2006年度立教大学アメリカ研究所主催公開講演会

 立教大学アメリカ研究所は2006年度第一回の講演会として、University of Southern California の映画・TV学科で教鞭をとるCurtis Marez氏をお招きします。Marez氏はアメリカ研究のみならず、ラテンアメリカ研究やアジア・太平洋研究を研究領域とし、映画を中心にポピュラー・カルチャーを素材に研究を進めています。今回は、写真やハリウッド映画に見られるネイティヴ・アメリカンの表象とその影響について講演していただきます。みなさま、奮ってご参加ください。

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Native Americans and Media History

日時: 2006年6月17日(土)15:00-16:30
場所: 立教大学池袋キャンパス11号館2階A204教室
講師: Curtis Marez(南カリフォルニア大学助教授)
司会: 阿部珠理(立教大学教授・アメリカ研究所所員)

使用言語:

英語(日本語原稿配布予定)
予約不要・入場無料

報告

 Marez氏は、アメリカ先住民がこれまで受けてきた差別と搾取の歴史を「インディアン奴隷制(Indian Slavery)」という言葉で表現し、その「制度」がコロンブスの上陸以来、現在まで綿々と続いてきていることを主張する。その背後では、マスメディアが重要な役割を果たしており、19世紀から20世紀にかけては写真がアメリカ先住民を被写体として撮ることで、大衆が彼らを「所有」することを促し、従属関係を再構築したと指摘した。さらに20世紀に登場した初期の映画において開拓時の帝国主義や先住民支配を繰り返すかのように、先住民の捕囚や戦闘などが描かれている背景には、エキストラとして動物以下の扱いで労働をさせられた先住民の搾取があったことを明らかにした。またMarez氏は最新のメディアであるインターネットについても触れ、ネットへの接続環境の有無が経済的・社会的成功を導く要因になるのならば、多くの先住民がその環境を有していない現状は、格差拡大の原因となり、昔からの従属関係の再生産に一役買うだろうとマニュエル・カステルの議論を引用して結論づけた。さらにSF映画が描くエイリアン像をもとに、人間にとってのエイリアンは、インディアンにとってのヨーロッパ人だという比喩をもち出した。例えば1997年の映画『コンタクト』では、エイリアンと遭遇する白人女性にインディアン性を付与し、彼らの経験を借用し、占有することで、象徴的にインディアン性を再植民化していると議論を展開した。そのようにして現代のメディアにおいても先住民は「奪われる」立場でいるが、Marez氏は最後にインディアンが絶滅するという支配的な仮説とは対照的に、インディアンは未来を、そしてアメリカ大陸を取り戻すだろうというレスリー・マルモン・シルコウの主張を引用し、先住民の未来に対する希望を提示した。

奥村理央

立教大学アメリカ研究所

 


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