観光地経営専門家育成プログラム観光研究所

平成20年度の経済産業省「産学連携人材育成事業(サービス人材分野)」において、立教大学による「観光地を革新する“観光地経営専門家”育成プログラム」が採択されました。同プログラムは、地域経営の視点から組織的に観光地全体を視野に入れて革新する観光地経営のスキルを持つ専門家の育成を目指したもので、翌平成21年度に実証プログラムが開講されました。本講座は、この成果をふまえ、さらに充実した内容で提供するものです。
所長挨拶
私たちは新型コロナウイルスのパンデミックを経験し、大国が主導する地政学的なリスクも予断を許さない状況となっています。また地球規模の気候変動や、わが国では少子化の加速化も大きな課題となっています。こうした中で観光による地域振興を図るためには、既存の「観光」にとらわれず、新たな視点から地域の魅力を再発見・再評価し、多様な地域主体の連携を図りながら人々の交流を促進し、新たな観光価値を創造することで、地域社会の活力を産み出すことが重要です。そのためには、従来の観光事業の枠組みにとどまらず、広く「地域を経営する」視点から、観光地としてのあるべき姿を描き、革新的に再構築を図っていくための専門的な知識や観光地の調査スキルを有する人材が必要です。

立教大学では、大学院観光学研究科と観光研究所が連携し、学内外の協力を得ながら、観光地を革新する“観光地経営専門家育成プログラム”を開発してきました。2015年度からは観光研究所が主体となり講座を展開してきました。今年度も、長い観光教育・研究の経験とネットワークを活かし、これまでのプログラムの実績を踏まえて、新たな時代に求められる観光地の革新と再構築を担う「観光地経営専門家」の育成をめざしてまいります。

立教大学観光研究所所長、観光学部教授 橋本俊哉
カリキュラムの内容

戦略的視点から観光地経営の革新と再構築を図る

観光客のニーズが多様化し、観光地間の競争が激しくなる中、観光地の新たな魅力づくりと観光地経営の革新が求められています。最新の観光動向をふまえ、観光地における新たな価値創造、地域情報発信のあり方や観光地経営の組織づくりなど、観光地の集客力を強化し、先進的な事例にもとづく考察やディスカッションを交えながら講義を進め、地域主導の観光地づくりを進めていくための専門的な知識や調査スキルを学びます。

観光地経営のケーススタディ

経験豊かな講師陣とともに、町並み観光地や温泉観光地の経営、さらには観光を活用した新たな地域振興の取り組みに向けて有益なヒントが含まれる事例について、フィールドワークを通じて学びます。
講義案内(2026年度)
オリエンテーション
講師:橋本 俊哉
本プログラムの円滑な受講に向けて、プログラムの趣旨、注意事項、スケジュールの説明に続き、本プログラムをより深く理解するための「オリエンテーション講義」を行う。

「観光地における価値の創造」
講師:安島 博幸
観光地に遠くから人が訪れるのはなぜか。それは、その観光地域に人を惹きつける魅力があるからである。その魅力を地域の観光的価値と呼ぶ。価値が高まれば、多くの観光客が訪れて観光地は発展し、価値が減少すれば訪れる人が減って、観光地は衰退してしまう。では価値は、どのような要因で増えたり減ったりするのだろうか。観光的価値にはいくつかのタイプがあり、タイプ毎に固有のさまざまな特徴、性質について考える。さらに、観光地において価値創造を実際に行うにはどうすれば良いか、事例も参考に検討する。

「2040年を見据えた観光の未来と地域戦略について」
講師:沢登 次彦
観光産業は国にとって、地域にとって、成長を期待される希望の産業です。コロナ禍以降、予想以上に早く、予想以上に多く、外国人が日本を訪れています。国内観光を維持しつつ、訪日外国人増による成長を創る持続可能な観光戦略とは? 未来を見据え、地域は何をしていくべきか?を、じゃらんリサーチセンターの調査及び研究内容を活用してお話しいたします。

「観光地からの情報発信」
講師:抜井 ゆかり
SNS時代となり、観光地側からの情報発信に、より戦略的な施策が必要となっている。その基礎となる観光情報の流れやSNS各々の特徴を把握し、「観光者のファンマーケティング」、「観光地とメディアの関係構築」の方法を解説する。また、インバウンド観光に関しては、国ごとに異なる事情を基礎とした「各国別のインバウンド対策」に対する留意点を概説。さらに、フィールドワークを活かし、マーケティング分析を伴う課題の提案も行う。 

「観光地の調査分析方法1:経済学」
講師:野原 克仁
日本では、2023年、2024年に記録的に暑い2年となり、2025年は統計開始以来最も暑い夏となった。そして今年、WMOは今後5年間はさらに暑くなることを予測しており、観測史上最高に近い平均気温で推移すると発表した。気候変動問題の深刻化は、地域の自然環境を劣化させ、観光産業にも大きな影響を及ぼすため、地域の自然環境を維持し、観光産業の衰退を防ぐには経済学による分析が必要不可欠である。本講義では、実際の環境保全・観光政策にも用いられている、自然環境の価値を評価する経済モデルとデータ収集および分析方法を実例と共に紹介する。

「観光地の調査分析方法2:地理学」
講師:佐藤 大祐
観光地理学は資源やアクター、動機、情報などの観点から観光に関わる空間を科学する。空間を科学することが、いかにして観光地の資源発掘や魅力作りなどに貢献していくのか。授業では、科学すること、すなわち資料やデータをどのように取得するのか、それらを分析する手法にはどのようなものがあるのか、そして得られた結果を観光地の観光戦略や集客戦略といかに結びつけるのかなどについて検討する。 

「温泉観光地の経営」・フィールドワーク(湯河原)
講師:梅川 智也
コロナ禍を経て温泉観光地が目指すべき方向性を履修者とともに考えていくことを目的とする。初日の講義である「温泉観光地の経営」では、『観光地経営の視点と実践』(丸善出版)を参考図書として、温泉観光地の経営にとって重要なポイントについていくつかの視点から学んでいく。翌日の湯河原温泉でのフィールドワークでは、現地の行政担当者の案内により、万葉公園(Park-PFI事業による)をはじめ、温泉場における再生事例など湯河原温泉の主要エリアを視察し、温泉地再生の具体的な事例を学ぶこととする。その日の最後には行政担当者も交えて総括的なディスカッションを行う予定である。

「温泉観光地の経営事例分析」
講師:桑野 和泉
保養温泉地「由布院」を題材に、地域経営をマクロの視点で考察する。講義では、由布院の持続可能性、環境保護、観光と社会的変化などのテーマについて学ぶ。100年の時間軸で捉え、現在の課題を明確にし、未来ビジョンを共有することで、持続可能な観光地としての魅力を一層高める地域経営の可能性、観光まちづくりを探求する。

「サービスデザインで考える観光のソーシャルイノベーション」
講師:柴田 吉隆
サービスデザインは、「デザイン思考」とも呼ばれる人間中心のデザインの考え方を応用して、サービスの発想や計画を利用者と提供者の双方の視点から行う活動です。このプログラムでは、皆さんが事前に行った観光地に関するリサーチをもとに、ワークショップ形式で当該観光地における新しいサービスの可能性について考えます。当該地域と住民や来訪者との関わり方にサービスを通じて変化をもたらし、地域社会や観光に対する人々の認識を変えるようなソーシャルイノベーション指向の提案をしてもらいます。

「観光地の調査分析方法3:地域の見方/歩き方①」
講師:西川 亮
本講義では、国内外の事例研究を通じて、観光振興と地域づくりを両立する方法を検討したい。あらゆる都市は必ずしも観光振興のために存在する訳ではない一方、観光振興による恩恵を享受することが求められる。地域住民の生活環境を維持しながら、どのように/どのような観光振興が求められるのかを議論したい。

「観光地の調査分析方法3:地域の見方/歩き方②」
講師:堀江 卓矢
本講義では、年間約6,000万人の観光客が訪れる京都の変遷を振り返ることでその魅力の本質に迫ります。そのうえで、京都が直面する諸課題と、京都市観光協会(DMO KYOTO)による対策の事例を紹介します。混雑やマナー違反といった問題が発生する構造や事情を踏まえつつ、「観光客や業界への啓発」「需要分散化」「高付加価値な体験開発」「市民理解の醸成」「統計整備による世論の是正」といった多角的な施策の狙いや成果、課題についてお話します。
 
「地域人材を育てる新たな視点と仕組み」
講師:大西 律子
観光まちづくりの現場では、「結局、それを誰が担うのか、動ける人がいない」との嘆きがよく聞かれ、「人材」を巡る問題が常態化している。そんな中、新しい枠組みから地域人材を捉え直し、人材の確保・育成に奔走している地域も見られ始めている。本講義では、そうした地域の事例や、担当講師が長らく携わってきた地域の担い手育成に関わる各種プロジェクトを手がかりに、「地域人材を育てる新たな視点や仕組み」について考える。

総括
講師:橋本 俊哉
本プログラムで受講した講義・フィールドワークの中から、とくに印象に残った内容を各受講者間で共有することにより、これからの観光地経営に向けた知見を振り返る。
日程・募集要項(2026年度)
2026年度の日程や募集要項など詳細については、時間表と募集要項をご覧ください。
お申込みは、受講申込フォームからお申し込みください。

申込期間:
2026年8月24日(月)00:00~27日(木)13:00

お問い合わせ:
立教大学観光研究所 観光地経営専門家育成プログラム担当
ikusei-p@rikkyo.ac.jp

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立教大学観光研究所 観光地経営専門家育成プログラム担当

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