異文化コミュニケーション学部の1期生としてグローバルに活躍

金 瑞香さん 株式会社Cygames 執行役員 海外事業部責任者(2012年 異文化コミュニケーション学部異文化コミュニケーション学科卒業)

2019/01/08

立教卒業生のWork & Life

OVERVIEW

異文化コミュニケーション学部の1期生として卒業し、グローバルに活躍する金 瑞香さんにお話を伺いました。

現在のお仕事内容を教えてください。

私は現在、Cygamesの海外事業部責任者として、ゲームの海外向けプロモーションや海外のイベント出展などを中心に担当していて、ベルギーやイギリス、中国など国籍もバラバラの40人ほどのチームをまとめています。Cygamesのゲームを楽しんでいただける海外のユーザーが増えていくことを実感できるのはとてもうれしいです。
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立教大学時代の経験が今のお仕事に生かされていると思いますか?

はい、今の仕事に生かされていると感じますね。ゲーム開発においては、プランナー、デザイナー、エンジニア、みんなそれぞれ思考回路が違いますし、今の事業部に至っては、出身国もバラバラです。チームを一つにするために、相手の文化を尊重し、意見のぶつかり合いを調整したり、どのように間をつなぐかを考えたりしなくてはなりませんが、その際に大学時代に学んだことが役立っています。

私は異文化コミュニケーション学部の1期生でした。4年間を通じて自分と価値観が異なる人がいるということを強く認識したように思います。どうしたら上手くいくか、お互いの意見を交換し合えるか、素直にディスカッションできる環境が立教大学にはあり、異文化コミュニケーションとはどんなものであるか考え、学ぶことができました。

最初の留学ではカナダに行かれたそうですね。

学生時代に3回留学したことは大きな経験です。1回目は2年次生の後期に、学部のカリキュラムの一環でカナダのカルガリー大学に留学しました。カナダを選んだのは、多民族国家ならではの文化背景に興味を持ったからです。留学先では学部の授業ではなく、ランゲージコースという語学学習のコースを履修しました。留学生活はとにかく楽しかったですね。授業はみっちりありましたが、ホストファミリーにも恵まれました。

韓国人の学生から見たら「あ、韓国人かと思ったらそうではないのか」となるし、日本人の学生は「韓国人っぽいから英語で話せばいいのか」と思っていても、私は日本語が分かってしまう。自分のアイデンティティーは何なのだろうと考えました。

そのような時、私の周りにいなかったタイプの人に出会いました。華僑の学生で、名前も中国系なのですが「僕はイタリア人だ」と言い切る人でした。イタリア生まれでイタリア語を話せるし、中国語は家庭で使うから話せるけど書けない。外見からは「どこがイタリア人なの?」と思うのですが、アイデンティティーに対して強い気持ちを持つということや、そういう環境でみんなでディスカッションすることで、分かり合えるものがあるんだなと感じたのはとても新鮮でしたね。

立教大学はグローバル教育に力を入れていますが、留学に役立ちましたか?

はい、役立ちました。海外から立教大学に留学している学生と一緒に受講する授業がありました。テーマを決めて、英語でディスカッションして発表していく形式で、毎回グループのメンバーが変わったのですが、ディスカッションの進め方が国によって全然違うことを実感しました。例えば、アメリカの学生はずっと自分の意見を述べて、イエスかノーかを求める感じでしたが、何も意見を言わない日本の学生がいたりして。文法的には合っていなさそうだけれど、エネルギーで英語を話し続ける中国の学生たちの勢いには圧倒されました。その経験があったので、カナダでも様々な地域出身の人に出会っても驚きませんでした。鍛えられていたのだと思います。

それから、当時海外でFacebookがちょうど流行りだした頃で、その授業のクラスメイトにFacebookを教えてもらいました。「君、留学行くんでしょ? 絶対アカウント作っておきなよ」と言われて。何に使うんだろうなと思っていたFacebookアカウントが、留学時にすごく役立ちました。

SNSやインターネットを通じて、留学先の友達や遠く離れた大学の友達が何をしているか分かって、自分のいる世界が広がったなと感じる経験があったからこそ、留学から帰って取り組んだ就職活動はインターネット業界が中心となりました。インターネットはすごく面白いです。一つのプラットフォームで世界中の人がすぐに遊べる、使えるというスピード感や波及力がありますから。

留学経験は、今のお仕事にもつながるわけですね。そのほか、学生時代はどのような活動をされていましたか?

2年次生のときに「スイッチオンプロジェクト」(現・日本ジャーナリスト教育センター)に参加しました。プロの記者の方と、何か書きたい学生が集まるプロジェクトで、文章の書き方、取材の方法を教えていただきました。私は、当時、東北新社にいらした姜成明さん(映像ディレクター)にインタビューしました。人生初のインタビューは緊張しましたが、貴重な経験になりました。

いろいろなことに挑戦されていますね。

インターンシップにも参加しました。留学から帰ってきた3年次生の時にサムスンのインターンシップに参加し、サムスンの商品をどのように学生にマーケティングするかを考えました。4年次生の時は、学生がIT企業の方と一緒になって2か月でアプリを開発する「ブレイクスルーキャンプ2011」の運営を手伝いました。たった2か月で仕上げるので、都内のマンスリーマンションを借りて、缶詰め状態で進めるんです。私は30人ほどの参加者の宿泊担当で、物件を探した思い出があります。地味な仕事で誰もやりたがらなかったのですが、嫌じゃなくて。イベントが大盛況で終わった夜は、回りはとても盛り上がっていましたが、私はずっと一人で電話をかけて「鍵、返してください」と言い続けていました(笑)。

前面にはでないけれど大事な仕事、縁の下の力持ちのような仕事が好きなのかもしれません。サムスンの他にも、椿山荘のインターンにも1か月ほど参加しました。キラキラしている後ろには必ず支えている人がいるのですよね。椿山荘のインターンシップは立教大学のキャリアセンターの掲示板に貼ってあった募集案内が応募のきっかけでした。

先ほど、少しお話がありましたが、最終的にインターネット業界を選ばれたのはなぜですか?

インターネット業界は基本的に年功序列ではないですし、今までなかったものだからこそ若い人の感覚が生かされると思うんです。10社ぐらい受けたのですが、今の会社を選んだのは、面接の過程で学生時代に何を頑張ってきたのかをずっと聞いてくれたからです。教育実習を控えていたので、内定が出た時期が早かったことも決め手の一つです。

教員免許をお持ちなのですか?

英語の教員免許を持っています。両親との約束でした。異文化コミュニケーション学部の1期生ということで、親にとってはよく分からない学部で心配だったのだと思います。2年次生ぐらいまでは1時限から、終わりが夕方の6時を過ぎる5時限までずっと授業を受けていました。

でも、嫌々ではなくて、すごく面白かったです。憲法や青少年の心理についての授業などは教職課程がなかったら履修しなかったでしょうね。

立教大学のキャリアセンターを利用されたことはありますか?

はい、あります。大学のOB・OGを探したり、掲示板を見たりして、就職情報を収集していました。学部の1期生だったので、学部として絞るのではなく、立教大学という枠でどういう分野の就職が多いのかなど、情報収集をしていました。

立教大学の強みは、専門の枠にとらわれず他の学部の授業を受けやすいことや、学外からゲストスピーカーを招いた授業が多数あることでしょうか。また、実際の就職活動をする際も、エントリーシートの書き方講座や学内合同説明会など、きめ細やかなバックアップ体制が整っていて、安心感がありました。

学部の同期は、ドイツ銀行、電通、楽天、アクセンチュア、ユニクロ、富士通など、やはり海外拠点が多い会社に就職しましたね。卒業後もたまに会うのですが、みんなキャリア志向が強いので、最初は「怒られるのが辛い」という話でしたが、この頃は「最近の子は怒ったらしょげるんだよね」みたいな感じになってきています(笑)。

今後の夢や展望を教えてください。

会社としてはゲームの作品数を増やしていくことに力を入れています。私個人としては、これまで得たノウハウを次に生かして、Cygamesが持っているブランド力をもっとしっかり海外のお客様にも伝えていきたいです。
※本記事は金瑞香さんへの取材に基づくもので個人的見解を含みます。
※本記事は「朝日新聞デジタル」掲載広告(2018年2月5日公開)をもとに再構成したものです。記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご注意ください。

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