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日時: 2007年11月8日(木)18:30-21:00 場所: 立教大学池袋キャンパス11号館2階A203教室 講師: Tony Eriacho, Jr.(ズニ、アーティスト)
Alvin Taylor(ホピ、アーティスト)
Gerald Lomaventema(ホピ、アーティスト)
Merle Namoki(ホピ、アーティスト)
伊藤敦規(東京都立大学大学院生、国立民族学博物館特別共同利用研究員)
司会: 阿部珠理(立教大学教授・アメリカ研究所所長) 使用言語:
英語(通訳なし) 予約不要・入場無料
報告 伊藤氏ははじめに先住民族の知的財産権問題と模倣品問題の概要について報告をした。現在、オーストラリアやアラスカ、北欧などの世界中で模倣行為が文化への侵害行為として問題提起されているが、集団的権利として位置づけられる先住民族の伝統的知識としてのアートは、個人的権利に基づいたもののみを対象とする現行の知的財産法制では保護されないという問題点を指摘した。伝統的知識の定義を3段階に分けて解説し、それらが現行法上で保護されない理由として、伝統的知識は権利の所有者が不明であり、永続性があり、さらに技術的要素と文化的要素に区別することが難しいことを挙げた。
続いて伊藤氏はアリゾナ州北東部に居住するホピと彼らのアートについて概説し、インディアン部族のジュエリー制作の技法について、部族ごとに説明を加えた。さらに保留地内外のマーケットを取り上げ、最近では国際的な市場が形成されていることに言及した。ホピの作る美術工芸品については、銀を主な素材とし、オーバーレイと呼ばれる技法を用いていることを紹介し、現在約200名いるホピのアーティストの9割が男性であり、すべての作品の裏側にホールマークという作家の落款があることを報告した。ジュエリーの模倣品問題については、デザインを模倣したものやホールマーク自体を模倣したものなどを、多くの写真や図を使って具体的に検討を加えた。
そのような模倣品問題へのホピからの対応としては、作家個人の対応と部族政府など集団の対応に分けて論じた。作家の個別の対応としては自ら調査や消費者教育を行ったり、アートショーを自ら企画・開催したり、コピーライトの刻印を押したり、「真正性」を保証するカードをセットにするなど、個人的権利に則った側面から対応していることを挙げた。部族政府など集団の対応としては文化保存局が講演やセミナーを行うだけでなく、作家それぞれのホールマークを部族が一括管理をして登録制度にしたりするなど、集団的権利の観点から対応していることを紹介した。
伊藤氏による概況説明の後は、アメリカ合衆国各地で模倣問題に関する消費者教育活動を行っているTony Eriacho, Jr.氏が、現地NGO、およびズニ部族政府としての立場から展望を 述べた。Eriacho氏は、先住民製と称していても実際には素材が天然の石ではなくプラスチックであったり、手作りではなく機械で作られていたりすることを実際に見本を提示して明らかにし、これらの模造品と本物の違いを見分けることは平均的な消費者には難しいことも指摘した。そのようなことから、消費者教育の重要性にも触れ、今回の来日目的がアートショーや研究会・講演会などを通じて日本の消費者に真正の先住民アートを紹介し、またホールマークなどについても知ってもらうことにあると言及した。
またホピのアーティストとして来日したLomaventema氏、Taylor氏、Namoki氏らはホピの生活や銀の価格高騰、さらに模倣品の増加について意見を述べた。アートを重要な生活の手段としている先住民が、そのアートを模倣されることによって経済的な困難に立ち至らざるを得ない状況になっており、そのことに対するアーティストとしての危機感が感じられた。質疑応答では「インディアン美術工芸法1990」施行後の訴訟やホールマークについての質問や、「真正性(Authenticity)」に関する質問が相次ぎ、活発な意見交換が行われた。
(文責:奥村理央)
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