学生の視点から地域の未来を考える!町会・自治会の負担軽減に向け、松戸市長に政策提言
観光学部1年次 関根 花子さん
2026/10/28
立教生のキャンパスライフ
OVERVIEW
複数大学の学生によるインターンシップ活動の一環として、松戸市内の町会・自治会を対象としたアンケート調査を実施し、集計結果に基づく政策提言を松戸市長へ行った、観光学部1年次の関根花子さんのレポートを紹介します。
写真左から2番目が関根花子さん
地域コミュニティの基盤である町会・自治会が今、大きな転換期を迎えている。防災や防犯、環境美化など、私たちの暮らしの安全安心を支える重要な役割を担う一方で、役員の高齢化や担い手不足、さらには活動に伴う財政的・事務的な負担の増大が深刻な課題となっている。
私たちは、複数の大学の学生で行うインターンシップでの活動をきっかけにこうした地域の実態に目を向け、松戸市内の町会・自治会を対象としたアンケート調査を実施した。そして、そのデータを基に現状を分析し、松戸市に対する具体的な政策提言を取りまとめ、さらに松戸市長へ直接伺い、提言を行うという貴重な経験を得た。本稿では、プロジェクトに至った経緯や調査から見えてきた実態、市長との対話、そしてそこから得られた私たちの成長について紹介する。
私たちは、複数の大学の学生で行うインターンシップでの活動をきっかけにこうした地域の実態に目を向け、松戸市内の町会・自治会を対象としたアンケート調査を実施した。そして、そのデータを基に現状を分析し、松戸市に対する具体的な政策提言を取りまとめ、さらに松戸市長へ直接伺い、提言を行うという貴重な経験を得た。本稿では、プロジェクトに至った経緯や調査から見えてきた実態、市長との対話、そしてそこから得られた私たちの成長について紹介する。
1.活動に至った経緯
本活動のスタートは、私たちが参加したインターンシップでの経験にあった。日々の活動や現場に関わる中で、多くの町会・自治会が日々の運営において、財政面や事務面で負担を抱えているという現実に直面した。「役員が集まらない」「高齢化で活動が維持できない」といったニュースの断片ではなく、実際の制度や数字の裏側に隠された苦労を知り、「地域社会の持続可能性を守るために、自分たち学生に何ができるのだろうか?」という問題意識が芽生えた。
そこで私たちは、机上の空論ではなく、現場の声をすくい上げた現実的なアプローチを目指し、松戸市内の町会・自治会を対象としたアンケート調査の企画と政策提言の策定プロジェクトを始動した。
そこで私たちは、机上の空論ではなく、現場の声をすくい上げた現実的なアプローチを目指し、松戸市内の町会・自治会を対象としたアンケート調査の企画と政策提言の策定プロジェクトを始動した。
2.関係性の模索とアンケート調査のデータから見えた実態
政策提言を組み立てるにあたり、私たちが最初に着目したのは、「市から町会・自治会への交付金」と「町内会から社会福祉協議会(社協)への一般会費」が、いずれも1世帯あたり年間300円と同額であるという点であった。この事実から、「もし市から社協へ直接送金する仕組みにすれば、町会・自治会の複雑な事務手続きや振込手数料などの負担が大幅に軽くなるのではないか」という仮説が生まれた。
この仮説が現場の町会・自治会にとって本当に望ましいものなのかを確かめるため、私たちは松戸市内の町会・自治会(348団体)を対象としたアンケート調査を実施した(中間集計時点での回答数は54団体、回答率は約15.5%)。このアンケートを通じて集まった具体的な数値や意見は、私たちの予想を大きく超えるものであった。
このアンケート集計を通じて、「市の交付金と社協の一般会費は、金額こそ同額であるものの、目的や制度上の性質が全く異なる別の制度である」という本質に気づかされた。自由記述欄には、「交付金は自治会運営の大切な自主財源であり、福祉費と相殺されると活動の根拠がなくなる」「両者は別制度であるため、同額だからといって一概に一体化するのはおかしい」といった強い疑問や懸念が多数寄せられた。
また、社協会費は本来、任意の協力によって成り立つものであるという前提もあり、直接送金を一律に導入することは適切ではなく、まずは各団体の実際の納付額や負担状況を丁寧に把握したうえで、希望する団体を対象とする負担軽減策を検討すべきであるという結論に至った。
この仮説が現場の町会・自治会にとって本当に望ましいものなのかを確かめるため、私たちは松戸市内の町会・自治会(348団体)を対象としたアンケート調査を実施した(中間集計時点での回答数は54団体、回答率は約15.5%)。このアンケートを通じて集まった具体的な数値や意見は、私たちの予想を大きく超えるものであった。
- 財政的支援への強い期待
市から町会・自治会への交付金について、「増額が必要」「どちらかといえば必要」との回答が37件に上り、回答全体の約7割を占めた。
- 社協一般会費の納付に伴う負担
社協一般会費の納付について、「非常に負担を感じる」「やや負担を感じる」との回答が26件と、回答の約半数を占めた。また、納付方法としても、銀行振込の際に振込手数料を自己負担している団体が23件、社協へ直接持参している団体が18件あり、費用面・事務面双方で一定の負担が生じている実態が浮き彫りとなった。
- 直接送金方式に対する意見の分断
市から社協へ直接送金する仕組みについては、「賛成・どちらかといえば賛成」が18件、「反対・どちらかといえば反対」が23件、「どちらともいえない」が13件と、意見が大きく分かれた。
このアンケート集計を通じて、「市の交付金と社協の一般会費は、金額こそ同額であるものの、目的や制度上の性質が全く異なる別の制度である」という本質に気づかされた。自由記述欄には、「交付金は自治会運営の大切な自主財源であり、福祉費と相殺されると活動の根拠がなくなる」「両者は別制度であるため、同額だからといって一概に一体化するのはおかしい」といった強い疑問や懸念が多数寄せられた。
また、社協会費は本来、任意の協力によって成り立つものであるという前提もあり、直接送金を一律に導入することは適切ではなく、まずは各団体の実際の納付額や負担状況を丁寧に把握したうえで、希望する団体を対象とする負担軽減策を検討すべきであるという結論に至った。
3.政策提言の概要と松戸市長への直接提言
こうしたプロセスを経て、私たちは以下の3点を柱とする政策提言を取りまとめた。
そして、この提言を形骸化させず実際の行政に届けるため、私たちは松戸市役所に伺い、松戸市長に直接政策提言を行った。
自分たちが独自に調査し、数字と現場の生の声に基づいて練り上げた提言を直接お伝えできたことは大きな達成感となった。市長からは私たちの取り組みに対して温かいねぎらいの言葉とともに、今後の市政運営や地域政策の本質に関わる大変深い視座をいただいた。
市長からは、交付金を増額するだけでなく「増額された資金が具体的にどのような地域活動にどう使われるのか」「町内会によっては会費が余っているところもある中で、使途の透明性をどう担保するのか」といった検証の必要性をご指摘いただいた。また、地方政治においては経済的構造の透明化や、民生委員・PTAのなり手不足など、数多くの乗り越えるべき複雑な課題が山積していることを教えていただいた。
この対話を通じて、私たちは、アンケートから町会・自治会の希望の統計や負担の傾向を捉えられたことは一つの成果であったものの、制度変更がもたらす影響や使途の検証までさらに深く見通す必要があるという新たな気づきを得た。
- 町会・自治会への交付金の増額検討:地域活動を持続可能なものとするため、交付金の増額を検討すること。
- 社協一般会費の納付実態と負担の把握:実際の納付額や納付方法、手数料等の費用・事務負担を詳細に調査し、市と社協で共有・改善策を検討すること。
- 希望する団体を対象とする直接送金方式の研究:満額納付をしており、かつ直接送金を希望する町会・自治会に対して、事務・費用負担を軽減するための選択肢として導入を研究すること。
そして、この提言を形骸化させず実際の行政に届けるため、私たちは松戸市役所に伺い、松戸市長に直接政策提言を行った。
自分たちが独自に調査し、数字と現場の生の声に基づいて練り上げた提言を直接お伝えできたことは大きな達成感となった。市長からは私たちの取り組みに対して温かいねぎらいの言葉とともに、今後の市政運営や地域政策の本質に関わる大変深い視座をいただいた。
市長からは、交付金を増額するだけでなく「増額された資金が具体的にどのような地域活動にどう使われるのか」「町内会によっては会費が余っているところもある中で、使途の透明性をどう担保するのか」といった検証の必要性をご指摘いただいた。また、地方政治においては経済的構造の透明化や、民生委員・PTAのなり手不足など、数多くの乗り越えるべき複雑な課題が山積していることを教えていただいた。
この対話を通じて、私たちは、アンケートから町会・自治会の希望の統計や負担の傾向を捉えられたことは一つの成果であったものの、制度変更がもたらす影響や使途の検証までさらに深く見通す必要があるという新たな気づきを得た。
4.活動を通して成長できたこと
本活動および市長への提言を通じて、私たちは机上の勉強だけでは得られない多くの実践的な力を身につけることができた。
自分たちが最初に思い描いた「直接送金すれば便利になる」という仮説は、町会・自治会の皆様へのアンケートを通じて大きく修正された。自分たちがよいと思った政策でも、実際に現場の声を聞くと、それぞれの制度の歴史や背景、目的の違いがあり、必ずしも単純にいかないことが分かった。
政策を考えるうえでは、自分たちの思い込みを捨て、当事者の声に真摯に耳を傾けること、そして得られたデータを多角的に分析することが何よりも大切だと深く学んだ。地域の未来を支える方々の生の声に向き合い、それを自分たちで調査して形にし、行政のトップに直接伝えるという経験は、私たちが社会の一員として今後どのように貢献していくべきかを考える、貴重な契機となった。また、他大学の学生との活発な交流により、新たな視点や高い意欲に触れることができ、今後の活動に向けた大きな刺激となった。この経験を糧に、これからも社会の課題に関心を持ち、より広い視野を持って主体的に行動できる人間でありたい。
自分たちが最初に思い描いた「直接送金すれば便利になる」という仮説は、町会・自治会の皆様へのアンケートを通じて大きく修正された。自分たちがよいと思った政策でも、実際に現場の声を聞くと、それぞれの制度の歴史や背景、目的の違いがあり、必ずしも単純にいかないことが分かった。
政策を考えるうえでは、自分たちの思い込みを捨て、当事者の声に真摯に耳を傾けること、そして得られたデータを多角的に分析することが何よりも大切だと深く学んだ。地域の未来を支える方々の生の声に向き合い、それを自分たちで調査して形にし、行政のトップに直接伝えるという経験は、私たちが社会の一員として今後どのように貢献していくべきかを考える、貴重な契機となった。また、他大学の学生との活発な交流により、新たな視点や高い意欲に触れることができ、今後の活動に向けた大きな刺激となった。この経験を糧に、これからも社会の課題に関心を持ち、より広い視野を持って主体的に行動できる人間でありたい。
5.最後に
今回の政策提言活動では、異なる大学に所属する学生が集まり、それぞれの知識や経験、価値観を持ち寄りながら、一つの地域課題に向き合った。大学や専門分野の垣根を越えて意見を交わすことで、自分一人では気づかなかった視点や考え方に触れ、課題を多角的に捉えることができた。異なる背景を持つ学生同士が協力し、調査から政策提言まで取り組めたことは、本活動の大きな意義の一つである。
また、議論を重ねる中で、互いの意見を尊重しながら考えを深め、共通の目標に向かって協力することの大切さを学んだ。こうした大学の枠を越えた交流と協働は、政策提言の内容をより充実させただけでなく、私たち一人ひとりの成長にもつながった。
ともに悩み、議論し、協力しながら活動を進めてきた仲間たちに、心から感謝したい。また、アンケート調査にご協力いただいた町会・自治会の皆様、政策提言の機会をいただいた松戸市長をはじめ、活動を支えてくださったすべての皆様に深く感謝申し上げる。
今回の経験を一過性のものとせず、それぞれが学んだことを今後の学生生活や社会での活動に生かし、地域社会の課題解決に主体的に関わっていきたい。
また、議論を重ねる中で、互いの意見を尊重しながら考えを深め、共通の目標に向かって協力することの大切さを学んだ。こうした大学の枠を越えた交流と協働は、政策提言の内容をより充実させただけでなく、私たち一人ひとりの成長にもつながった。
ともに悩み、議論し、協力しながら活動を進めてきた仲間たちに、心から感謝したい。また、アンケート調査にご協力いただいた町会・自治会の皆様、政策提言の機会をいただいた松戸市長をはじめ、活動を支えてくださったすべての皆様に深く感謝申し上げる。
今回の経験を一過性のものとせず、それぞれが学んだことを今後の学生生活や社会での活動に生かし、地域社会の課題解決に主体的に関わっていきたい。
※記事の内容は掲載時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。
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