立教の自由な風に背中を押されアナウンサーとして唯一無二の道を突き進む

TBSテレビアナウンサー 南波 雅俊 さん

2026/07/24

立教卒業生のWork & Life

OVERVIEW

スポーツ中継で熱い実況を届け、『Nスタ』や『ひるおび』では真摯(しんし)にニュースを伝え、『ラヴィット!』では全力でB’zを熱唱する。そんな幅広い魅力で視聴者の心をつかんでいるのが、TBSテレビアナウンサーの南波雅俊さんだ。NHKから転職後、バラエティー番組で披露したB’zのモノマネが話題を呼び、「好きな男性アナウンサーランキング」(オリコン調べ)で3年連続トップ5入り。2025年には1位に輝いた。

「NHK時代に知名度があったわけでもなく、帯番組の司会をしているわけでもない自分が、実況、報道、バラエティー、時に歌唱(笑)をしながら独自のキャリアを歩んできた中で、それを視聴者の皆さんに評価をしていただけたことは、率直にうれしいです。TBSにはスポーツ実況枠で入社したので、今の状況は想像もしていませんでした」

そう話す南波さんだが、ジャンルの枠を越えて活躍する今も、実況への思いは強い。これまでWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)や世界陸上(世界陸上競技選手権大会)など数々の大会を担当。ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックでは、自身初となる五輪実況を務め※1、その確かなスキルが改めて注目された。

「冬の競技自体も初めてだったので、できる限り現場に足を運んで取材し、一から勉強しました。プレッシャーは当然大きかったですが、培ってきたものをぶつけることはできたかなと。一生忘れられない大会になりました」

担当競技の一つが、スピードスケート女子団体パシュート。メダルを懸けた3位決定戦の氷上には、立教大学体育会スケート部の野明花菜さん※2(スポーツウエルネス学部スポーツウエルネス学科3年次・当時)の姿もあった。

「野明さんには取材でお会いした際に『私も立教出身なんです』と伝えていて、試合中は『頑張れ!』と祈るような気持ちで実況していました。世界最高峰の舞台で、母校の後輩がメダルを獲得する瞬間を伝えられたことは、本当に感慨深くて……アナウンサーでありながら、ちょっと言葉では言い表せない気持ちになりましたね」


※1 NHKと一般社団法人日本民間放送連盟で構成するジャパンコンソーシアムの一員として、スピードスケートを中心に実況を担当。
※2 野明花菜さん:チーム最年少でスピードスケート日本代表に選出。在学生による冬季オリンピックメダル獲得は本学初。

五輪初実況となったミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック。解説は髙木菜那さん(右)

3月、侍ジャパン強化試合の実況を担当。解説は槙原寛己さん(右)、鳥谷敬さん(中)

野球への未練に導かれスポーツを「伝える」道へ

南波さん自身も、かつては白球を追う野球少年だった。高校では強豪校で投手を務め、同じ野球部の先輩たちの後を追うように立教大学の門をくぐる。だが、「浪人をして体力が落ちた自分が、立教野球部のレベルについていける自信は正直なくて」。悩んだ末に入部は断念し、友人に誘われてラクロス部に所属。心許せる仲間には出会えたものの、胸の奥には野球への情熱がくすぶり続けていた。

「本当は、神宮のマウンドに立ちたかった——その心残りがあったからこそ、次第に『別の形で野球に関わりたい』という思いが強くなっていったのです」

法学部の学びで思い出深いのは、早川吉尚教授※3による国際ビジネス法のゼミ。

「自らテーマを決め、調べ、発表する自由度の高いゼミでした。実はスポーツ実況も、何を取材してどう準備するかは全て個人の裁量に任されています。そうしたアプローチの土台は、確実にゼミで鍛えられたものですね」

一方で、すでに学生時代から現在につながる多彩な一面ものぞかせていた南波さん。B’z歌唱を初披露したのは高校の文化祭で、大学時代には友人の勧めでモノマネ番組に出演。アルバイトでモノマネのステージにも立っていたという。

そして、もう一つのアルバイト先が進路を決定づけることになる。それが、立教の先輩の紹介で働き始めたラジオ局だった。

「局内には日々野球中継が流れ、アナウンサーと接する機会も多くて。野球関連の仕事に就きたいという気持ちが大きくなっていく中で、『こういう道もいいな』と思うようになりました」

半分練習のつもりでテレビ局の採用試験を受けたところ、TBSでは最終選考の一歩手前まで進むことができた。可能性があるなら本気で目指してみよう——。そう奮起した南波さんは、そこからアナウンススクールに通い、NHKから内定を勝ち取った。

※3 法学部国際ビジネス法学科教授。

多方面で活躍する現在地と変わらぬ実況への情熱

NHK入局後は岡山、大分、広島に赴任。1年目に初めて実況を担当したのは、高校野球の地方大会だった。

「もう心から楽しくて。夢中で野球に打ち込んでいた時の充実感、高揚感がよみがえってきたのです」

以降、スポーツ中継の道を突き詰めるべく研さんを続けた南波さんは、入社8年目を迎えたある日、TBSがキャリア採用を行っていることを知る。

「TBSは横浜DeNAベイスターズのホームゲームを全試合中継していますし、WBC※4、WBSCプレミア12※5といった野球の国際大会で実況できるチャンスもある。NHKには育ててもらった恩があるので悩みましたが、今後の人生を考えた時に出身地の東京を拠点に働きたいという思いもあり、挑戦を決めました」

※4 TBSは2023年大会まで継続してWBCの放映権を獲得。
※5 WBSCプレミア12:4年に一度開催される、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)主催の国際大会。

日々鍛錬し、準備を徹底して試合に臨む。実況席は、アナウンサーにとっても勝負の場。

スポーツ実況での採用だったが、入社後は求められればニュースもバラエティーも全力で取り組み、全方位で活躍する独自のポジションを確立。念願かなって担当した2023年のWBC、2025年の世界陸上で経験した、さまざまな反省や手ごたえはミラノ・コルティナ五輪に確実に生きたという。

「実況には正確さや冷静さが不可欠ですが、同時に興奮がなければ伝わらない。また、試合について自分がしゃべるだけでなく、解説者にいかに話していただくかも大事です。大舞台を経験してきたことで、そうしたバランス感覚がようやくつかめてきたように思います」

さらに南波さんは、「おこがましいかもしれませんが、実況にもアスリートのような側面があるんです」と続ける。

「日々発声練習や実況のトレーニングを行い、本番のマイクの前に座る。台本のない試合を前に、一瞬の動きを逃さずに伝える。フィールドの選手たちとはまた違う『しゃべりのプレーヤー』としての真剣勝負がそこにはあります。その結果を左右するのが、やはり事前の取材や資料づくり。諦めず、逃げ出さずに最後まで準備すれば、それが必ず自分を助けてくれるんですよ」
次の目標は、2年後のロサンゼルスオリンピックで競技種目に復活する野球の中継を担当すること。多方面で活躍する多忙な毎日が続くが、「動いている方が好きですね。目標を追いかけるのは楽しいので」と笑みを浮かべる。

「とはいえ、なんとか乗り切れているのは、勉強や部活、アルバイトに明け暮れる怒涛どとうの日々を送っていた大学時代のおかげかもしれません。思えばあの頃、立教の自由な校風に背中を押されて思うままに挑戦した経験が、思いがけない形で今につながっています。何が将来に役立つかは本当に分からないので、学生の皆さんもぜひいろいろなチャレンジをしてほしいですね」

立教大学時代。右が南波さん

プロフィール

PROFILE

南波 雅俊

TBSテレビ 総合編成本部アナウンスセンター
2012年 法学部政治学科卒業

東京都出身。國學院大學久我山高等学校を経て、立教大学に入学。2012年、アナウンサーとしてNHKに入局して、岡山・大分・広島放送局に赴任。2020年10月にTBSテレビに転職。現在はスポーツ実況をはじめ、『Nスタ』『ひるおび』『ラヴィット!』『SASUKE』などを担当。特技はB’zのモノマネ。趣味は料理、食べ歩き、ジム通い、バス釣り。

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