データと人工知能を活用して
便利な暮らし、よりよい社会をつくる

株式会社フライウィール代表取締役社長 横山直人さん

2019/06/10

立教卒業生のWork & Life

OVERVIEW

「グーグル、フェイスブック、マイクロソフトなどのグローバルプラットフォーム企業出身者たちが結集した」と注目を集めるベンチャー企業がある。その会社「フライウィール」を立ち上げたのが横山直人さんだ。

立教大学経済学部に入学した際は明確なビジョンがあったわけではないと横山さん。子どもの頃に住んでいたロンドンで立教英国学院に通う友達がいたこと、西武線沿線に住んでいて池袋はなじみのある街だったこと、父親から世の中を広く学べる経済学部を勧められたことなど、いくつもの「点」に導かれるように立教の門をくぐる。

立教大学に在学していた2000年前後は、日本でもインターネットが急速に普及し始めた時期。キャンパス内で催された広告代理店の社員の講演に関心を持ち、直接会いに行くと「今後はデジタル広告が主流になる」と聞かされた。2年次生の夏、2カ月ほど旅した東南アジアで出会った研究者はこう語った。「これからの時代は、宇宙、バイオ、そして情報(インターネット)だ」。

インターネットで何かやってみたい——。高校生の時からパソコンに興味があった横山さんは、その思いに突き動かされて、アメリカ留学を決意する。

「家にもパソコンはあったのですが、お世話になったのは立教の図書館です。図書館に設置してあるパソコンでインターネットを利用して、情報収集をしたり、留学のための論文を書いたり。当時は、電話回線を利用した接続がメインで、通信速度はいまと比べると驚くほど遅かった(笑)。図書館に入り浸っていましたね」

インターネットに関して学べる大学院を探したが、コンピューターサイエンスを学んだ理系の学生が対象のところばかり。このような中で横山さんは情報を集め、学部を問わない大学院に狙いを定めて受験勉強に励んだ。

違う価値観を受け入れ アイデアで突破する

ニューヨーク在住時代、アメリカ同時多発テロ事件(2001年9月11日)に被災

ニューヨーク大学大学院に合格、コンピューター・アートを専攻した。何より驚いたのは60もの国・地域から学生が集まっていたことだ。「ロボットを作る」という課題にチームで取り組んだときのこと。メンバーはプログラマーにダンサー、木工技師、そして横山さんだった。

「ダンサーが『私はダンスしかやらない』と断言して(笑)。どうするんだ?と困惑はしましたが、メンバーそれぞれができることを考えてアイデアを出し合いました」。そして作り上げたのが、ジャングルジムのようなものの上でダンサーが踊り、その動きに合わせてコンピューター上に絵を映し出す、というプロダクトだ。これが非常に高い評価を得たという。

アメリカ・グーグル本社の敷地内にはオブジェがたくさん(2013年)

「自分の価値観とは異なるものを突きつけられたときに、違う、できないと拒否するのは簡単。でも、アイデアで乗り切ることで、考えてもいなかったアウトプットが生まれる。そうした成功体験ができたことは本当に大きかった」

その後も柔軟な発想と多角的な視点から企画を立案して、実現することを繰り返すと同時に、プログラミングの勉強も深めて、エンジニアとコミュニケーションできる力を身に付けたとい

大学院修了後、サービスをスタートしたばかりのiモードに興味を持ち、NTTドコモに就職する。入社1年半でiモードの海外展開を担当。スペイン、オランダ、ロシアなどの企業と協業し、現地でのサービス展開に奔走した。

「iモードの海外部門は人員が少なかったこともあり、どんどん仕事を任されました。伝統ある大企業でしたが、ベンチャースピリッツを持ち続けていれば新しいことに挑戦できると知った。とてもいい経験になりました」

2009年にはグーグル・ジャパンに転職。クラウドサービスの立ち上げと、スマートフォンのOS「Android」を使ったインターネットビジネスの開拓に取り組んだ。

フェイスブック時代、インスタグラムのオフィスにて(2017年)

大仕事を成し遂げると、次は「OSに縛られないプラットフォーム」に関心を持ち、その代表的存在であったフェイスブック・ジャパンに移籍する。多くの企業とパートナーシップを組みビジネスを進めていく中で、しかし、横山さんは「いつも困っていた」と振り返る。

「企業の要望や課題への解決法は分かるものの、グローバルプラットフォーマーができるのはシステムやツールを提供するところまで。そこで、実際に動いてもらう会社やエンジニアを探すのですが、なかなか見つからない。それが悩みのタネでした」
友人に打ち明けると、なんと同じことで困っているという。
「ならば自分たちでやろう。グローバルプラットフォーマーではできなかったことを実現しよう!」

そして2018年2月、マイクロソフトのエンジニアで執行役員を務めていたその友人とともにフライウィールを起業した。
同社が掲げるビジョンは、グローバルの最先端企業で磨かれた経験や知識、ノウハウをベースに、データと人工知能(AI)で日本企業の生産性向上を目指すこと。企業が抱える課題に対するソリューションを提供している。

例えば、ECサイトを運営する企業であれば、膨大なデータを集約・分析してユーザーにとって、より適切なレコメンド(お勧め)機能を実現。アスクルが運営するショッピングサイト「LOHACO」では、通常のレコメンドエンジンに比べ「あなたへのおすすめ」から実際にカートに入れる数が約3倍になるという成果を上げているという。
「データ活用によって、ビジネスはもちろん、社会構造もよくしていきたいと考えています」

「好きだ、やってみたい」が原動力になる 学生時代は落ち着いてもがけ!

学生の頃から興味のあることに臆することなく挑戦を続けてきた横山さん。原動力を聞くと「好きだ、やってみたい、というパッションが一番力になる」。そしてこう続ける。

「『時代の流れ』と『自分ができること』がマッチすると、きっと楽しい。立教時代からなんとなくそう感じていました。時代が大きく変わり、働くことの意味が問い直されているいま、さらにそこに『自分がやりたいこと』というピースが加わると、もっと人生が豊かになるはずだと実感しています」

しかし、やりたいことがわからない、まだ見つかっていないという学生は少なくないだろう。「大丈夫。みんなそうだから。落ち着いてもがいてほしい」とニッコリ。

最後に自らの経験を踏まえ、こんなエールを送ってくれた。
「興味があったらとにかく行動してみる。一つ一つの経験は『点』だとしても、それがつながって『面』になることで、必ず新しい展開が見えてくるものだから」

プロフィール

PROFILE

横山 直人さん

株式会社フライウィール 代表取締役社長

2000年、経済学部経済学科卒業。
2002年、ニューヨーク大学大学院修了。(コンピューター・アート専攻)
2002年、NTTドコモ入社。
2009年、Google Japan入社。
2014年、Facebook Japan入社、執行役員。
2018年2月より、株式会社フライウィール代表取締役社長。

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