OBJECTIVE.
文学部文学科文芸・思想専修の渡名喜庸哲教授の著書『レヴィナスのユダヤ性』(勁草書房、2025年)が、「第38回和辻哲郎文化賞」で学術部門を受賞しました。
和辻哲郎文化賞は、姫路出身の哲学者・和辻哲郎の生誕100年を記念して、1988年度に姫路市が創設した賞で、和辻哲郎の業績とその今日的意義を探るとともに、研究者の育成および市民の文化水準の向上に資することを目的に設けられました。
学術部門は、2024年9月1日から2025年8月31日までに発刊された著作物の中で、和辻哲郎が専門とした哲学、倫理学、宗教、思想、比較文化といった領域での学術的水準を備えた、優れた研究に贈られます。
授賞式は3月1日(日)に兵庫県の姫路市市民会館大ホールにて執り行われました。
学術部門は、2024年9月1日から2025年8月31日までに発刊された著作物の中で、和辻哲郎が専門とした哲学、倫理学、宗教、思想、比較文化といった領域での学術的水準を備えた、優れた研究に贈られます。
授賞式は3月1日(日)に兵庫県の姫路市市民会館大ホールにて執り行われました。
著書『レヴィナスのユダヤ性』(勁草書房、2025年)
本書は20世紀のフランスの哲学者のエマニュエル・レヴィナスについての研究書です。レヴィナスは「他者」の概念を提示した哲学者として著名ですが、リトアニアにユダヤ人として生まれ、第二次世界大戦では捕虜収容所に勾留され、戦後はフランスにおいてユダヤ人教育に携わるなど、ユダヤ思想とも密接な関わりがありました。本書では、そのレヴィナスの「ユダヤ性」の姿を、レヴィナスのテクストの読解はもとより、ヴェイユ、デリダ、バトラーといった思想家らとの対話を通じて立体的に明らかにすることをめざします。
本書は20世紀のフランスの哲学者のエマニュエル・レヴィナスについての研究書です。レヴィナスは「他者」の概念を提示した哲学者として著名ですが、リトアニアにユダヤ人として生まれ、第二次世界大戦では捕虜収容所に勾留され、戦後はフランスにおいてユダヤ人教育に携わるなど、ユダヤ思想とも密接な関わりがありました。本書では、そのレヴィナスの「ユダヤ性」の姿を、レヴィナスのテクストの読解はもとより、ヴェイユ、デリダ、バトラーといった思想家らとの対話を通じて立体的に明らかにすることをめざします。
コメント
COMMENT
文学部文学科文芸・思想専修教授
渡名喜 庸哲
この度は、栄ある和辻哲郎文化賞をいただくことができ、大変光栄に思っています。本書が扱うエマニュエル・レヴィナスという哲学者は1906年生まれで、和辻とは一回り以上も離れ面識はありませんが接点はあります。和辻と同じ1920年代にレヴィナスもドイツに留学しハイデガーに師事します。和辻が『風土』をはじめ西洋思想の枠に収まらない日本性を意識したのに対し、レヴィナスは自らの出自の「ユダヤ性」にこだわりました。私自身は西洋思想をメインに研究をしていますが、この問題が気がかりでした。長年のその研究をまとめたのが本書です。一般受けしにくい主題ですが、このたび望外の評価をいただき、後押しをいただいた気持ちでおります。20世紀のユダヤ人の経験をめぐる問題は、はからずも現在の世界情勢のなかで再び注目されてきています。哲学研究が混迷する現代社会を理解する一助となればとの思いを新たにする次第です。