客室乗務員、英語講師を経て作家に。独自の筆致で酒場の空気を切り取る

作家 武塙 麻衣子さん

2026/05/25

立教卒業生のWork & Life

OVERVIEW

文学部英米文学科の卒業生で、作家の武塙麻衣子さんにお話を伺いました。

私の母は立教大学文学部英米文学科を卒業し、客室乗務員になりました。「学生生活も仕事もとても楽しかった」という話を聞いて育った私は、疑うことなく同じ道を歩むようになります。大学では英語上級者向けの「インテンシブコース」を選択し、英語で社会問題を議論する先進的な授業に大いに刺激を受けました。オーストラリア文学の科目で先住民の神話や近代小説を読み解いたことも忘れられません。課外活動ではESSのドラマ部門に所属して、英語劇の大会に向け、3年間ほぼ休みなく練習に打ち込んだ日々。このような大学生活を通して、英語力が鍛えられました。
卒業後は母と同じく国際線の客室乗務員として、世界各地を飛び回りました。転機が訪れたのは30歳を目前にした頃。これがやりたいという思いが特になく過ごしてきましたが、「新しいことに挑戦したい」という気持ちが芽生え退職を決めました。その後、英語教室の講師として働く傍ら、時間に余裕ができたことで日々の出来事や映画の感想を日記につづるようになります。さらにコロナ禍をきっかけに、日記を形として残そうとしてZINEを数冊制作しました。その中で、自分が訪ねた酒場についてつづった『酒場の君』という作品が出版社の方の目に留まり、単行本として刊行されることに。他にも文芸誌などで小説を連載するようになり、作家としての活動が本格化していったのです。

※ ZINE:個人や少人数の有志で出版する自主的な出版物

『酒場の君』では料理やお酒の知識を詳しく書くのではなく、酒場の雰囲気や音、人々の何気ない会話を捉え、「場所を書き取る」ことにこだわっています。また、少し変わったオノマトペを使うのも私の文章の特徴かもしれません。

私はこれまでに数度仕事を変えてきましたが、その時々でできること、やりたいことを選んできたと思っています。興味のままに挑戦できると考えられるようになったのは、立教での自由な学びがあったからこそ。社会に出ると責任は増えますが、それで自由な時間が終わるわけではありません。凝り固まらずに生きていけば、いつまでも自由でいられるはずです。

書籍紹介

(左)『酒場の君』
書肆侃侃房/2024年9月発売
横浜、野毛、鶴見、川崎、西荻窪、渋谷、武蔵小杉、湯島、早稲田、そして長野、名古屋、京都——。忘れえぬ酒場40軒の思い出。私家版ながら大きな話題を呼んだ『酒場の君』が書き下ろしを加えてついに書籍化!武塙麻衣子待望のデビュー単行本となるエッセイ集。

(右)『西高東低マンション』
講談社/2026年2月19日発売予定
講談社『群像』にて2024年6月号から2025年11月号にわたり連載されていた『西高東低マンション』が書籍化。夫と2匹の猫と暮らす日々を書き留めた1冊。
『立教大学校友会報No.470』より抜粋しています。
インタビューの全文は、校友会Webサイトでご覧いただけます。

プロフィール

PROFILE

武塙 麻衣子さん

作家

2003年文学部英米文学科(当時)卒業。神奈川県出身。卒業後は、客室乗務員、英語講師を経て、『酒場の君』(書肆侃侃房)にて作家デビュー。その後、講談社『群像』にて『西高東低マンション』、小学館のWebサイト「小説丸」にて『一角通り商店街のこと』を連載。

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