2018/01/30 (TUE)

コミュニティ福祉学部の鈴木弥生教授が「国際開発学会奨励賞」を受賞

キーワード:研究活動

OBJECTIVE.

コミュニティ福祉学部の鈴木弥生教授が「国際開発学会奨励賞」を受賞しました。

「国際開発学会奨励賞」は、さまざまな学問分野で発展してきた開発問題に関する知識や経験体系を集約した学術的研究組織である「国際開発学会」が設けている賞です。審査対象は国際開発にかかわる研究成果をとりまとめた著作または学術論文で、2017年度の候補作品は、2015年1月1日から2017年6月30日までの間に公表された国際開発学会員の作品が対象となりました。 

候補作品の中から、優れた将来性のある作品として、コミュニティ福祉学部の鈴木弥生教授の著書『バングラデシュ農村にみる外国援助と社会開発』(2016、日本評論社)が、2017年度の奨励賞に選ばれました。

コメント

COMMENT

コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科教授
鈴木 弥生

本書は、バングラデシュで行われてきた日本やアメリカ主導による援助と大規模開発による農村居住者への影響、そして、社会開発を推進する市民社会の役割について分析している。1997年来毎年のように行ってきた現地調査の過程で、大規模開発が行われてきた調査対象地域において貧困女性たちが周辺におかれていることを痛感した。この発見から、同地域において、草の根のコミュニティで貧困や社会問題の解決に尽力する市民社会の理念と活動実態のみならず、ショミティ(≒小グループ)を形成して自らと家族構成員のウェルビーイング向上に努める女性たちの参加実態を明らかにするよう努めた。女性たちは、文字の読み書き、子どもの就学や識字についての理解、早婚やダウリー(結婚持参金)等の社会問題解決、家禽研修といったショミティ活動への参加やマイクロクレジットを通して、自らと家族構成員が貧困を克服する力を身につけていった。すなわち、援助や開発では「客体」視され、周辺におかれてきた貧困女性が、実は発展過程に主体的に参加し得るのである。こうして本書では、社会開発を推進する市民社会が貧困層の内発的発展を引き出し、貧困を除去し得ることを示し、開発/発展と貧困削減における市民社会の役割を検証している。
本書の刊行は、日本学術振興会2015年度科学研究費助成(研究成果公開促進費)によるもので、現地調査は、1999年来継続的に頂いた文部科学省科学研究費助成によって実施することができた。助成機関にお礼を申し上げるとともに、ご支援いただいた教職員の皆様に感謝の意を表したい。今回の受賞を励みに、今後とも研究・教育に精進してまいります。

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