2006年度立教大学アメリカ研究所・ラテンアメリカ研究所主催シンポジウム

 本講演会は、総合研究センターの傘下にあるアメリカ研究所とラテンアメリカ研究所が、合同で行うシンポジウムです。北アメリカ先住民族の伝統・文化について阿部教授が、そして南アメリカ先住民族の伝統・文化について実松教授が講演を行いました。阿部教授は北アメリカのラコタ・スー族のリザベーションでのフィールドワークを通じて彼らの社会、文化の特質、変容を研究してきており、『アメリカ先住民 民族再生にむけて』(角川書店、2005年)などの著書があります。実松教授は宗教人類学、とくに中米マヤ地域、南米アンデス地域、アマゾン地域に伝わるシャーマニズム、古代の伝統、世界観・宇宙観を探求するためにフィールドワークを続けてきており、『衝撃の古代アマゾン文明 第五の大河文明が世界史を書きかえる』(講談社、2004年)などの著書があります。両者による講演後、フロアとともにディスカッションを行いました。

2007/1/13

南北アメリカ先住民族の世界

日時: 2007年1月13日(土)17:00-19:30
場所: 立教大学池袋キャンパス8号館3階8304教室
講師: 阿部珠理(本学社会学部教授・本学アメリカ研究所所員)
実松克義(本学社会学部教授・本学ラテンアメリカ研究所所長)
司会: 小林憲二(本学文学部教授・本学アメリカ研究所所長)

対象:

学生・教職員・一般
予約不要・入場無料

報告

 まずはじめにアメリカ研究所所員である阿部珠理教授がラコタ・スー族の信仰を中心に北米先住民族の精神世界について講演を行った。冒頭でスー族の世界観について創世神話から紹介し、すべての存在に分け与えられたメディスンという概念(エネルギー)を論じた。そしてメディスンマンが執り行うスウェット・ロッジやサンダンス、パウワウなど、かつて法的に禁止されていた儀式が復活していることに注目し、その原因として、儀式がアメリカ先住民の民族自決運動の根拠の中心となっていたことを挙げた。だがその復興の助けとなったのが、「滅びいく民の記録」を残そうとした文化人類学者たちの記録であったことは皮肉である。そして非血縁者も招じ入れるティオシパエという拡大家族の社会システムや、ギブ・アウェイに見られる無駄のない循環の思想などの「繋がり」「循環」「調和」といった先住民思想は、「野蛮な」とか「未開の」というイメージで捉えられやすい先住民社会が、実は非常に文明の進んだ社会であることを示しているのではないかと検討を加えた。

 次に本学ラテンアメリカ研究所所長の実松克義教授が南米の中央アンデス地域に住む先住民族のシャーマニズムとその世界観について視覚資料を効果的に用いて講演を行った。実松氏はティワナコ、チャラサニ、コパカバーナといったシャーマンの住む地域を確認した後に、クランデーロ(治療師)、ブルホ(厄払い師)、アグリクルトゥール(薬草栽培師)、ミスティコ(占い師)というシャーマンの種類について紹介した。またアンデスの神々などの超自然的存在について系譜学的にまとめ、神々への供物とされるメサは、同時に自然に対しての捧げ物であり、そこには非常にエコロジカルな発想が根付いていることを指摘した。さらにアンデスの十字架というシンボルは農業暦として使われているだけでなく、過去・現在・未来・永遠という4つのパチャ(世界)や生命サイクルを表すなど思想的シンボルとしても機能していることを明らかにし、パチャこそがアンデス思想において最も重要な概念だと論じた。最後にアンデス・シャーマニズムの世界観を静的・動的な宇宙観から解説し、それらを貫いているのは二元論であると論じた。

 二氏の講演後は、質疑応答が行われ、フィールドワークをする際の研究者の姿勢などについて意見が交わされた。今回のシンポジウムは、立教大学ラテンアメリカ講座の受講生を中心に、学外からも多くの参加者を得て、会場は熱気に包まれた。この場を借りて、参加者の方々に感謝の意を表したい。

奥村理央

立教大学アメリカ研究所

 


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