「幻の橋」の記録を残したい。その思いから北の大地で写真家に
写真家 岩崎 量示さん
2025/11/17
立教卒業生のWork & Life
OVERVIEW
経済学部経営学科の卒業生で、写真家の岩崎量示さんにお話を伺いました。
タウシュベツ川橋梁(写真:岩崎量示)
卒業して数年間、一人旅で全国を巡っていました。その後、北海道上士幌 町糠平 に移り住み、やがて「タウシュベツ川橋梁」を撮るようになりました。この橋は、ダム湖である糠平湖にあるコンクリート製の廃橋梁です。ダムの水位が下がる冬は全景を現し、夏には湖底に沈むことから「幻の橋」といわれ、今にも崩れそうなまま、何十年も経っています。移住後、次第にこの橋を記録として残す価値があると感じ、撮影に取りかかりました。それ以来、写真家として20年、四季折々の橋や北海道の自然などを撮り続けています。
大学の学びで一番印象に残っているのは、2年次から4年次まで参加した須永徳武※先生のゼミナールです。資料の調べ方などの基本から卒業論文の執筆まで、アカデミックなスキルを幅広く身に付けることができました。週2回、先生とゼミの後に食事をしながら議論を交わしたことも良い思い出です。先生の専門は帝国主義研究や植民地主義研究であり、現代社会において直接役立つものとは言い切れません。しかし、自分のやりたいことを突き詰めて行動する人生でも良いのだという考えは、就職せずに放浪し、写真家という道を選んだ私にとって大きな支えとなりました。また、大学で身に付けた学びは、写真家として活動する上でも重要な下地となっています。例えば、10年ほど前から写真集の制作や写真展の開催にあたって、クラウドファンディングを活用しており、こうした取り組みにも立教時代に得た経営学の知識が生きていると感じます。
今後は、ほかの写真家の支援にも力を入れていきたいです。長年の活動の中で感じたことは、経済的な理由から写真を諦める人が少なくないということです。自分の経験や知識を生かして、私にとってのタウシュベツ川橋梁のように、何かを世に出そうとする写真家をサポートできればと考えています。
※須永徳武:名誉教授。元経済学部経済学科教授。
大学の学びで一番印象に残っているのは、2年次から4年次まで参加した須永徳武※先生のゼミナールです。資料の調べ方などの基本から卒業論文の執筆まで、アカデミックなスキルを幅広く身に付けることができました。週2回、先生とゼミの後に食事をしながら議論を交わしたことも良い思い出です。先生の専門は帝国主義研究や植民地主義研究であり、現代社会において直接役立つものとは言い切れません。しかし、自分のやりたいことを突き詰めて行動する人生でも良いのだという考えは、就職せずに放浪し、写真家という道を選んだ私にとって大きな支えとなりました。また、大学で身に付けた学びは、写真家として活動する上でも重要な下地となっています。例えば、10年ほど前から写真集の制作や写真展の開催にあたって、クラウドファンディングを活用しており、こうした取り組みにも立教時代に得た経営学の知識が生きていると感じます。
今後は、ほかの写真家の支援にも力を入れていきたいです。長年の活動の中で感じたことは、経済的な理由から写真を諦める人が少なくないということです。自分の経験や知識を生かして、私にとってのタウシュベツ川橋梁のように、何かを世に出そうとする写真家をサポートできればと考えています。
※須永徳武:名誉教授。元経済学部経済学科教授。
『立教大学校友会報No.469』より抜粋しています。
インタビューの全文は、校友会Webサイトでご覧いただけます。
インタビューの全文は、校友会Webサイトでご覧いただけます。
※本記事は季刊「立教」273号(2025年7月発行)をもとに再構成したものです。バックナンバーの購入や定期購読のお申し込みはこちら
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。
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PROFILE
岩崎 量示さん
2002年経済学部経営学科(当時)卒業。2005年より北海道上士幌町糠平に移住し、北海道遺産「旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」内の「タウシュベツ川橋梁」の撮影を始める。2018年に写真集『タウシュベツ川橋梁』、2024年に『続タウシュベツ川橋梁』を北海道新聞社より刊行した。