英語を実践的に使いこなす「もう一歩進んだ力」を
——2020年度、立教の英語教育カリキュラムが変わります

立教大学が英語4技能を重視する理由

2020/01/28

RIKKYO GLOBAL

OVERVIEW

立教大学では、より実践的な英語運用能力を備えたグローバルリーダーの育成を目指し、2020年度から新たな英語教育カリキュラムをスタートさせます。さらに、新カリキュラムを学ぶ上で不可欠となる英語4技能に秀でた学生の入学を促進するため、2021年度入試から大学独自の英語試験を廃止し、民間の英語資格・検定試験を全面的に導入します※。新しく始まる英語教育カリキュラムの具体的な内容と、入試改革との関連性について、池田伸子副総長(国際化推進担当)に伺いました。

※大学入学共通テストの英語成績も利用可能。また文学部のみ、本学独自の英語試験で受験できる試験日があります。

これからの社会で求められるもう一歩進んだ英語運用能力を養うために

立教大学では、創立150周年を迎える2024年に向けた国際化戦略「Rikkyo Global24」を2014年に策定し、学生の海外留学の促進、外国人留学生の受け入れの拡大をはじめ、多方面で国際化を推進してきました。この戦略を基盤とする構想は文部科学省「スーパーグローバル大学創成支援事業」に採択され、「自ら考え、行動し、世界と共に生きる」新しいグローバルリーダーの育成に向けた取り組みを活発化させています。

グローバルリーダーに欠かせない力の一つが、英語運用能力であることは言うまでもありません。「英語の立教」と称されてきた本学では、2010年に1クラス8名程度という少人数で行う「英語ディスカッション」を全学部1年次必修とするなど、これまでも他大学に先駆けて先端的かつ特色ある英語教育を展開してきました。2020年度から導入する新たな英語教育カリキュラムでは、それをさらに発展させ、立教の英語教育を次のステージへと進めていきます。

これからのグローバル社会で求められるのは、英語をツールとして使いこなしながら、多様な背景や価値観を持つ他者と協働し、社会のさまざまな領域で新たな解決策を見出していくことができる人物です。そのためには、単に「英語を話す」だけでなく、英語でロジカルに考える力や、英語を使って説得する力、専門領域について英語で議論できる力など、もう一歩進んだスキルが必要になります。新カリキュラムでは、こうした力を全ての学生が身に付けることができる環境を整えていきます。

1年次必修に「英語ディベート」科目を新設 英語で討論し、批判的かつ論理的に考える力を鍛える

[表1]2020年度以降の1年次の英語必修カリキュラム

新たな英語教育カリキュラムの柱は、大きく分けて二つあります。一つは、1年次必修カリキュラムにおける「英語ディベート」科目の導入。もう一つは、2~4年次において「専門領域を英語で学ぶ」ための学びの体系を整えていくことです。

まず前者については、2020年度より、学部1年次生全員を対象とする英語必修カリキュラムにおいて、これまで通年で開講していた「英語ディスカッション」科目を春学期のみの開講とし、秋学期に「英語ディベート」科目を新たに設けます。

身近なテーマについて英語で話し合う「英語ディスカッション」は、英語を使うことに慣れていなかった学生が、まずは積極的に会話できるようになるという点では大きな効果があり、本学独自のプログラムとして高く評価されてきました。

しかし、導入から10年が経った現在では、スピーキング力だけでなく、さらにもう一段階進んだ力が社会から求められています。それは、社会人基礎力や21世紀型スキルと言われる、自分で考える力や物事を批判的に見る力、相手と対話しながら議論を発展させていく力などです。こうした力を養うため、従来の「英語ディスカッション」科目に加えて、「英語ディベート」科目を新たに設置することにしました。

「英語ディベート」科目では、社会問題などを題材に、賛成派と反対派に分かれて英語で討論を行います。1クラスは20人程度で、討論の前後の授業では、準備や振り返りのための時間も設けます。ディベートを行うためには、単に英語で話すだけでなく、相手の話を理解し、それに対する反論をしなければなりません。自分たちの主張の論拠を示すためのエビデンスも必要です。授業を通して、批判的かつ論理的に考える力や、情報を収集して活用する力、他者と建設的に議論する力を、1年次生全員に身に付けてもらいたいと考えています。

さらに、同じ1年次必修科目である「e-learning」も2020年度から変わります。これまでは学内のPC教室でe-learningを実施していましたが、新カリキュラムでは基本的に自宅学習となり、授業では事前に学んできた内容に基づくアクティビティを行います。また、教材もTOEICのスコアを伸ばすためのものに切り替える予定で、より学びの目的を明確化していきます。

「専門領域を英語で学ぶ」ための力を 「CLIL(内容言語統合型学習)科目」を通して段階的に身に付ける

国際化推進担当副総長 池田 伸子 教授(異文化コミュニケーション学部)

新カリキュラムのもう一つの特色は、「専門領域を英語で学ぶ」ための学びの体系です。1年次の必修科目を経て、2年次以降も継続的に英語学習を進めていく上で、大学における一つの到達点は何か。それは、卒業後に専門性を生かしてグローバルな環境で活躍することを見据え、学部の専門領域を英語で学ぶことだと考えています。そのために、各学部・学科が英語で開講する専門科目「学部EMI(English as a Medium of Instruction)科目」を、今後さらに充実させていく予定です。

しかし、経済学や法学などの専門領域をいきなり英語で学ぶのはハードルが高いため、まずはディスカッションやディベートなどの1年次の英語必修科目において、専門領域に関連する内容を緩やかに取り入れます。その次のステップとして、2年次以上を対象に設置するのが「CLIL科目」です。CLIL(Content and Language Integrated Learning)は「内容言語統合型学習」と訳され、教科や専門領域の学習と言語学習を組み合わせた新しい学びの形として近年注目を集めています。この「CLIL科目」を通して専門領域に関する英単語や英語表現を学び、学部の専門科目を英語で学ぶための土台となる力を身に付けていきます。

「学部EMI科目」への橋渡しとなる「CLIL科目」は、全学部生が選択できる自由科目として2021年度から順次開講し、2024年度の完成を目指します。また、初級科目と中級科目の2つのレベルを設け、初級科目では人文科学、社会科学、自然科学の3領域に分かれて学び、中級科目は、より各学部の専門性に合わせた形で展開していく予定です。

新英語教育カリキュラムに対応できる 「4技能をバランス良く備えた人」を受け入れていく

[表2]新英語教育カリキュラムにおける4年間の学びの流れ

1年次の必修科目で英語によるコミュニケーション力や思考力を鍛え、専門領域を英語で学ぶための入り口に触れる。そして2年次以降は自分のレベルに合わせて「CLIL科目」を履修し、徐々に専門性の濃度を高めながら「学部EMI科目」へと進んでいく。このように、新カリキュラムでは1~4年次を通じて、目的意識を持って継続的かつ段階的に学びを進めていくことができるようになっています。

こうしたカリキュラムの下でしっかり学んでいくためには、大学入学時までに「聞く・話す・読む・書く」という4技能をバランス良く身に付けていることが求められます。「英語ディベート」科目をはじめとする1年次必修の学びにスムーズに入っていくには、英語を「使う」力をある程度備えている必要があるからです。しかし、残念ながら個別の大学の試験では、そうした力を測るには限界があることも事実です。そのため、2021年度入試から全ての入試方式で大学独自の英語試験を廃止し、本学で既に利用実績があり、4技能を適正に測ることができる民間の英語資格・検定試験を導入するに至りました※。

※ 大学入学共通テストの英語成績も利用可能。また文学部のみ、本学独自の英語試験で受験できる試験日があります。

今回の英語教育カリキュラムの刷新、それに伴う入試改革により、立教のグローバル教育は新たな段階へと進んでいきます。同時に、これまで進めてきた外国人留学生の受け入れを一層推進し、多様な人々と共に授業を受ける機会をさらに増やしていく予定です。ダイバーシティに満ちた環境の中で、学生同士が英語を使って共に学び合い、シナジーを起こしていくことができるよう、これからも教育内容のさらなる充実を図っていきたいと思います。

プロフィール

PROFILE

池田 伸子

立教大学国際化推進担当副総長(異文化コミュニケーション学部教授)

1961年秋田県生まれ。1986年3月国際基督教大学教養学部卒業。1997年1月国際基督教大学大学院教育学研究科視聴覚教育専攻博士課程後期課程中退。博士(教育学)。九州大学留学センター助教授を経て、2002年10月立教大学経済学部助教授に着任。2004年4月同教授、2008年4月異文化コミュニケーション学部教授。2012年4月~2018年3月異文化コミュニケーション学部長。2018年4月より副総長(国際化推進担当)に就任。専門分野は日本語教育、教授法開発、インターネット、学習者特性、教授法。

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