1998年度 立教大学アメリカ研究所主催公開講演会
多文化主義時代と映像――ハリウッド映画の中のアジア人
村上由見子
 日本人最初のハリウッド・スター早川雪洲主演の『チート』(1915年、セシル・B・デミル監督作品)の上映(ヴィデオ)と『イエロー・フェイス ハリウッド映画にみるアジア人の肖像』(朝日新聞社,1993)や『アジア系アメリカ人 : アメリカの新しい顔』(中央公論社,1997)などの著書があるノンフィクション・ライターの村上由見子さんによる講演会。
 映画の創世期から多文化主義の時代といわれる現代まで、ハリウッド映画がアジア人をどのように描いてきたのかを実際の映画(ヴィデオ映像)を見ながら検証する。講演後、質疑応答あり。

日時: 1998年12月11日(金)16:30-18:30
場所: 立教大学池袋キャンパス
太刀川記念館3階多目的ホール
講演者:
村上由見子(ノンフィクションライター)
司会: 一ノ瀬和夫(本学助教授・アメリカ演劇)

報告

 日本人最初のハリウッド・スターといわれる早川雪洲が活躍した1910年代から、多文化主義の時代といわれる現代まで、ハリウッド映画がアジア人や国内のマイノリティであるアジア系アメリカ人をどのように描いてきたのかを、実際の映画(ヴィデオ映像)をスクリーンに上映しながら検証していただきました。ハリウッド映画におけるアジア人の表象をめぐる議論にとどまらず、ハリウッドに進出したアジア人映画監督(アン・リー、ウェイン・ワン、ジョン・ウー等)や、アジア系アメリカ人映画監督・映像作家の話まで広がりを見せました。
 学内外の学生、研究者、教員、一般から多数の参加者があり、講演後、活発に質疑応答がなされました。年齢の高い参加者の中には、講演に、反米的な、ナショナリスティックな意図を読み込まれた方もいたようですが、村上氏は、そのような意図は毛頭ないし、現在は、アメリカ人(欧米の白人)がアジア人をどのように表象してきたか、よりもむしろ、日本人(アジア人)が欧米の白人をどのように表象してきたか(欧米の白人がどのようにステレオタイプ化されてきたか)、に関心がある、と最後に述べられました。

 同日、関連企画として、講演の前に『チート』(The Cheat, 1915/1918)を参考上映しました。当日配付した作品に関する解説資料(画質はよくありません)を pdf ファイルでご覧いただけます(CHEAT.pdf) 。
 なお、当日上映した『チート』は、
1915年版のインタータイトルを差し換えた1918年版です(この改訂に関する事情は解説資料、および村上氏の著書『イエローフェイス ハリウッド映画にみるアジア人の肖像』(朝日新聞社,1993)をご参照ください)。

 以下は、講演会で村上氏が配付された資料からの転載です。個々の映画に関するより詳しい情報をご覧になりたい方は、英文タイトルをクリックしてください(Internet Movie Database にリンクしています)。

12/11/1998
飯岡詩朗
立教大学アメリカ研究所

 

映像資料

 

参考文献1──村上由見子氏の著作

  • 『イエロー・フェイス ハリウッド映画にみるアジア人の肖像』(朝日新聞社,1993)
  • 『アジア系アメリカ人 : アメリカの新しい顔』(中央公論社,1997)

 

参考文献2──アジア系アメリカ人の文学作品・評論(訳書のあるもの)

  • 『ジョイ・ラック・クラブ』エイミ・タン(角川書店)
  • 『骨』フェイ・ミエン・イン(文藝春秋)
  • 『ドナルド・ダックの夢』フランク・チン(早川書房)
  • 『七つの月』シンシア・カドハタ(講談社)
  • 『ワイルド・ミートとブリー・バーガー』ロイス・アン・ヤマナカ(東京創元社)
  • 『熱帯雨林の彼方へ』カレン・T・ヤマシタ(白水社)
  • 『ミドルマン』バーラティ・ムーカジ(河出書房新社)
  • 『女性・ネイティヴ・他者』トリン・T・ミンハ(岩波書店)
  • 『ディアスポラの知識人』(青土社)

 

なお、この1998年度の講演会模様は、当研究所発行する研究年報『立教アメリカン・スタディーズ』第21号に報告記事を掲載しています。また、講師には講演をもとにした論文を寄稿していただきました。