コロナ下の国連ユースボランティア参加から学ぶ国際協力
—オンライン型および現地渡航型の活動経験—

岡 望美さん(異文化コミュニケーション学部 異文化コミュニケーション学科4年次)、清澤 風歌さん(観光学部観光学科4年次)

2022/05/30

RIKKYO GLOBAL

OVERVIEW

2021年度「国連ユースボランティア」に、立教大学から3名の学生が派遣されました。

国連ユースボランティアは、世界の平和と開発を支援するためにボランティアリズムを推進する国連機関である国連ボランティア計画(UN Volunteers, 以下UNV)が、大学と連携して学生を開発途上国へボランティアとして派遣するプログラムです。

約5か月間、開発途上国の国連事務所等の国際機関に派遣され、各機関のスタッフや現地の人々ともに活動に従事します。様々な分野で、広報活動やプロジェクト運営支援、調査分析などの活動に携わります。

2021年度は、オンラインで活動を開始し、海外渡航条件の整った段階で現地派遣に切り替えて活動を行いました。立教大学からは計3名の学生が参加しました。今回は、ラオスの国連ボランティア計画(UNV)に派遣された岡望美さんと、タイの国連常駐調整官オフィス(UNRCO)に派遣された清澤風歌さんにお話をうかがいました。

インタビュー学生(2名)

  • 氏名:岡 望美さん(OKA Nozomi)
  • 所属:異文化コミュニケーション学部異文化コミュニケーション学科
  • 派遣年度・派遣時年次:2021年度派遣(当時 4年次)
  • 派遣先国:ラオス(ビエンチャン)
  • 派遣先機関:国連ボランティア計画(UN Volunteers)
  • オンライン活動期間:2021年10月、
    現地活動期間:2021年11月~2021年2月
  • 氏名:清澤 風歌さん(KIYOSAWA Fuka)
  • 所属:観光学部観光学科
  • 派遣年度・派遣時年次:2021年度派遣(当時 4年次)
  • 派遣先国:タイ(バンコク)
  • 派遣先機関:国連常駐調整官事務所(UNRCO)
  • オンライン活動期間:2021年9月~12月、
    現地活動期間:2021年12月~2022年1月

参加のきっかけ、目標を教えてください。

岡さん 入学時から国連ユースボランティアには興味があり、3年次(2020年度)に申込を検討していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により叶いませんでした。4年次での参加は、就職活動との両立や卒業時期の変更など様々な要因から出願をするか悩みましたが、自分が国際協力・開発分野に興味をもったきっかけとなったラオスでのポストが発表されたことをきっかけに出願を決意しました。国連が開発やSDGsをはじめとした課題にどのように関わっているのかを学び、自分が将来どのような視点や立場から携わることができるかを明らかにしたいと思いました。

清澤さん 以前から国際協力という分野に関心があり、大学で専攻している観光学でも観光開発の持続可能性やコミュニティのエンパワーメントについて扱う講義には積極的に参加していました。講義だけではなく、それまでの大学生活で様々な地域に旅行して現地の暮らしを体験していたり、渡航先で青年海外協力隊の仕事を身近に感じていたりしていたのがこの分野への思いを高める要因になっていたと思います。

このプログラムに応募する直接的なきっかけとなったのは、友人からの後押しだったように思います。関心があるとはいえ、参加前に国連を身近に感じたことはありませんでした。そのため、「自分自身が1人の当事者として高い目的意識をもちながら活動に取り組むこと、多くを学び吸収すること」を目標に参加しました。

派遣された機関について、また今回携わった業務について教えてください。

岡さん/UN Lao PDRのツイッター

岡さん 私は、UN Volunteers Lao PDR(以下UNVラオス)に、Support Officerとして派遣されました。UNVラオスは、Country Office(国事務所)で、ラオスをフィールドに活動している機関です。

私はそこで、ラオスにおける「ボランティアリズムの推進」と「ボランティアの動員」という大きく分けて二つの業務に従事していました。「ボランティアリズムの推進」に関わる業務では、国連ボランティアデーのイベント運営や国連ボランティアの体験談執筆、SNS広報などに携わりました。「ボランティアの動員」に関わる業務では、UN Lao PDRに所属する全ての国連ボランティアたちのマネジメントや、新しい国連ボランティアのリクルートメント業務などに携わりました。

清澤さん/国連タイのツイッター(©UN Thailand, 2021)

清澤さん 国連常駐調整官オフィス(UNRCO)は、タイにある21の国連機関が主導する開発プログラムを統括し、関係機関との調整や国レベルでの意思決定をおこなっています。2019年の組織改革によって開設された新しい機関で、タイではアジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)と密に連携しながら業務にあたっています。

私はコミュニケーションズアシスタントとして、上司と共に広報・啓発活動に従事しました。活動中はUNRCOが管理する国連タイのSNSとウェブサイトを運用しており、常駐調整官(RC)が出席する会議やイベントのレポート掲載、各国連組織が発信するタイに関わるニュースやプレスリリースの拡散を日常業務としていました。この他、国連デーや国際女性デーといった組織を横断して実施されるグローバルキャンペーンや刊行物がある際には、情報を統括したりローカライズさせたりする業務にも携わりました。

印象に残っている活動を教えてください。

清澤さん(写真中央)/フィールドビジットの様子(©UNNicolas Axelrod)

清澤さん 任期開始後4ヶ月近くを日本からリモートで活動していたので、現地渡航後にフィールドビジットに同行させていただいたり、他のUNVとのミートアップを企画したり、人と直接会うことができた活動は概して印象に残っています。

特に、国連持続可能な開発協力枠組み(UNSDCF)の調印式は初めて国連スタッフと対面できた場でした。広報業務に携わるにあたり、連日活動をフォローしていた各組織の駐在代表の方達と同じ場にいるというのは感慨深かったです。任期を通してこの枠組みの作成過程や調印式開催に伴う会議に同席し、いかに多くの関係者が時間をかけて作っていくのかを実感していたので、実際に完成して公にされる瞬間に立ち会えたという意味でも印象に残っています。

岡さん(写真右下)/オンラインミーティングの様子

岡さん 国際ボランティアデーのイベント運営サポートと、新しいボランティアの受入れのためのリクルートメント業務のサポートが印象に残っています。

国際ボランティアデーのイベントは、UNVにとって一年で一番大きな仕事で、UNVが主体になって実施しています。私はパートナーとの調整や広報業務などの面から様々な準備に取り組みました。

リクルートメント業務では、面接前後の準備だけでなく、実際に面接官としてインタビューに参加する機会もありました。各国連機関や募集ポストによってどのような人材が求められているか、どのようなスキルを重要視しているかといった点を学ぶことができました。

活動を通して、国際協力に関してどんな学び・知見を得ましたか

清澤さん(写真左上)/オンラインミーティングの様子

清澤さん 国連がいかにグローバルな組織であるか身をもって実感したと同時に、日々どれだけ多くの関係者と外交的なやりとりが行われているのかを学びました。例えば前者であれば、世界各地で様々な分野の専門家が働いているという多様性から、後者は異なる優先事項を持つ各国政府や開発銀行とのミーティングに同席することで感じました。どの組織や団体もそれぞれ違った専門性や予算をもっているので、RCOが担うコーディネーション業務はインパクトを高め調整の取れた対応をするためにとても重要であると感じました。
岡さん 国連は、国際協力分野の最前線でありながら現場と少し距離感のある独特な立場です。そこで働く多くのスタッフは専門性と現場経験を兼ね備えているからこそ、国連が各種プロジェクトを進めることができるということを学びました。

また、国際協力のあり方やアプローチの仕方は多種多様だということも学びました。日本にいると、国際協力の分野の仕事は、国連をはじめとする国際機関やNGOなどに注目してしまいますが、今回、多くの国内外の民間企業がSDGsに関連した事業の展開や雇用・ビジネスを通じた開発などを行っているところを目にし、広義での国際協力・開発を理解することができました。個人での活動も含め、どの立場もそれぞれ得意な分野や仕事があり、この先自分がどこういった視点から携わっていきたいかをじっくりと考える機会になりました。

国連ユースボランティアでの経験を今後どのように活かしていきたいと思いますか。

岡さん 私は今回の派遣期間中、多くの国連スタッフや現地で活動する日本人の方々にお話を伺う中で、国連でのキャリア形成にも本当に多様なルートがあること、そして国連以外の立場や組織で国際協力・開発分野で活動する方法も知ることができました。

卒業後、私は民間企業に入社する予定です。国連という組織だけが世界の課題に取り組むのではなく、持続可能な社会を目指すには多種多様な視点から包括的に取り組まなければいけないと考えているので、今回の経験を活かし、今後は自分の所属する企業を通じてSDGsや開発分野に貢献したいと思っています。

岡さん(写真左)/国連スタッフとともに

岡さん(写真右)/国連スタッフとともに

清澤さん まだ進路は決まっていませんが、大学院に進んでコミュニティベースドツーリズム(CBT)や持続可能な観光のマネジメントについて勉強したいと思っています。RCOでは国レベルでの政策やプロジェクトについて扱うことが多かったのですが、そこで学んだ気候変動のようなグローバルな課題に対するアプローチや、どのように市民や他のステークホルダーをまきこみ取り組んでいくのかという視点は今後観光をまなざす上で自分の視野を広げる重要な観点になると思っています。

今後も柔軟性や行動力を活かして自分ができるボランティア活動を続けていきたいと思っています。

清澤さん(写真右)/オンラインミーティングの様子

清澤さん(写真右)/UNSDCFの調印式で初めて対面した国連スタッフとともに

(以上インタビュー)


オンラインで活動する期間もあり例年と異なる困難も多かったことと思いますが、実体験に基づき国連や国際協力について深い学びを得ることができたことをうかがうことができました。

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