2020/05/02 (SAT)
「アーキビストとCOVID-19に関するアンケート」結果報告(2)
報告は続きます
自由記述式の項目が多いので、ぴりっとまとめてご報告するのが筋ではあるのですが、いただいた回答を読んでいると、「このままお伝えしたいなあ」と思ってしまうわけです。そのため、ここからは基本的にざっくり回答を整理したうえでずらずらっと列挙することにいたしました。読むのはたいへんかもしれませんが、読むうちに、回答者の声が聞こえるような気が…してくるのでは?
Q3. 「限定的に業務を行っている」の内容を教えてください。
回答数10。ここからはグラフにすることもないので、Q1のお仕事カテゴリ別に回答を(類似のものはある程度まとめました)ずらっと列挙することにします。カテゴリ名の横の( )内は回答数です。
【公文書館】(5)
【学校・大学など】(1)
・テレワーク
【企業など民間団体】(2)
【フリーランス等】(1)
【その他】(公立の資料館)
こうしてみると、やはり来館利用・対外的なイベントについては制限し、出勤するスタッフの人数も減らしつつ、内部利用やレファレンスなどには対応する、といった形で業務を継続しているということでしょうか。
【公文書館】(5)
- 休館(閲覧サービス、刊行物貸出、出版物販売の停止/電話・メールでの相談受付)、職員の在宅勤務(通勤緩和のため、交替で在宅勤務/ただし、週1日以上は出勤)
- 緊急事態宣言中、市民に対しては休館対応し、市職員に対しては通常対応。ただし、三密状態にならないよう配慮。(書庫への入室人数の制限。閲覧座席の距離を配慮。閲覧室と事務室の換気。)また、公文書館職員は、半数ずつ出勤し、半数は在宅勤務。
- 自宅待機と出勤の組み合わせ
- 4分の1出勤となりました。
- 従来週5(職場出勤4・自宅研究1)の勤務から職場出勤2・在宅3(自宅研究を含む)に変わった。
【学校・大学など】(1)
・テレワーク
【企業など民間団体】(2)
- 出勤できないわけではないが、出勤が不可欠な人は出勤している。
- 閉館となり原則自宅待機ですが、時折メールチェックのために出勤しています。
【フリーランス等】(1)
- 打ち合わせ、公開イベント(上映会)などができなくなった。
【その他】(公立の資料館)
- 収蔵資料の整理保存業務及び資料のデジタル化を進めています。
こうしてみると、やはり来館利用・対外的なイベントについては制限し、出勤するスタッフの人数も減らしつつ、内部利用やレファレンスなどには対応する、といった形で業務を継続しているということでしょうか。
Q4.「在宅勤務」の内容を教えてください。
私自身が在宅勤務になっているので、単純に「他の方は家でどんなお仕事をしているのか?」はたいへん興味があったのですが、こんな感じでした。多様です!
【公文書館】(5)
【学校・大学など】(11)
【企業など民間団体】(4)
【フリーランス等】(3)
【その他】(1)
こうして読んでみると、やはりオンラインで資料の画像などにアクセスできる、あるいはセキュリティ上問題なく家に持ち帰れる画像がすでにある場合は、自宅で記述するなどの作業も可能になります。さらに、VPNで職場のネットワークに入れる(私もこのウェブサイトの管理はそれで行っています)、リモートデスクトップで職場の自分のPCを直接操作できるなどの環境があれば、在宅でできる業務の範囲は広がりますよね。民間企業などではそういう環境も整ってるでしょうし、業務用PCの貸与などもきちんとされているのではないでしょうか。
しかし、今回はその準備をする時間がなかった、という方も多いのではないかと。
また、アルバイトなどの時給で雇用されている方の生活をどう保障するのかも、大きな課題です。職場によっては、アルバイトの方になんとか家でできる作業を用意することはできるとしても、その方が自宅で用いているPC、アプリケーション、通信環境などが、作業を難しくする可能性もあります。このあたりは大学の遠隔授業が抱えている課題と同じですね。そして、アーキビストとしての雇用も、この状態が長引けばどうなるかわかりません。
ポジティブな点としては、研究や論文執筆、企画検討やマニュアル整備など、ふだんなかなかできない仕事にじっくり取り組めている方がいることです。通常業務に復帰したとき、「在宅での蓄積が役に立ったなあ」と思えるように、がんばりすぎず、でも着実に仕事を積み上げていければいいですね。
そして、まだまだ報告は続きます!
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報告(3)はこちらから
【公文書館】(5)
- 民間所在資料の全県的調査を行うため、自治体史などから史料情報の吸い上げ。
- 史料の翻刻。
- 講座や報告のための準備。
- 目録等のデータ整備、調査研究、PC環境がなくてもできるもの(掲示物等の作成)。また、10月に移転を控えているため、移転後の業務やサービスの構想を練る、というのも勤務に入ります。
- 県報記事・新聞記事検索データの作成、古文書テキスト入力、人物検索ツールの作成等。
- 教職員の分担が分かれており、教員は職員の在宅勤務サポート+自分の研究、職員・アルバイトは3つの課題を在宅で遂行。在宅勤務の仕事は「1所蔵資料検索システム上で公開している目録の表記ゆれ等のチェックと修正」「2所蔵資料検索システム上で公開中あるいは公開予定のマイクロフィルムデジタル画像付きの公文書類の目次入力」「3所蔵資料検索システム上に公開予定のマイクロフィルムデジタル画像の個人情報部分のPDF墨消し機能をつかったマスキング作業」「4教員履歴データベースの表記ゆれ等確認と修正作業」。1は職員(事務補佐・アーカイブズ資料を読む専門的知識かつ利用経験なし)、2~4はアルバイト(主に日本中世・近現代史専門の大学院生等)が行っている。実質、教員1名(教授)は全体指導監督、助教2は職員・アルバイトの指導監督・作業指示とサポート。ただし、事務職員1人は本人希望により在宅勤務なし、在宅勤務作業1担当の事務補佐2人は部分的出勤、アルバイト(5人、勤務時間差あり)はすべて在宅勤務。
- 職員個々に自宅で可能な業務を持ち帰り実施。
【学校・大学など】(11)
- メールチェックとその対応。
- メールでのレファレンス、データの整理や加工、ふだんできるようでできていなかったマニュアル作りや、記録管理のスキームやワークフローの検討、その他事務関連で在宅やWeb会議で実施可能な業務。
- 職場のリモートによる作業としては、目録データ修正、画像整理等。あとは自学自習。
- 画像を見て情報を入力するタイプの仕事(簿冊の件名目録入力、卒業アルバムのキーワード入力、資料の翻刻など)、および、ひろく業務に資すると思われることの調査・研究。
- 資料調査、ネットを使った周辺調査、編成記述等。
- 所蔵資料をつかった論文のための資料作成(年表等)および原稿まとめ(ただし、所蔵資料が見られないためネットや収集しておいた論文等を利用して)。日々の事務連絡等。リモート会議はいまのところやっていません。
- 今年度実施すべき事項の計画策定、今後の企画検討、本来やるべき研究など。
- フリーランスによる翻訳等が主。現在は科研費の申請書類の作成等だが、具体的な業務指示はもらってない。
- 基本的に普段やっている業務。
- 在宅で仕事していただくアルバイトさんには、資料とデータを持ち帰り、ネットにつながないPCで資料目録の入力。
- 大学の指示は出勤停止なのですが、休業補償も何もないため、バイトの方達には資料を持ち帰ってもらい入力作業。
【企業など民間団体】(4)
- 原稿作成、会議などの資料調査&作成、AtoM構築作業。
- 前年度までの会社年表まとめ、部内ファイルサーバー整理(製品画像タイトル付けなど)と、ほぼアーカイブ業務。
- 原稿執筆。理事会議案書等の法人業務。遠隔授業の準備。
- アーカイブスの今後の運営や業務に関する学習等を中心に実施。
【フリーランス等】(3)
- 資料整理、情報発信。
- 自分の業務の文書整理(目録を整備している。これは通常後回しにしてしまう。ちょうど良い機会)。アーカイブズ関連情報の収集。アーカイブズ関連ウェブコンテンツの作成、など。
- 勤務ではないが,アーカイブズを活用した研究を可能な範囲で行っています。
【その他】(1)
- VPN接続により社用管理サーバにアクセスし、電話や対面対応が必要ではない業務中心におこなう(動画の視聴・個人情報を含んだ資料の確認など)。社内における報連相は、民間サービスSlackを活用するなどして対応。電話は極力避けたが、どうしても必要な場合は、先方に会社の番号が表示されるサービスを利用(通信費も会社で負担)。
こうして読んでみると、やはりオンラインで資料の画像などにアクセスできる、あるいはセキュリティ上問題なく家に持ち帰れる画像がすでにある場合は、自宅で記述するなどの作業も可能になります。さらに、VPNで職場のネットワークに入れる(私もこのウェブサイトの管理はそれで行っています)、リモートデスクトップで職場の自分のPCを直接操作できるなどの環境があれば、在宅でできる業務の範囲は広がりますよね。民間企業などではそういう環境も整ってるでしょうし、業務用PCの貸与などもきちんとされているのではないでしょうか。
しかし、今回はその準備をする時間がなかった、という方も多いのではないかと。
また、アルバイトなどの時給で雇用されている方の生活をどう保障するのかも、大きな課題です。職場によっては、アルバイトの方になんとか家でできる作業を用意することはできるとしても、その方が自宅で用いているPC、アプリケーション、通信環境などが、作業を難しくする可能性もあります。このあたりは大学の遠隔授業が抱えている課題と同じですね。そして、アーキビストとしての雇用も、この状態が長引けばどうなるかわかりません。
ポジティブな点としては、研究や論文執筆、企画検討やマニュアル整備など、ふだんなかなかできない仕事にじっくり取り組めている方がいることです。通常業務に復帰したとき、「在宅での蓄積が役に立ったなあ」と思えるように、がんばりすぎず、でも着実に仕事を積み上げていければいいですね。
そして、まだまだ報告は続きます!
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