「客員教授・古舘伊知郎 特別授業&トークセッション」を開催

立教大学

2026/08/07

トピックス

OVERVIEW

6月18日、立教大学の卒業生で経済学部客員教授を務める古舘伊知郎さんの「特別授業&トークセッション」を池袋キャンパスで開催しました。本イベントは、全学共通科目「現代社会における言葉の持つ意味」のスピンオフ企画で、一般公開で実施。第1部の特別授業では「言葉」の持つ魅力などを伝え、第2部では本学卒業生でフリーアナウンサーの宇賀なつみさん、西原廉太立教大学総長を交えてトークセッションが繰り広げられました。

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ダイジェスト動画

※ イベントのダイジェスト動画をYouTube「立教大学 公式チャンネル」で公開しています。

第1部 特別授業

古舘さんの熱量あふれるテンポの良いトークにより、言葉の持つ魅力やAI時代の言葉を巡る講義が展開されました。

冒頭では、過去に駅のコンコースで激しく転倒した際に、自らの状況を必死に実況して無事を確認したエピソードを交え、自身を「しゃべり中毒」と称し、会場の空気を一気にほぐしました。

その後、22歳でアナウンサーとして採用されて以来、「朝から晩まで意識がある時はしゃべり続けろ」とたたき込まれた若手時代を回顧。通勤中に見たものや、自身の挙動を全て声に出して描写していたそうです。そして、憧れた先輩アナウンサーの教えや自身のスポーツ実況時の失敗談などを振り返り、会場を笑いの渦に巻き込みました。

普段、本学で担当している全学共通科目では、言語の起源や、現代社会における言葉の持つ意味などを履修生と共に掘り下げているという古舘さん。この日は哲学者・言語学者のノーム・チョムスキーが提唱した「普遍文法」や言語学者ソシュールによる近代言語学、さらには仏教の「くう 」の思想などを引き合いに出しながら、実体のない「言葉」の本質に迫りました。

さらに講義は、「AI時代における言葉の在り方」へと展開します。今年度の授業の評価方法を「レポート提出」から「筆記テスト」へ変更。これが影響したのか、履修の応募倍率は下がったと苦笑しますが、変更した理由は昨今の「生成AI丸写しのレポート」に対する危機感から。「筆記テストでは、拙い文章でいいから、情熱を持って自分の肉筆で書いてほしい」と学生に伝えているそうです。一方で、「AIの台頭に抗うことはできない」と続けます。AIを、あるジャンルでは人間を超える存在と認めつつ、AIによって人間が資本や労働の抑圧から解放されれば、「何のために生き、どう死ぬか」という、人間本来の哲学的な思考を始める時がくるかもしれないと持論を展開します。

終盤、「若者の言葉が面白くてしょうがない」という古舘さんは、「普通に」「ワンチャン」「すっごく」「やばい」「◯◯界隈」といった最近の言葉に関するエピソードを語ります。「言葉は民主主義の森」と表現しつつ、時代とともに移り変わっていく言葉の魅力を説き、第1部を終えました。

古舘 伊知郎 プロフィール
立教大学客員教授 フリーアナウンサー
立教高等学校を経て、1977年立教大学経済学部を卒業後、テレビ朝日に入社。「古舘節」と呼ばれるプロレス実況は絶大な人気を誇る。フリー転向後は、NHKと民放全局でレギュラー番組の看板を担い、テレビ朝日「報道ステーション」で12年間キャスターを務める。1988年から始めた、マイク1本で2時間ノンストップで語る単独ライブ『トーキングブルース』は、卓越した話術の集大成であり、ライフワークとして現在も継続している。2019年より、立教大学経済学部客員教授に就任し、全学共通科目「現代社会における言葉の持つ意味」を担当。

第2部 トークセッション

宇賀なつみさんと西原廉太総長が加わり、トークセッションが行われました。まず、宇賀さんがテレビ朝日に入社した当日に『報道ステーション』の気象キャスターとしてデビューを果たした思い出話からスタート。当時、同番組のメインキャスターを務めていた古舘さんは、宇賀さんの特徴的な比喩表現や何事にも物おじしない姿勢を絶賛し、将来の大活躍を予感していたことを明かしました。現在はマネージャーを付けずに一人で精力的に活動しながら、ライフワークとして世界の国々を旅する宇賀さん。最近の3年間では約30カ国を訪れたと言います。西原総長は「宇賀さんのように、自らの足で現地に行って本物に出合う経験を、今の立教生にもたくさんしてほしい」と語りました。
続いて、聴講者との質疑応答が行われました。「饒舌じょうぜつであることと、本当のことを伝えることのはざまをどう歩むか」という問いに対して、「うまく話そうと思うと変な欲が出て、結果的に自分にも相手にもプラスにならないことが多い。『何を言うか』と同じくらい『何を言わないか』も大事」という宇賀さん。西原総長は、池袋キャンパス正門近くにある回廊の設計が修道院の痕跡であること、その回廊は修道士たちが沈黙しながら歩いて真理を探究する場であったことを解説し、言葉を介在させずに真理とつながる「メディテーション・観想(黙想)」の重要性を説きました。古舘さんは自身のトークスタイルを「フィラー(『あのー』『えー』『うーん』といった意味を持たないつなぎ言葉)を怖がって、しゃべり詰めてしまった悪い見本」と自嘲気味に振り返りつつ、落語の間合いを例に挙げながら、「間や沈黙、フィラーがしゃべりの主役になる」と語りました。

聴講者の質問と、3人の掛け合いが止まない中、終了の時間を迎え、拍手喝采の中で本イベントは幕を閉じました。

宇賀 なつみ プロフィール
フリーアナウンサー
2009年、立教大学社会学部を卒業し、テレビ朝日に入社。入社当日に「報道ステーション」気象キャスターとしてデビュー。同番組のスポーツキャスターを務めた後、情報・バラエティ番組を幅広く担当。2019年に同局を退社しフリーとなる。
西原 廉太 プロフィール
立教大学総長
立教大学文学部キリスト教学科教授。2021年、立教大学総長に就任し、現在2期目。博士(神学)。立教学院院長。キリスト教学校教育同盟理事長。世界聖公会大学連合会理事。日本私立大学連盟常務理事。

イベントを終えて

「改めて言葉について考えるきっかけになりました。学生の頃の自分や、古舘さんと仕事でご一緒していた20代前半の頃の自分に久しぶりに会えたような気持ちになって、とても楽しい時間でした」と宇賀さん。

古舘さんは「総長からの提案で、この特別授業ができたことに感謝しています。自分が学生時代に勉強しなかった分、もう一度大学に入学して学生に教えてもらっているんじゃないかと思います。宇賀さんとも久しぶりにいろいろな話ができてうれしかったです」と語りました。

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