2020/05/07 (THU)
共生研センター メール・インタビュー(4)
市民アーカイブ多摩 江頭 晃子さん
はじめに
連休中に緊急事態宣言の5月末までの延長が決まりました。また、博物館・美術館・図書館等の文化施設が、感染リスクを踏まえ、感染対策を講じたうえで開館することも都道府県知事の判断に任されることになりました。
共生社会研究センターが物理的に開館するには大学に人が入れることが前提となるので、入構禁止措置がとけるまでは難しそうです。
そこで今回のインタビューは、市民活動の資料を市民の力で収集・公開している市民アーカイブ多摩の江頭晃子さんにお願いしました!
*市民アーカイブ多摩の活動については、下記の文献もおすすめです。
中村修(2015)「市民アーカイブ多摩について:その前史から現在まで」アーカイブズ学研究 22(0):49-71
大原社会問題研究所雑誌 666号(2014年4月号)特集「市民活動・市民運動と市民活動資料,市民活動資料センター」
共生社会研究センターが物理的に開館するには大学に人が入れることが前提となるので、入構禁止措置がとけるまでは難しそうです。
そこで今回のインタビューは、市民活動の資料を市民の力で収集・公開している市民アーカイブ多摩の江頭晃子さんにお願いしました!
*市民アーカイブ多摩の活動については、下記の文献もおすすめです。
中村修(2015)「市民アーカイブ多摩について:その前史から現在まで」アーカイブズ学研究 22(0):49-71
大原社会問題研究所雑誌 666号(2014年4月号)特集「市民活動・市民運動と市民活動資料,市民活動資料センター」
メール・インタビュー 市民アーカイブ多摩・江頭晃子さん ー 市民の声が大事だと認識し記録していくこと
- まず、市民アーカイブ多摩の設立からこれまでの歴史と、現在の活動について教えてください。できれば前史についてもかんたんに....
2002年に東京都立多摩社会教育会館の市民活動サービスコーナー事業が廃止となり、30年間蓄積されていた市民活動資料が廃棄の危機に陥ります。それらの資料を保存、活用しようと2006年に市民団体や図書館・アーカイブ関係者、ミニコミ発行者、研究者などが集い「市民活動資料・情報センターをつくる会」が発足。当初は行政や地元企業や大学等に「市民活動資料室」を開室してもらえるように運動をしていましたが難しく、2010年から自分たちで資料館を作ろうと募金運動を展開、紆余曲折とさまざまな出会いの中で、2014年に立川市内の緑地保全地域内にある一軒家に「市民アーカイブ多摩」を開館することが出来ました。団体名も2014年から「ネットワーク・市民アーカイブ」に改称しました。
現在、約1800タイトルの市民組織等が発行するミニコミの収集・保存・閲覧等を行っています。
ボランティアで運営しているため、開館日は毎週水曜日と第2・4土曜日の午後1~4時と短時間です。
この間の15年間の活動の記録や現在の様子、そして収集しているミニコミ目録を冊子『ようこそ!市民アーカイブ多摩へ~市民活動の記録を残す運動の歩み』(A5判・148ページ)にまとめましたので、ぜひご一読いただきたいです。
- 江頭さんと市民アーカイブ多摩のかかわりについても、かんたんにご紹介ください。
市民活動サービスコーナーの社会教育指導員(非常勤)として働いていました。2002年の同コーナー廃止にともない解雇となり、一緒に解雇になった職員仲間とNPO法人市民活動サポートセンター・アンティ多摩を発足。市民活動情報の収集・発信事業を継続してきました。
その一つとして市民活動資料保存運動である会の発足当初から関わっています。
- ニューズレター『アーカイブ通信』についてご紹介ください(編集方針や編集に関わっている人なども含めて)。また、 『アーカイブ通信』とウェブサイトでの発信との使い分けなどについても、何かあればお聞かせください。
『アーカイブ通信』は、年3回発行しています。会の活動紹介、催し等の案内と報告、市民アーカイブ多摩に集まってくる資料群として見える資料の魅力、ミニコミ発行団体による自身の通信の紹介などを掲載し、会員や寄付者、東京多摩地域(30市町村)の中央図書館・市民活動支援施設・大学図書館・博物館、全国各地の資料寄贈団体・市民運営資料館などに発送しています。運営委員会内に広報部会(3名)があり、具体案を検討した後、運営委員会で皆で検討します。
ウェブサイトには、通信のほかに収集ミニコミ目録なども掲載しています。
- 新型コロナウィルス感染拡大によって、市民アーカイブ多摩の活動にはどんな影響が生じましたか?
4月6日~5月末まで閉館しています。
年4回、市民アーカイブ多摩で開催する「緑蔭トーク」の4月の開催を9月に延期、5月24日に予定していた総会記念講演会も中止しました(総会は開催)。
- 「緑陰トーク」は、毎回ミニコミ発行者や市民活動当事者、あるいは研究者などをお呼びしてお話をきく会ですよね。話し手との距離が近くて、とても魅力的なイベントですから、延期はほんとうに残念なことだと思います。そうしたイベントの中止や延期を迫られる状況下で、市民アーカイブ多摩では現在、どのくらいの人が、どんな形で、どんな活動をしているのでしょうか?
閉館中ですが、いつもの開館日(水曜日、第2・4土曜日)には当番とボランティアで可能な人が1-2人が行き(義務ではない)、資料整理を継続しています。また、運営委員の一人が自宅に資料とデータベースを持ち帰り、資料入力をしています。整理作業とともに、資料をゆっくり読み込んだり、施設整備などで気になる点などをチェックしたりしています。予防対策としては、消毒・清掃、換気、マスク着用などをしています。
毎月第3金曜日に行う運営委員会や部会活動は、公共施設が使えないため、民間の会議室を借りて窓などを開け放して行ったり、公園内など解放された場所で行っています。都内とはいえ、多摩地域は電車の混雑もひどくなく、緑地の多さ、感染者数も都内の1割(人口は3割)など、23区の雰囲気とは違いがあると思います。
- センターでも、打ち合わせはとりあえずオンライン会議、という感じになってきていますが、公園でもできるというのはある意味うらやましいような気がいたします...。
それでは、私自身はこの点がとても知りたい点でもあるのですが、市民アーカイブ多摩の活動のなかで、新型コロナウィルスとの関連でとくに気をつけていること、気になっていること、活動していること、発信していることなどがあれば教えてください。また、今後の再開館については見通しが立たない状況だと思うのですが、感染がある程度落ち着いて開館するときについて検討していることや、閉館が長期にわたる場合にどうするか、ということをすでに議論しているようでしたら、教えてください。
市民団体が発行するミニコミにも多くの新型コロナウィルス関連に伴う考えや運動などの記事が掲載されています。それらのミニコミについては別置して共有し、この間、市民団体がどのように動いたのかをきちんと記録しようと心がけています。また、それらの記事の紹介を『アーカイブ通信』などに掲載していきたいと考えています。
小さな資料館でもありますので、今のところ6月以降は開館する方向で動いていますが、可能な限りの予防対策(消毒・来館者のマスク着用お願い等)や当番に入る人の負担軽減などの対策を検討する予定です。
- 新型コロナウィルスが日本や世界にもたらしている事態について、あるいは終息(または共存成功)後の社会について、活動に関連して、あるいは一市民として、もし個人として何かお考えがあれば、お聞かせください。
一人ひとりが、いまの状況をどう捉え、自分はどう考え、何を大事にし、行動するのかということを問われているように思います。そのためには、正確な情報が必要なのですが、政府をはじめ自治体等も市民との情報開示の仕方が不十分であり、マスコミも役割を果たさないばかりか、弱者叩き、恐怖煽りばかりしているように見えます。
そういう中で、市民団体等が活動や経験、専門分野から発信する情報は、非常に正確な信頼度が高い情報と必要な行動指針が入ってくると改めて感じています。
このウィルス感染による命の危機への経験を生かし、終息後は一人ひとりの命を本当に大事にできるシステムを構築していく必要があると思います。そのためには、市民(組織)からの声が重要で、その市民の声が大事だと認識し記録していくことが、全国各地で少しでも広がるといいなと思います。
(以上、メールへの回答(2020年5月3日)を一部編集して掲載)
2002年に東京都立多摩社会教育会館の市民活動サービスコーナー事業が廃止となり、30年間蓄積されていた市民活動資料が廃棄の危機に陥ります。それらの資料を保存、活用しようと2006年に市民団体や図書館・アーカイブ関係者、ミニコミ発行者、研究者などが集い「市民活動資料・情報センターをつくる会」が発足。当初は行政や地元企業や大学等に「市民活動資料室」を開室してもらえるように運動をしていましたが難しく、2010年から自分たちで資料館を作ろうと募金運動を展開、紆余曲折とさまざまな出会いの中で、2014年に立川市内の緑地保全地域内にある一軒家に「市民アーカイブ多摩」を開館することが出来ました。団体名も2014年から「ネットワーク・市民アーカイブ」に改称しました。
現在、約1800タイトルの市民組織等が発行するミニコミの収集・保存・閲覧等を行っています。
ボランティアで運営しているため、開館日は毎週水曜日と第2・4土曜日の午後1~4時と短時間です。
この間の15年間の活動の記録や現在の様子、そして収集しているミニコミ目録を冊子『ようこそ!市民アーカイブ多摩へ~市民活動の記録を残す運動の歩み』(A5判・148ページ)にまとめましたので、ぜひご一読いただきたいです。
- 江頭さんと市民アーカイブ多摩のかかわりについても、かんたんにご紹介ください。
市民活動サービスコーナーの社会教育指導員(非常勤)として働いていました。2002年の同コーナー廃止にともない解雇となり、一緒に解雇になった職員仲間とNPO法人市民活動サポートセンター・アンティ多摩を発足。市民活動情報の収集・発信事業を継続してきました。
その一つとして市民活動資料保存運動である会の発足当初から関わっています。
- ニューズレター『アーカイブ通信』についてご紹介ください(編集方針や編集に関わっている人なども含めて)。また、 『アーカイブ通信』とウェブサイトでの発信との使い分けなどについても、何かあればお聞かせください。
『アーカイブ通信』は、年3回発行しています。会の活動紹介、催し等の案内と報告、市民アーカイブ多摩に集まってくる資料群として見える資料の魅力、ミニコミ発行団体による自身の通信の紹介などを掲載し、会員や寄付者、東京多摩地域(30市町村)の中央図書館・市民活動支援施設・大学図書館・博物館、全国各地の資料寄贈団体・市民運営資料館などに発送しています。運営委員会内に広報部会(3名)があり、具体案を検討した後、運営委員会で皆で検討します。
ウェブサイトには、通信のほかに収集ミニコミ目録なども掲載しています。
- 新型コロナウィルス感染拡大によって、市民アーカイブ多摩の活動にはどんな影響が生じましたか?
4月6日~5月末まで閉館しています。
年4回、市民アーカイブ多摩で開催する「緑蔭トーク」の4月の開催を9月に延期、5月24日に予定していた総会記念講演会も中止しました(総会は開催)。
- 「緑陰トーク」は、毎回ミニコミ発行者や市民活動当事者、あるいは研究者などをお呼びしてお話をきく会ですよね。話し手との距離が近くて、とても魅力的なイベントですから、延期はほんとうに残念なことだと思います。そうしたイベントの中止や延期を迫られる状況下で、市民アーカイブ多摩では現在、どのくらいの人が、どんな形で、どんな活動をしているのでしょうか?
閉館中ですが、いつもの開館日(水曜日、第2・4土曜日)には当番とボランティアで可能な人が1-2人が行き(義務ではない)、資料整理を継続しています。また、運営委員の一人が自宅に資料とデータベースを持ち帰り、資料入力をしています。整理作業とともに、資料をゆっくり読み込んだり、施設整備などで気になる点などをチェックしたりしています。予防対策としては、消毒・清掃、換気、マスク着用などをしています。
毎月第3金曜日に行う運営委員会や部会活動は、公共施設が使えないため、民間の会議室を借りて窓などを開け放して行ったり、公園内など解放された場所で行っています。都内とはいえ、多摩地域は電車の混雑もひどくなく、緑地の多さ、感染者数も都内の1割(人口は3割)など、23区の雰囲気とは違いがあると思います。
- センターでも、打ち合わせはとりあえずオンライン会議、という感じになってきていますが、公園でもできるというのはある意味うらやましいような気がいたします...。
それでは、私自身はこの点がとても知りたい点でもあるのですが、市民アーカイブ多摩の活動のなかで、新型コロナウィルスとの関連でとくに気をつけていること、気になっていること、活動していること、発信していることなどがあれば教えてください。また、今後の再開館については見通しが立たない状況だと思うのですが、感染がある程度落ち着いて開館するときについて検討していることや、閉館が長期にわたる場合にどうするか、ということをすでに議論しているようでしたら、教えてください。
市民団体が発行するミニコミにも多くの新型コロナウィルス関連に伴う考えや運動などの記事が掲載されています。それらのミニコミについては別置して共有し、この間、市民団体がどのように動いたのかをきちんと記録しようと心がけています。また、それらの記事の紹介を『アーカイブ通信』などに掲載していきたいと考えています。
小さな資料館でもありますので、今のところ6月以降は開館する方向で動いていますが、可能な限りの予防対策(消毒・来館者のマスク着用お願い等)や当番に入る人の負担軽減などの対策を検討する予定です。
- 新型コロナウィルスが日本や世界にもたらしている事態について、あるいは終息(または共存成功)後の社会について、活動に関連して、あるいは一市民として、もし個人として何かお考えがあれば、お聞かせください。
一人ひとりが、いまの状況をどう捉え、自分はどう考え、何を大事にし、行動するのかということを問われているように思います。そのためには、正確な情報が必要なのですが、政府をはじめ自治体等も市民との情報開示の仕方が不十分であり、マスコミも役割を果たさないばかりか、弱者叩き、恐怖煽りばかりしているように見えます。
そういう中で、市民団体等が活動や経験、専門分野から発信する情報は、非常に正確な信頼度が高い情報と必要な行動指針が入ってくると改めて感じています。
このウィルス感染による命の危機への経験を生かし、終息後は一人ひとりの命を本当に大事にできるシステムを構築していく必要があると思います。そのためには、市民(組織)からの声が重要で、その市民の声が大事だと認識し記録していくことが、全国各地で少しでも広がるといいなと思います。
(以上、メールへの回答(2020年5月3日)を一部編集して掲載)
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