立教大学はさらに世界へ。
アジアトップクラスの3大学と連携して提供するリベラルアーツをベースとした教育プログラムを2022年よりスタート

立教大学

2022/03/18

RIKKYO GLOBAL

OVERVIEW

2021年11月、文部科学省「大学の世界展開力強化事業~アジア高等教育共同体(仮称)形成促進~」の選定結果が公表され、新規採択分において立教大学は私立大学で唯一の採択校となりました。この世界展開力強化事業は、国際的に活躍できるグローバル人材の育成と大学教育のグローバル展開力の強化を目指し、高等教育の質の保証を図りながら、日本人学生の海外留学と外国人学生の受入れを行う国際教育連携の取り組みに、国から支援がなされるものです。具体的な取り組みと、これからの立教大学の国際化について、松井秀征副総長(国際化推進担当)に聞きました。

アジアの学生との協働を通じて国際社会の問題を解決に向けて行動できるグローバルリーダーに

立教大学はアメリカ聖公会の宣教師チャニング・ムーア・ウィリアムズ主教により創立されており、大学の成り立ち自体が国際性を持っているといえます。その特長は、2014年に文部科学省「スーパーグローバル大学創成支援」事業に採択されたことによって改めて確認され、Global Liberal Arts Program (GLAP)やグローバル教養副専攻等、当該事業の枠組みの中でさまざまに先進的な取り組みがなされています。その事業を引き継ぐ中核的な取り組みの1つとして、今回の「大学の世界展開力強化事業~アジア高等教育共同体(仮称)形成促進~」は位置付けられます。

本事業で立教大学と連携するのは、アジアでもトップクラスの大学であるソウル大学校(韓国)、北京大学(中国)、シンガポール国立大学(シンガポール)です。「THEアジア大学ランキング2021(※)」では、それぞれ9位、2位、3位にランクインしており、名実ともにアジアでトップクラスのこの3大学との交換留学やカリキュラムの共同開発などを通して、立教大学の研究・教育の質がさらに高まることを期待しています。
(※)英教育専門誌「Times Higher Education」が毎年発表する大学のランキング。国内では東京大学の6位が最高。

ソウル大学校(韓国)

北京大学(中国)

シンガポール国立大学(シンガポール)

本事業では、4大学で「リベラルアーツ教育」を共同テーマとした大学間国際コンソーシアム「The Asian Consortium for Excellence in Liberal Arts and Interdisciplinary Education (The ACE)」を形成します。リベラルアーツ教育を基礎として、学問分野や地理的境界を越境し、アジア文化圏の学生や人々との協働を通じて、アジアと国際社会の諸問題の解決に向けて思考し、行動できる「アジア発未来共創型グローバルリーダー」を育成することを目的としています。参加学生が将来、国境を超えて活躍し、リーダー的な立場に立って社会や組織を良き方向に導いてくれるようになればと願っています。

参加対象となるのは、開始時点においてはGLAP、経営学部、異文化コミュニケーション学部に所属する学生を予定しています。参加学生がプログラムを通して得た知見を他の学生に広く波及させてくれることを期待しています。

6つのコアスキルを涵養する国際共同副専攻「ALIS」と「C6ubic Curriculum」とは

事業の概要

本事業のプログラムは、①4大学間長期交換留学、②インテンシブプログラム(夏・冬)、③共同オンライン科目群の設置、④インターンシップまたは社会貢献活動、⑤国際文化交流によって構成される国際共同副専攻「Asian Liberal and Interdisciplinary Studies (ALIS)」が大きな柱となります。また、Cではじまる6つのコアスキル(Critical thinking, Collaboration, Communication, Consilience, Challenge, Cosmopolitan)を涵養する「C6ubic Curriculum」を4大学共同で開発・運営します。所定の要件を満たし、6つのコアスキルを修得したと認められる者に4大学連名・共通様式の成績証明書を授与する予定です。

①4大学間長期交換留学
4大学は原則1年間(2学期)を留学期間として、連携する大学に年間12人(延べ人数)程度の学生を派遣します。学生1人につき2大学への派遣を基本形として、残る1大学での学びは共同オンライン科目群の履修で行う予定です。学生は、現地でC6ubic Curriculumのコアスキルを修得できる英語開講科目を中心に履修を組み立てます。この留学は、日本を含め3カ国以上の国で学ぶことがポイントです。アジア諸国の文化やマインドを比較する視点を養うことができ、参加学生にとって大きな収穫となるでしょう。

②インテンシブプログラム(夏・冬)
4大学間長期交換留学の参加学生を対象とした、講義とアクティビティからなる14日間程度(予定)のプログラムです。4大学が持ち回りで会場校を担当し、会場校の教員に加えて他の3大学から教員を派遣する予定です。ここでは他国の学生とプロジェクトベースで共同作業を行うことがポイントです。グループディスカッションやプレゼンテーションを行う中で各国の学生の多様な考え方に触れられるのは、参加学生にとって大きな刺激となるはずです。
③共同オンライン科目群の設置
各大学がオンラインによる関連科目を提供し、1学期4科目、年間8科目程度の科目群を構成します。当該科目については、4大学で単位互換を行う予定です。

なお、インテンシブプログラムと共同オンライン科目群については、可能な範囲で一般の学生も参加できる仕組みを検討しています。

④インターンシップまたは社会貢献活動
4大学間長期交換留学の参加学生を対象として、夏季・冬季休業期間中に2週間程度のインターンシップまたは社会貢献活動を想定しています。各国での就業体験や活動を通じて、アジア地域における諸問題の解決に向けて主体的に行動する機会、学生の将来の国際的なキャリア形成について考える機会を提供します。

⑤国際文化交流
上記4つのプログラムを通して、参加する他国の学生との国際文化交流が可能となります。また、本学においてはグローバルラウンジで開催している交流イベントなども活用し、4大学の学生間での国際文化交流を促進していく予定です。

学びの領域は「リベラルアーツ」がベース

国際共同副専攻「ALIS」で学生が学ぶ領域については、これから各大学で詳細を検討・決定していく予定ですが、ベースにあるのは「リベラルアーツ」です。ここからは私見ですが「リベラルアーツとは何か」を考える上で「何を学ぶか」と「どのように学ぶか」の2つの側面があると考えます。「何を学ぶか」については、リベラルアーツはある意味で「世界認識学」といえますので、取り扱う分野にどれだけ多様性を持てるかがポイントです。「どのように学ぶか」は、世界を認識する際に「どのように咀嚼(そしゃく)し、発信していくか」とも言い換えられます。本プログラムにおいては、グループディスカッションやプレゼンテーションを行う、インターンシップなど社会の現場でアウトプットする、といった学び方が特徴的です。本事業は、国際化と並んで本学のリベラルアーツ教育にとっても象徴的な取り組みであり、立教大学として「リベラルアーツとは何か」を突き詰めて考える機会にしたいと考えています。

プログラムはすべて英語で実施。基礎レベルの朝鮮語と中国語の習得も目指す

本プログラムは、立教大学で開催するプログラムも含め基本的にすべて英語で行います。求められる英語運用能力は派遣先大学によってIELTS等のレベルが指定されており、その多くはIELTS 6.0程度のレベルとなっています。より高度な運用能力の獲得を目指し、本プログラムを修了する時点でIELTS 6.5程度のレベルに到達することを目標としています。

一方、韓国や中国に滞在するにあたっては現地の言葉も使用する機会があることから、参加学生には朝鮮語と中国語を学ぶことを求めます。これら2言語については、渡航前には基準を設けないものの、1学期留学終了後にHSK(中国語検定)もしくはTOPIK(韓国語能力試験)で4級または5級レベルの言語運用能力に到達することを目指しています。

学費相互免除制をはじめ充実した学生支援制度

交換留学の費用については学費相互免除制を取り入れるほか、渡航費、滞在費、派遣奨学金等を大学側で用意するなど充実した学生支援制度を整備します。留学先での住居は、各大学が用意する想定です。

国際化への取り組みの蓄積を、さらなる高度化につなげる

立教大学では長年、国際化への取り組みに注力し続け、2014年「スーパーグローバル大学創成支援」事業によって、その流れはさらに加速しました。そうした蓄積があったからこそ、この度アジアでもトップクラスの大学と連携することができ、今回の「大学の世界展開力強化事業~アジア高等教育共同体(仮称)形成促進~」に採択いただけたのだと考えています。事業の補助期間が終了した後も、連携先の3大学との交流は何らかの形で継続したいと考えており、国際化への取り組みをさらに高度化させていく所存です。

また立教大学は近年、特にアジアで高い発信力を持つ大学を目指してきました。この事業の計画を通して連携先の3大学との関係性が強化されたこともあり、これを機にアジア諸国に留学する学生をさらに増やし、アジアで厚みのある国際交流を実現していきたいと考えています。

※記事の内容は取材時点(2021年12月)のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。

プロフィール

PROFILE

松井 秀征

副総長(国際化推進担当)、法学部国際ビジネス法学科教授

1970年愛知県生まれ。1994年3月東京大学法学部卒業。1996年3月東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。修士(法学)。東京大学法学部助手を経て、1999年立教大学法学部専任講師に着任。同助教授・准教授を経て、2008年10月から同教授。法学部法学科長、総長室長、総長室調査役、国際化推進機構副機構長を歴任。

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