日本では、精神病院・精神疾患患者 は未だに隠すべき存在として捉えられている。一方、精神病院を全廃することに成功した国がある。それがイタリアである。イタリアは、1978年精神病院の廃止を決定する法律180号(通称「バザリア」法)を可決し、精神疾患患者たちの復権を果たした。同時期、日本では精神病院の増築が行われていた。なぜ、イタリアと日本で反対の方向に制度が進められていったのか。精神病院という、普段日本では隠され、語られることのない問題を、40年前からその最前線で取材してきた大熊氏に語ってもらい、精神疾患患者の復権と精神病院の開放について再考したい。
なお、日本では2006年の法改正以後、「精神病院」を「精神科病院」と表記することが一般的となった。しかし、大熊氏は、現在までに続く世間の「精神病院」への悪いイメージの原因は名前ではないとし、著作等であえて「精神病院」の用語を使い続けている。
2006年6月、日本の法文の中の「精神病院」がすべて「精神科病院」に変わった。(中略)参議院法制局ホームページによると、「精神科医療機関に対する国民の正しい理解の深化や患者の自発的な受診の妨げになっている」のだという。しかしイメージを悪くした真の原因が名前にあるとは思わない。(中略)問題のありかをはっきりさせたいので、敢えて「精神病院」を使うことにした。(『精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本』より抜粋)
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