を託し、また偉大なプレーヤーが部を去った。

後を継ぐ者 ─出口から中田へ─

ボールを奪われまいと格闘する谷村(2018年3月営卒)

2018年2月。オフが明け、新体制が始動。新主将の中田(文4)は、1年次生から試合に出場してきたエース。「彼なしには成り立たない」と、信頼は絶大だ。目指すのは「姿勢で引っ張っていく」主将。プレーをはじめ、すべてにおいてチームの手本になるよう身を引き締める。
現在、4年次生は中田を含め4人。ホッケーは11人で構成される競技。後輩の力なしには戦えない。中田は「一人一人がチームを引っ張る存在だと自覚してほしい」と望む。今季から、クオーター制が導入され、試合時間が大きく変わる。春季リーグに備え、練習試合を重ねて、時間の感覚を身体に刻みつける。
2人の主将が敷いた1部への挑戦ロード。中田が率いる新チームはフィールドをどう駆けるのか。先人が辿り着けなかった夢の地「1部」に向けて、挑戦が始まる。
「立教スポーツ」 編集部 から
立教大学体育会の「いま」を特集するこのコーナーでは、普段「立教スポーツ」紙面ではあまり取り上げる機会のない各部の裏側や、選手個人に対するインタビューなどを記者が紹介していきます。
「立教スポーツ」編集部のWebサイト〔http://www2.rikkyo.ac.jp/sgrp/spsports/〕では、各部の戦評や選手・チームへの取材記事など、さまざまな情報を掲載しています。ぜひご覧ください。

「立教スポーツ」編集部
経済学部経済政策学科3年次 小林 桂子

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