「激動」の時代越え──導き出した「チーム」のかたち

ソフトテニス部男子

2018/11/22

アスリート&スポーツ

OVERVIEW

不動の「ダブルス三本柱の後衛」としてチームを牽引した佐藤(コ4)・石川(現4)・峯村(コ4)。そして、主務として部を支える川田(コ4)。2018年5月、彼らにとって最後の関東学生春季リーグ戦、そこには山を、そして谷を越えてきた4人の男たちがたどり着いた、真の「チーム」の姿があった。

王座からの転落

2017年秋、2部復帰が決まった瞬間。戦い抜いた1年生ペア(当時)と駆け寄る部員たち

まさに〝激動〟だった。2016年の春、長年低迷していたソフトテニス部男子は48年ぶりとなる2部優勝の栄冠を手にした。当時の佐藤はダブルスで2部全勝賞を獲得し、2年次生にしてすでに敵なしという圧倒的な存在。誰もが未来は明るいと信じて疑わなかっただろう。しかし、翌春のリーグ戦は予想だにしない結末で幕を下ろすこととなる──。
三本柱を中心に、優勝経験のあるメンバーを多数残す立大は優勝筆頭候補だった。だが、結果は0勝5敗。まさかの最下位だった。1年前、歓喜の声で包まれていたチームの面影は、そこにはなかった。
悪夢はこれだけでは終わらなかった。1年前の2部王者は、3部との入れ替え戦でも流れるように敗れてしまう。さすがにこの試合は勝てるだろうという思いが潜んでいたのかもしれない。勝負事に気の緩みは禁物だ。転落劇を演じた男たちの頬を伝う涙は、日差しを浴びたコートにぽたりと落ちた。
リーグ戦はダブルス4本にシングルス1本を挟む5本勝負。3本先取制がゆえ、ダブルス三本柱の勝利をなんとしても譲れないのが現実だった。個々にかかる大きな負担は、「チーム力のなさ」を生んだ。この課題を克服しなければ、もう2部には戻ってこられない。

背中で感じるもの

2018年春、自身2度目の全勝賞を獲得した佐藤(左)。前衛の山舘(文2)と共に

降格から半年。3部優勝を果たした2017年秋季リーグ戦後の入れ替え戦で、この壁は男たちの前に立ちはだかった。1本目で出場した主将・佐藤の、敗北である。だが、勝って当然だった存在の敗北が、チームを変える──。残るダブルス2本では石川、峯村がつなぎ、最後のダブルス。命運を託されたのは1年次生ペア(当時)だ。この日一番の声援を受けた若手ホープたちが、降りしきる雨の中で苦しい長丁場を制す。コートの上で抱き合う男たちを濡らす雨が、かつて同じ場所で落とした涙を洗った。三本柱頼りだったチームが、初めて「チーム」で勝利をつかんだ瞬間である。

後輩の得点に、ベンチから歓声をあげる4年次生たち

2部優勝の時にあって、3部降格の時になかったもの。両方を経験した佐藤には気づきがあった。「優勝した2016年は、4年生が誰も出場していなかったけれど、先輩たちの応援があったので、僕ら下級生は良いパフォーマンスをすることができた」。雰囲気は4年次生が作るものだと、石川も声を合わせる。主務を務める川田は誰よりもベンチを盛り立て、佐藤曰く「川田がいるおかげで部がとても良く運営できている」。部内での信頼は折り紙付きだ。
チームの雰囲気を良くしようとしたことが、自然と打ち返す球のキレをあげる。佐藤はこの春、自身2度目となる2部全勝賞。背中で語るリーダーとしてコートでの仕事をも全うした。その直後には、タオルで汗を拭いながらベンチに向けて声を上げるのだ。「さあ、応援しよう!」。
「立教スポーツ」編集部から
立教大学体育会の「いま」を特集するこのコーナーでは、普段「立教スポーツ」紙面ではあまり取り上げる機会のない各部の裏側や、選手個人に対するインタビューなどを記者が紹介していきます。
「立教スポーツ」編集部のWebサイト〔http://www2.rikkyo.ac.jp/sgrp/spsports/〕では、各部の戦評や選手・チームへの取材記事など、さまざまな情報を掲載しています。ぜひご覧ください。

「立教スポーツ」編集部
社会学部メディア社会学科3年次 三平 敬太

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