2020/10/22 (THU)

オンライン・ワークショップ 「『オープンでフリー』の自由と不自由—みんなで使えばこわくない?」(2020年10月3日)を開催しました

「光陰矢の如し」とはよく言ったもので、ワークショップ終了後いろいろとありまして開催報告を書かないでいるうちに10月が終わろうとしております。
というわけで、去る2020年10月3日(土)13時から16時までの3時間、上記のワークショップを開催いたしました。

センターのように小規模のアーカイブズ機関は、財政規模からすればオープンソースのシステムを使うのが望ましいのです。そして、ICAの記述標準をすべて搭載したシステムAtoMを、カナダの会社がちゃんと開発・維持してくれています。しかし「タダ」ということは、困ったときに助けてくれる人はいないということでもあります。とすれば、ITに詳しい人をしっかり巻き込むか、自分がITに詳しい人になるかするしかないのですが、どちらもそう簡単ではありません。そこで、同じような悩みを共有する人が集まって話し合える場をつくろう!というのが今回の企画意図でした。

トップバッターは堀内暢行さん(国文学研究資料館研究部プロジェクト研究員)。堀内さんは今年、とにかくAtoMを使ってみたいという人のための導入ガイドを出版されています。この日は、ご自分もAtoMで苦労されたご経験をもとに「ミニマム環境でのデジタルアーカイブの構築—DA運用に必要なPC技術と環境」についてお話しくださいました。

次は、公益財団渋沢栄一記念財団のデジタル・キュレーター、金甫榮さんによるご報告「AtoMを用いた 組織アーカイブズ閲覧システム」。金さんは財団内部で保存している様々な記録を、財団内で共有するための仕組みとしてAtoMを導入・運用されています。AtoMの基本的なところはあまりいじらずに、しかも財団のニーズに合わせて様々な工夫をされていることがよくわかるお話でした。一機関に一人、金さんのような方がいれば話は簡単なのですが...。

続いての報告は、エル・ライブラリー研究員の下久保恵子さん(お話)と、館長の谷合佳代子さん(発表用画面操作)のコラボによる「atom.log.osaka について:辻資料の入力を通して」。エル・ライブラリーの場合、AtoMをさくっとインストールして維持管理もしてくださる方が館外におられるとのことで、現在複数の資料保存主体と協力し、AtoMのマルチレポジトリ機能を活かした運用をされています。アーカイブズ記述の新しい国際標準として一時注目を浴びたものの、次第に忘れられかけていたRecords in Contextsへの対応もしっかり検討されていて、充実した内容でした。

ご報告のあと、スピーカーと参加者がグループに分かれて、AtoMの自由(いいところ)と不自由(困ったところ)について話し合い、その結果を全体で共有しました。

Miroの画面:文字は小さくて読めないと思いますが、雰囲気は伝わるのでは?

今回、Miroというオンラインホワイトボードを使ってみたのですが、なかなかおもしろかったです。終わったら画像を保存できますし、付箋に書いたことはcsvでもダウンロードできます。で、そのデータを見てみると、実際にAtoMを運用されている方は、実装されている機能を上手に使っていることがわかりました。いろいろ不便なところはあるにしても、けっこう多様なニーズにもこたえられるようです。主な課題としては、これまでに蓄積してきた記述データとAtoM(またはISAD(G)等の記述標準)との整合性、マスターデータをcsvファイルで維持管理していくことの煩雑さ、典拠レコード管理における様々な問題などが挙げられました。

ただ、いろいろな悩ましいことも、みんなでわいわいやっていると「なんとかなるのではないか」と思えてきます。そういう意味でも悩みとそれを解決するスキルやアイディアを気軽に持ち寄れるコミュニティは大切だと感じました。大阪ではArchivesSpaceをめぐるコミュニティができつつあるようなので、そちらともゆるくつながりながら、「みんなで使えばこわくない!」と言える状況をつくっていきたいものですね。使う機関が増えるほど、次は導入しやすくなりますし、そもそもみんなで一つのAtoMを管理する仕組みを作ってもよいわけです。

ご報告いただいた皆さま、ご参加くださった皆さま、ほんとうにありがとうございました。またお会いできるよう、次を企画したいと思います。