英語学習を通じて、英語力+αを獲得しよう。

英語学習で大切なこと、英語を学ぶもう一つの価値

2020/07/31

RIKKYO GLOBAL

OVERVIEW

大学入学者選抜改革に伴い、より実践的な力が求められるようになった新しい英語教育カリキュラム。立教大学は、その象徴である英語4技能(読む・聞く・書く・話す)を重視し、新たな英語教育カリキュラムをスタートさせました。未知の自分や世界と出会うきっかけを与えてくれる英語。その学習において大切なことを、立教大学外国語教育研究センターの新多了教授にお聞きしました。

インプットとアウトプット、英語4技能を「相互作用的に」学ぶ

英語4技能は、「読む」「聞く」のインプット・スキルと、「書く」「話す」のアウトプット・スキルに分かれます。これまで学校英語では、インプットを重視した教育が行われてきました。その理由の一つは、大学受験においてアウトプットの力があまり問われてこなかったからです。しかし、英語でコミュニケーションをするとき、「読む」「聞く」だけでは自分を表現することができません。教室の外の世界では「書く」「話す」というアウトプット・スキルも含めて、英語を統合的に使うことが求められます。

また、アウトプットは文法への意識を高めてくれます。たとえば英語のニュースを聞くとき、私たちは「これは何について話しているのだろう」とキーワードを探し、キーワードが見つかると大筋を理解することができます。では、ニュースを自分が「話す」立場になるとどうでしょう。内容をキーワードだけで伝えることは不可能です。「どの単語が適切か」「語順はどうすればいいか」「動詞はどのような形にすべきか」など、さまざまな文法的側面に意識を向けざるを得なくなります。さらにその過程で、自分の英語の知識やスキルが十分でないことに気づく機会も得られます。そのため、学習の早い段階からアウトプットを行い、英語4技能を「相互作用的に」学ぶことが重要なのです。

「伝えたい」を持つ人は、最初は英語が苦手でも大きく伸びる

英語学習を効果的に行うためには、学ぶ人のマインドも重要です。“英語の学習を自分ごとと捉え、自律的に学ぶ姿勢”と言ってもよいでしょう。その姿勢をつくるのに不可欠なのがモチベーションです。モチベーションを高めるにはいくつかのポイントがありますが、「理想とする英語の使い手」を思い描くのも有効な方法の一つだと思います。そのとき、家族、先生、友人、好きなアーティストや俳優など、どなたか具体的なモデルがいるといいですね。思い描く将来像が具体的であればあるほど、その姿に引き寄せられて現在の行動が変容し、英語も上達するからです。

また、英語を話すこと以前に、伝えたいメッセージを持っていることが大事だと思います。昨年、あるクラスのディベートの授業を担当したときのことです。そのクラスの学生たちは英語があまり得意ではなく、授業が始まるまではどうなることかと思っていました。しかし、いざディベートを開始すると、一人ひとりが伝わる英語で自分の考えをしっかりと話し、白熱した討論が展開され、その姿は今でも印象に残っています。英語は目的ではなく、自分が伝えたいメッセージを伝えるための手段です。「伝えたい」を持っている人は、最初は英語が苦手でも、学習を通じて大きく伸びる可能性があります。

4年間の英語学習を通じて「深く考える力」も身につけてほしい

大学で英語を習得するというと、たとえば外国語学部などで学ぶイメージが強いかと思いますが、立教大学ではすべての学部でその専門領域を英語で学びます。これは本学の大きな特色です。と言っても、入学してすぐにではありません。まずは1年次の春学期、「英語ディスカッション」によって英語で表現する力を養い、秋学期は「英語ディベート」を通して英語で論理的に説明する力を身につけ…というように、1年次から段階的に英語力を伸ばし、英語で専門科目を学ぶための準備や、留学に向けて着実にステップアップできる仕組みがつくられています。

こうした学びを通して、単に英語を流暢に話すといった表層的な英語力だけでなく、「深く考える力」を身につけていただきたいと願っています。言語を学ぶということは、新しい価値観を知るということです。日本語しか知らない自分と、日本語も英語も知っている自分とでは、物の見方・考え方が大きく異なるでしょう。かつてないほどダイナミックな変化の時代を生きる私たちにとって、深く考える力、物事を多角的に捉える力は、とくに重要だと思います。

英語を学ぶこと=自分自身を創ること

外国語教育研究センター 新多 了 教授

私の学生時代の経験をお話しさせていただくと、大学を1年間休学してイギリスに留学していたとき、レポート課題に苦労したことで考える力が身についたという実感があります。そのレポートは当然のことながら英語で作成するわけですが、イギリスの学生なら1週間で書けるものが、私は3週間かかるのです。自分の母語ではない、違う言語で考え、物を書くということはこれほど大変なものか…と身を以て知ると同時に、そのプロセスを通じて、論理的に考える力を得ることができました。

このように英語学習を通して得られるものは多くあり、英語を学ぶことは自分自身を創っていくことにもつながります。それが、英語を学ぶもう一つの価値ではないでしょうか。
世界に存在する多種多様な言語の中で、英語は一番使われている言語です。国際共通語としての英語ということが言われますが、英語を習得すれば、アメリカ人やイギリス人だけでなく、どれほど多くの国の人々と交流できることでしょう。働き方や生き方においても、どれほど人生の可能性が広がることでしょう。立教大学の充実した英語教育プログラムを通して、世界で活躍できる確かな英語力を身につけてください。

プロフィール

PROFILE

新多 了

立教大学外国語教育研究センター教授

2000年3月、上智大学文学部英文学科卒業。英国ウォーリック大学大学院応用言語学研究所において修士号、博士号を取得。名古屋学院大学外国語学部教授、名古屋学院大学大学院外国語学研究科教授などを経て現職。専門は第二言語習得。担当科目(2020年度)は「英語ディスカッション」「英語リーディング・ライティング2」「Content and Language Integrated Learning」(大学院)など。著書に『「英語の学び方」入門』(研究社)、『英語学習法に悩むのをやめる本』(アルク)などがある。

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