価値観にとらわれるな。あらゆる個性が躍動する「新しい」リーダーシップ

社会学部現代文化学科3年次生 丸山 里音さん、理学部数学科3年次生 喜代門 拓実さん

2019/07/12

立教を選ぶ理由

OVERVIEW

あなたは「リーダーシップ」と聞いて、どんな人を想像するだろう? 文字通り「率いる人」?それとも「押し進められる人」・「まとめられる人」でしょうか? SNSが流通し、グローバル化・AIが浸透するなかで、国も枠組みを越えて互いの考えをぶつけ合い、理解し共生していくことが必要となってきている。その中で求められる人に備わっているのはきっとこれまでの堅苦しいリーダーシップではない。次世代を生き抜くために必要なリーダーシップとは何だろうか? そしてそれは、限られた人だけが持つ“特別なもの”でしょうか?

柔らかなリーダーシップ

立教大学に、GL101という全学共通科目の講義がある。リベラルアーツ教育・グローバル教育の雄として、140余年の伝統を誇り異彩を放つ大学で、圧倒的な人気を誇る講義だ。立教GLP(Global Leadership Program)というプログラムの中の講義のひとつだが、これが面白い。

提携企業からの難しいテーマに対し、学部・学年・国を越えた多様な5人一組のチームで半年か月間挑む。特筆すべきは各チームに突出したリーダーがいるわけではないということ。一人ひとりが自分なりのリーダーシップと出会い・発揮し、互いを理解し活かしながらチーム一丸となってテーマの解決策を導き出していく。今回Studyplusは、このGL101を通して新たな視点を獲得し今も成長を続ける2人の立教大生に取材した。立教GLP/GL101の魅力と、そこから見えた新時代に求められる「柔らかなリーダーシップ」を感じて欲しい。

学部を越えた多様な価値観に出会い、共に考え抜く

丸山 里音さん -GL101の企業タイアップ課題:プレコフーズ「当社が保有するリソースを活用し、売上を300億円伸ばす提 案」 -GL101の受講後、SA(Student Assistant)として、次の受講生たちを支えている。

「最初は、企業に実際に提案できるというところに興味を持ったのと、色々な学部の友達をつくりたかったのも理由の一つ」とGL101受講のきっかけを楽しそうに話す丸山さん。しかし、プロジェクトを成功させるまでには多くの困難があったそう。「全員でクライアント賞を取ろう!という目標を立てたのに、メンバーの誰からもLINEの返信がなかったり、予定が合わなかったり、チーム内の温度差がすごくあった」と苦労を思い出す。
「それでも諦めずに自らメンバーに積極的に働きかけていった。みんなで集まれるようになってからは、それぞれが積極的に意見を出し合うようになり【それぞれが秘める熱量】に気づいた」と話す。そんな彼女が、GL101での経験を通じてリーダーシップの捉え方が変わったという。「組織の中でそれぞれ持ち味というものがあって、議事録を取るのがうまい人とか、話が進みすぎたときにいったん整理しようと言える人がいるとか、それらもすべてリーダーシップのひとつだと気づいた」と話す。「本気で考えて本気で話してみんなの琴線に触れて、価値観も得意なことも違うんだって気づいたんです。それこそが、異なるそれぞれのリーダーシップなんじゃないかって」

自分の強さ・弱さ・役割に気づき、進み続ける

「GL101で、自分の強さと弱さ、そして自分なりのリーダーシップを言語化できるようになれたところが一番の成長です」と話す丸山さん。プログラムの最後では「人の良さをひきたてられるようになりたい」という目標宣言をしたそう。また、受講するだけではなく翌年にはSAを経験したことで、より深く自分を知ることができたという。「受講生を支援していくなかで自分はフィードバックが苦手だということが分かりました。どこまで踏み込んでいいのか自信がなくて、先生や他のSAに任せてしまったことが悩みでした」と語る。そしてこう続けた。「でも、実はそれでもよくて、それを得意分野だと言っている人に任せることも大事なんだと学びました」。立教GLPを受講するまではアルバイト経験もなかった丸山さんだが、今はWEBマーケティングの会社である「株式会社キュービック」で長期インターンシップに参画し、自身の特性にあったポジションで活躍している。立教GLPを受講したことで、自分と周りと社会を俯瞰する力が身につき、鋭く優しく成長し続けているように見える。

引っ張っていくだけが「リーダーシップ」ではない

喜代門 拓実さん -GL101の企業タイアップ課題:ユニリーバ「ユニリーバジャパンのブランドを活用して、社会をよりよくする 提案」 -オープンキャンパス学生運営を指揮/現在参加している長期インターンシップ先はインスタグラムの広告から 応募したそう

「高校での野球部の経験から、リーダーといえば引っ張っていくイメージだった。」と語る喜代門さん。全学部生が参加するGL101では、チームの中に理学部は自分だけ。専門も発想も全く違うメンバーで様々な問題に直面し、次第に考え方が変わったという。「5人のチームで議論を進めるなかで、率先してアイデアを出せる2人の会話が主体となってしまい、残りの3人が意見を出せない状況が生まれたことがあった。最初は「なぜ話に入ってこないのだろう」と、自分の尺度・価値観で考えてしまっていた」と話す喜代門さん。「相手を理解しようとせず、想いを汲み取れていなかったんです。」と続ける。「どうやったら意見や想いを引きだせるのか、悩み、会議の途中途中できちんと話をまとめることを続けたんです。徐々に自分の意見を話してくれて、中間フィードバックでは“意見を聞いてくれてうれしかった”と言われた」そうだ。そこからチーム全体の雰囲気が良い方向に変わっていったという。「コミュニケーションが大事だとわかったので、LINEはスタンプ一つでもいいので必ず返信しようとルールを決めた。」と笑いながら語った。

周りの良さを引き出す、それが私のリーダーシップ

「誰か引っ張れる人がいれば、その人に任せて、自分は周りに働きかけていい空気をつくっていく、それもリーダーシップなんだと発見できました。」と語る。「逆に自分のこともわかってもらえていないということも実感したので、積極的に発信していく力も身につきました。この経験は必ず将来役に立ちます。どの仕事をすることになっても人とのかかわりが一番大事になってくると思うので。」と続ける。元々は数学教師を目指していたという喜代門さん。「GLPを受講したことで自分の得意・不得意や役割がわかり、やりたいことが明確になった」という。現在の長期インターン先ではこれまでの枠を越え営業・企画・マーケティングを経験し、更なる飛躍を続けている。

受験での学びと大学でのまなび ~受験生へメッセージ~

受験での学びと、大学でのまなびは全く異なると二人は続ける。「勉強は一人で進められるけれど、社会も会社もチームで動いているんですよね。」「そうそう。一人ひとりに異なるリーダーシップがあって、その調和がプロジェクトの成功や会社の成長につながるんだと思います。勉強をしたり本を読んだりすることももちろん大切だけど、枠を超えてぶつかったり考えたり、自分を伝えて相手を理解することで得られるものはもっと大切。いろんな大学・学問があったり悩みは尽きないと思いますが、自分はどうありたいのか、広い視野を忘れず越えていってほしいですね」。

おわりに

140年以上にわたるリベラルアーツ教育を背景に、次世代に求められる「グローバル・リーダーシップ教育」を全学的に実施している立教大学。立教GLPを通じて多様な価値観に出会い、チームの中で新たな視点を獲得した受講生たちは、社会に出た後も、身に付けたそれぞれのリーダーシップスキルを活かしている。立教大学ではそれぞれの専門性の追求はもちろん、今回紹介した立教GLPの他にも学部や学年を超えた学びの場が多く用意されており、4年後には、想像以上に骨太の成長をしている自分を発見できるかもしれない。
※本記事は『スタディプラス』(スタディプラス編集部/2019年7月掲載)をもとに再構成したものです。
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。

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