環境学部開設記念シンポジウム
『次世代環境リーダー』の育成を開催
立教大学 × 酪農学園大学
2026/06/26
トピックス
OVERVIEW
3月14日、立教大学環境学部開設ならびに立教大学と酪農学園大学との連携協定締結を記念したシンポジウム「『次世代環境リーダー』の育成~豊かな環境と公正な社会を導く~」を開催しました。
開会あいさつ
石川淳 立教大学副総長
西原廉太 立教大学総長
岩野英知 酪農学園大学学長
冒頭に石川淳立教大学副総長は、複雑化する環境課題に対し、「対話」と「協働」を通じて社会を動かす「次世代の環境リーダー」育成の重要性を強調しました。
西原廉太立教大学総長は、152年前にチャニング・ムーア・ウィリアムズ主教が本学を創立した際のエピソードに触れつつ、環境学部開設にあたっての教育理念を表明。これまで積み上げてきたものを結集させて環境学部を開設し、また酪農学園大学と共に高等教育を牽引するモデルとなるよう連携していくと方針を述べました。
酪農学園大学の岩野英知学長は、AIやロボットを活用した新時代の酪農に言及しながら、同大学の創立者・黒澤酉蔵が提唱した、「地」「人」「家畜」という人と自然が共生し、物質やエネルギーの循環で社会の繁栄を目指す思想を表した「循環農法図」を紹介。そして「現場」での学びの重要性を強調し、両大学の連携に期待を寄せました。
西原廉太立教大学総長は、152年前にチャニング・ムーア・ウィリアムズ主教が本学を創立した際のエピソードに触れつつ、環境学部開設にあたっての教育理念を表明。これまで積み上げてきたものを結集させて環境学部を開設し、また酪農学園大学と共に高等教育を牽引するモデルとなるよう連携していくと方針を述べました。
酪農学園大学の岩野英知学長は、AIやロボットを活用した新時代の酪農に言及しながら、同大学の創立者・黒澤酉蔵が提唱した、「地」「人」「家畜」という人と自然が共生し、物質やエネルギーの循環で社会の繁栄を目指す思想を表した「循環農法図」を紹介。そして「現場」での学びの重要性を強調し、両大学の連携に期待を寄せました。
ゲスト講演者による話題提供
平田仁子さん
山藤旅聞さん
江守正多さん
一般社団法人Climate Integrateの平田仁子代表理事※は、約30年間にわたり気候変動問題に向き合ってきた自身の経験を振り返りながら、根本的な問題の解決に向けて専門知を統合し、信念を持って社会実装していく重要性を述べました。
※ 2026年4月より立教大学環境学部客員教授
新渡戸文化中学校・高等学校の山藤旅聞副校長(一般社団法人旅する学校代表)は、教科書上の知識を超え、フィールドでの「一次情報」に触れることで心が動く教育の実践を紹介。中等教育における「普通科」の改革に触れつつ、環境学部が「課題解決」を超えた「価値創造」の場となることを期待しました。
東京大学未来ビジョン研究センターの江守正多副センター長は、気候変動を巡る議論において、個々の価値観の違いによって「分断」が起こっている現状を分析。環境学部で学ぶ学生への期待として、多様な立場や利害を認識した上で、自身のバイアスを内省し、対話を通して粘り強く解を見つける人になってほしいと語りました。
※ 2026年4月より立教大学環境学部客員教授
新渡戸文化中学校・高等学校の山藤旅聞副校長(一般社団法人旅する学校代表)は、教科書上の知識を超え、フィールドでの「一次情報」に触れることで心が動く教育の実践を紹介。中等教育における「普通科」の改革に触れつつ、環境学部が「課題解決」を超えた「価値創造」の場となることを期待しました。
東京大学未来ビジョン研究センターの江守正多副センター長は、気候変動を巡る議論において、個々の価値観の違いによって「分断」が起こっている現状を分析。環境学部で学ぶ学生への期待として、多様な立場や利害を認識した上で、自身のバイアスを内省し、対話を通して粘り強く解を見つける人になってほしいと語りました。
真野秀太さん
小久保智史さん
佐藤喜和 酪農学園大学教授
株式会社UPDATER[みんな電力]の真野秀太上席執行役員は、環境問題を軸に歩んだ自身の多様なキャリアを振り返りつつ、電力の調達方法にこだわった「みんな電力」の事業等を紹介。環境学部で学ぶ学生に対して、好奇心に基づいて自ら問いを立て、スキルを持って解決していく力が重要であると語りました。
栃木県の小山市総合政策部ゼロカーボン・ネイチャーポジティブ推進課の小久保智史課長補佐(2003年経済学部卒業)は、行政単独では環境問題の解決が難しい現代において、多様なセクターを結びつける「中間支援」の重要性を説きました。環境学部に対しては、不確実な社会を楽しみながら、異なる立場の人々と対話し、協働する人材の輩出を期待しました。
酪農学園大学大学院酪農学研究科長の佐藤喜和教授は、近年急増するクマ被害が、人口減少や耕作放棄地の増加といった人間社会の変化にも起因する複雑な問題であると説きました。そして、酪農学園大学と立教大学の連携により超学際的なアプローチが可能になり、分野を超えて課題解決に取り組める人材の育成に期待を寄せました。
栃木県の小山市総合政策部ゼロカーボン・ネイチャーポジティブ推進課の小久保智史課長補佐(2003年経済学部卒業)は、行政単独では環境問題の解決が難しい現代において、多様なセクターを結びつける「中間支援」の重要性を説きました。環境学部に対しては、不確実な社会を楽しみながら、異なる立場の人々と対話し、協働する人材の輩出を期待しました。
酪農学園大学大学院酪農学研究科長の佐藤喜和教授は、近年急増するクマ被害が、人口減少や耕作放棄地の増加といった人間社会の変化にも起因する複雑な問題であると説きました。そして、酪農学園大学と立教大学の連携により超学際的なアプローチが可能になり、分野を超えて課題解決に取り組める人材の育成に期待を寄せました。
パネルディスカッション第1部「環境リーダーを育成するための学問的基盤の重要性」
はじめに、酪農学園大学農食環境学群長の小糸健太郎教授が、4月に開設した同大学の「農環境情報学類」について解説。専門的な情報分野の学びやフィールドワークなどにおいて、新技術を活用して農業の効率化を図りながら、社会を変革する人材を育成する決意が述べられました。
続いて、森朋子立教大学環境学部准教授*の司会により、山藤さん、真野さん、江守さん、小糸教授、二ノ宮リムさち環境学部教授*が「環境リーダーを育成するための学問的基盤の重要性」をテーマに語り合いました。
山藤さんは、人口減少が進む中で、従来の「競う」教育から、一人一人の子どもたちの内なる魅力を開花させる教育に転換していくと主張。学内だけでなく、文部科学省による「普通科改革」など外部からの働きかけが変化の鍵になるとし、どの学校にも展開できる現場体験を主軸としたカリキュラムの重要性を強調しました。
真野さんは、AIがリサーチや資料作成を代替する時代だからこそ、生成された情報を正しく判断する基礎力に加え、「意志」がキャリア形成の軸になると語りました。その意志は、実際にフィールドへ足を運び、問題意識を持つことで芽生えるものであり、多様なネットワークを構築する原動力にもなると主張しました。
江守さんは、環境問題をはじめとする議論の場において、自分自身のバイアスを内省する重要性を説きました。そして、社会には多様な価値観が存在することを前提として、自分と似た考えを持つ人たちが集まるコミュニティに留まらず、異なる考えを自ら理解しようとする態度を環境学部の学生に期待しました。
続いて、森朋子立教大学環境学部准教授*の司会により、山藤さん、真野さん、江守さん、小糸教授、二ノ宮リムさち環境学部教授*が「環境リーダーを育成するための学問的基盤の重要性」をテーマに語り合いました。
山藤さんは、人口減少が進む中で、従来の「競う」教育から、一人一人の子どもたちの内なる魅力を開花させる教育に転換していくと主張。学内だけでなく、文部科学省による「普通科改革」など外部からの働きかけが変化の鍵になるとし、どの学校にも展開できる現場体験を主軸としたカリキュラムの重要性を強調しました。
真野さんは、AIがリサーチや資料作成を代替する時代だからこそ、生成された情報を正しく判断する基礎力に加え、「意志」がキャリア形成の軸になると語りました。その意志は、実際にフィールドへ足を運び、問題意識を持つことで芽生えるものであり、多様なネットワークを構築する原動力にもなると主張しました。
江守さんは、環境問題をはじめとする議論の場において、自分自身のバイアスを内省する重要性を説きました。そして、社会には多様な価値観が存在することを前提として、自分と似た考えを持つ人たちが集まるコミュニティに留まらず、異なる考えを自ら理解しようとする態度を環境学部の学生に期待しました。
小糸健太郎 酪農学園大学教授
パネルディスカッション第1部の様子
二ノ宮リムさち 立教大学環境学部教授(右)
小糸教授は、「学生の熱意」をいかに高めるかという問いに対し、酪農学園大学が重視してきた「経験」の力を挙げ、フィールドワークや実践的な学びが熱意につながると主張しました。
二ノ宮リム教授は、「自分が変わることで社会が変わる」という視点を重視して行動や考え方を変容させる「トランスフォーマティブ・ラーニング」の重要性を説きました。また、「ソシオ・エモーショナル・ラーニング(社会情動的学習)」の概念も紹介し、酪農学園大学と共に体験型の学びを発展させていきたいと語りました。
二ノ宮リム教授は、「自分が変わることで社会が変わる」という視点を重視して行動や考え方を変容させる「トランスフォーマティブ・ラーニング」の重要性を説きました。また、「ソシオ・エモーショナル・ラーニング(社会情動的学習)」の概念も紹介し、酪農学園大学と共に体験型の学びを発展させていきたいと語りました。
パネルディスカッション第2部「地域の将来を支える環境リーダーの育成」
宮﨑紗矢香さん
パネルディスカッション第2部の様子
最初は、国立環境研究所の宮﨑紗矢香さん(2020年社会学部卒業)による発表です。スウェーデンでの「SDGs視察ツアー」や環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんの言葉をきっかけに環境活動を開始した宮﨑さん。気候変動対策を求める若者中心の運動「フライデーズ・フォー・フューチャー」など、これまでの活動を振り返り、分かりやすい言葉に惑わされず、自分の頭で考え、「正しく問う力」の重要性を訴えました。
続いて、大久保奈弥環境学部教授*の司会により、小久保さん、佐藤教授、平田さん、宮﨑さんが「地域の将来を支える環境リーダーの育成」をテーマに議論しました。
小久保さんは、先が見えない時代には過去の経験則が通用しないため、年齢や立場、地域、組織の枠を飛び越える「越境」の姿勢が重要であると述べました。また、渡良瀬遊水地※にコウノトリを呼び込む活動のエピソードに触れ、「自分の仮説を立ててチャレンジを続けていくことで、将来の景色は変えられる」と語りました。
※ 栃木・群馬・埼玉・茨城の4県にまたがる日本最大の遊水地。
佐藤教授は、自身が行ってきたクマの研究が、かつては一般的に学問として見なされなかったというエピソードを挙げ、そうした中でもデータや実績を積み重ね、地道に研究に取り組む姿勢の重要性を説きました。そして、そのような若者に対して、大学は相談に乗ったり、人との出会いの機会を提供したりと、親身なサポートができる場であることを強調しました。
平田さんは、これまで環境活動家が特定のレッテルを貼られながら、自己犠牲的に働いてきた歴史を振り返り、環境活動に取り組む若者がしっかりと力を発揮できる社会的な仕組みづくりの必要性を強調。そして、「新しいものが生まれる」というワクワク感を持って環境問題に向き合うことが大切だと語りました。
宮﨑さんはパリ協定で定められた「1.5度目標」(産業革命以前と比較して、地球の平均気温上昇を1.5度以内に抑える目標)のタイムリミットに直面する世代として、深刻な現実を受け止め、大切な人や家族のために行動し続けることが重要だと語りました。
続いて、大久保奈弥環境学部教授*の司会により、小久保さん、佐藤教授、平田さん、宮﨑さんが「地域の将来を支える環境リーダーの育成」をテーマに議論しました。
小久保さんは、先が見えない時代には過去の経験則が通用しないため、年齢や立場、地域、組織の枠を飛び越える「越境」の姿勢が重要であると述べました。また、渡良瀬遊水地※にコウノトリを呼び込む活動のエピソードに触れ、「自分の仮説を立ててチャレンジを続けていくことで、将来の景色は変えられる」と語りました。
※ 栃木・群馬・埼玉・茨城の4県にまたがる日本最大の遊水地。
佐藤教授は、自身が行ってきたクマの研究が、かつては一般的に学問として見なされなかったというエピソードを挙げ、そうした中でもデータや実績を積み重ね、地道に研究に取り組む姿勢の重要性を説きました。そして、そのような若者に対して、大学は相談に乗ったり、人との出会いの機会を提供したりと、親身なサポートができる場であることを強調しました。
平田さんは、これまで環境活動家が特定のレッテルを貼られながら、自己犠牲的に働いてきた歴史を振り返り、環境活動に取り組む若者がしっかりと力を発揮できる社会的な仕組みづくりの必要性を強調。そして、「新しいものが生まれる」というワクワク感を持って環境問題に向き合うことが大切だと語りました。
宮﨑さんはパリ協定で定められた「1.5度目標」(産業革命以前と比較して、地球の平均気温上昇を1.5度以内に抑える目標)のタイムリミットに直面する世代として、深刻な現実を受け止め、大切な人や家族のために行動し続けることが重要だと語りました。
閉会のあいさつ
小林潤司 立教大学環境学部教授
会場の様子
小林潤司立教大学環境学部長*は閉会のあいさつで、登壇者の共通点はそれぞれに強い「信念」を持つことだと述べ、学生に「微力は無力ではない」と実感できる場を提供したいと強調。そして、大学教員の使命は「学生を励まし、学生と共に激流を泳ぐこと」であるという覚悟を示し、共に学び、考え、新たな価値を創造していくことを約束してシンポジウムを結びました。
立教大学と酪農学園大学の関係者による集合写真
*当時の所属は環境学部開設準備室。
※シンポジウムは、2026年3月14日立教大学池袋キャンパスで行いました。
※記事の内容は、シンポジウム時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。
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