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立教大学アメリカ研究所主催研究会

 

2010/12/4
公有地におけるアメリカ・インディアンの
聖地保護と合衆国憲法修正第1条

 

 

 

ポスター
日時:
2010年12月4日(土)15:00-17:00
場所:
立教大学池袋キャンパス11号館A201教室
 
講師:
藤田 尚則 (創価大学法科大学院教授)
 
司会:
阿部 珠理 (本学社会学部教授、アメリカ研究所所長)
 
申込:
立教大学アメリカ研究所までE-mailにて①ご氏名、②ご所属、③電話番号を明記してお申し込みください。
対象:
研究者、大学院生、教職員、一般
 
入場無料
   

 

 

 

 
報告

 この研究会で藤田氏は、公有地に位置するアメリカ・インディアンの聖地保護をめぐる論争において、合衆国憲法修正第1条にいう「宗教の自由な活動条項」と「国教樹立禁止条項」が衝突することを多くの判例をもとに解説した。その対立構図は、一方には聖地が開発されると信教の自由を侵害されるとしてアメリカ・インディアン側から提起される訴訟があり、もう一方には聖地を保護する政策が政教分離の原則に抵触するとして開発業者等から提起される訴訟があるというものである。
 これらの合憲性を判断する場合には基準が必要であるが、まず「宗教の自由な活動条項」に関しては、公権力の規制がやむにやまれぬ公益を目的としていて、手段が必要最小限度のものであることを要求する厳格審査基準が1960年代に確立され、適用されてきたことを論じ、1988年のLyng判決が転換点となり、審査基準が非常に緩やかに解釈され、信教の自由に対して配慮しない判決が下るようになったと、その歴史の流れを概説した。「国教樹立禁止条項」については、レモン・テストやエンドースメント・テストといった判断基準について検討を加えた。
 続いて藤田氏は、連邦政府によるアメリカ・インディアンの宗教保護立法の歴史について振り返った。まず「宗教的実践を保護し、保存することが合衆国の政策とされなければならない」と定めた1978年のアメリカ・インディアン信教自由法は、後の判決で「単なる声明」と見做され、法的効果が認められていないと指摘し、その後のLyng判決は合衆国議会に対してより大きな立法上の保護政策を採る必要性を意識させる結果を招き、様々な法律がインディアンの宗教や文化を保護する目的で制定・改正されたことを、実際の法案に目を配りながら解説した。しかしこれらの新たに制定された法案・決議の多くはアメリカ・インディアンとの協議を要請しているだけであり、これらを根拠に訴訟を起こすことはできないものであったと指摘した。
 最後に藤田氏は、国教禁止条項の違反にはならないで連邦政府が聖地保護に関して一定の便宜を供与することが合憲となる根拠として3つの判例を挙げ、宗教の自由な活動条項と国教禁止条項の衝突を克服する可能性を提示した。
 講演に引き続き行われた質疑応答では、1時間にわたり活発な議論が展開された。例えば司法府と行政府・立法府の間に対応の違いが見られるとの指摘に対して藤田氏は、連邦最高裁は少数者の宗教に対して非寛容になってきており、保守化傾向が認められるとした上で、政府や議会の対応は人権団体や宗教団体によるロビー活動の影響が見られるとした。そしてアメリカ・インディアンの聖地が宗教上の理由ではなく文化的・歴史的理由に基づいて保護に値するという議論に対しては、藤田氏と参加者双方から検討が加えられた。

(文責:奥村理央)

 

 

講師紹介

◆藤田 尚則(創価大学法科大学院教授)

1983年中央大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得。現在、創価大学法科大学院教授(専任:憲法担当)。
主な著書に『憲法』(創価大学出版会)、『日本国憲法』(北樹出版)、『政教分離の日米比較』(共著、第三文明社)など。本研究会との関連論文に「アメリカ・インディアンの聖地保護と宗教条項」『創価ロージャーナル』第2号(2007年)、「アメリカ・インディアン部族裁判所研究(上)」『創価ロージャーナル』第3号(2009年)、「アメリカ・インディアン政策史(1532年~1789年)(上)」『創価法学』第40巻第1号(2010年)などがある。また2007年9月から「アメリカ・インディアン法研究序説――公法学の視点から」を『創価法学』上で連載している。

 

 


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