キャリアシンポジウム「AIと異文化コミュニケーションが出会うとき、世界はどう変わる?」開催レポート

異文化コミュニケーション学部 野本 響葵さん、シ ウコウさん、塩原 琉平さん

2026/02/18

キャリアの立教

OVERVIEW

2025年11月29日(土)、異文化コミュニケーション学部主催第8回キャリアシンポジウム「AIと異文化コミュニケーションが出会うとき、世界はどう変わる?」を開催しました。イベントの様子を在学生が報告します。

基調対談

基調対談では、「AIと異文化コミュニケーションが出会った際、何が起こるのか」という問いを中心に「研究」「実践」「教育」の3つの観点から、本学部教員の師岡淳也教授のファシリテートの下、本学部教員の山田優教授と石黒武人教授によって、ディスカッションが行われた。

まず、「研究」の観点からは、石黒教授がコミュニケーション学の視点を通して、生成AIを「異質な他者」と認識し、我々が単にAIを使う一方向的なものではなく、AIと人間が互いに影響を与え合う関係であるといった意見が述べられた。これに関連して、山田教授からはAIの基礎学習であるプリトレーニングには国ごとの情報格差が存在し、その後に行われるポストトレーニングによって国や会社といった人間組織の違いが生まれるとの見方が指摘された。
次の「実践」の観点では、私たちがAIを使う際に使用するプロンプトには無意識にバイアスや思い込みが組み込まれ、結果的にAIの回答が偏ったものになってしまう問題について言及された。これに対して、先生方からは、AIを使用することで偏見を生むことにもつながり、このような状況を回避するためには、私達人間が文化間を取り持つ「仲介者」としてAIを考える必要があるとの意見が述べられた。この先生方の見解を聞いて、私は、チャットGPTなどのAIを使う際は、ITリテラシーのように「AIリテラシー」を駆使しながら、物事やアイデアを共創する関係を構築していく必要があると感じた。

最後の「教育」の観点では、山田教授が通訳・翻訳分野の視点から、AIが提供してくれるアイデアや翻訳の選択肢の中から適切なものを中立的な立場で選択するスキルを養う必要があるとの考えが示された。また、石黒教授は、「人間とAIの対話や関係を今後どのように構築していくかを引き続き議論し続けねばならない」と指摘し、本対談が終了した。

先生方の対談を拝聴し、私は、異文化コミュニケーションの可能性を大きく感じた。なぜなら、生成AIという私達にとって身近になりかけてきている存在を「異質な他者」として捉え直すことによって、新たな視点を産み出し、物事の本質を掴むことが重要であると考えたからだ。一見、私達が思う「他者」とは、異なる様な新しい存在であっても、その対象との共存を考える異文化コミュニケーション学を改めて興味深い学問だと感じた。今後、学生生活を送る中で、新しい存在に出会った際にうまく対応して良い関係を築ける視点を持ち、学びや経験を深めていきたい。(1年次 塩原 琉平さん)

パネルディスカッション

基調対談に続き、師岡教授の進行のもと、卒業生・在校生によるパネルディスカッションが実施された。登壇者は、卒業生の長谷川凌太郎さん(2020年卒業)、根本怜奈さん(2024年卒業)、4年次在学生の西澤城太朗さん、ジョンジミンさんである。本ディスカッションでは、生成AIを仕事や学業、日常生活の中でどのように活用しているかを起点に、生成AIの登場が異文化コミュニケーションの考え方や実践に与える影響について意見が交わされた。自動車会社に技術職として勤めている長谷川さんは、AIを活用した開発の現場においても最終的な判断は人間が担う必要があると述べ、商社で働く根本さんは、生成AIによる文章は人の思考が伴っていない場合に見抜かれてしまうリスクを指摘した。在校生からは、実体験を通じた気づきが重要であり、生成AIはそれを補助する存在であるという意見が示された。
本ディスカッションを通して、生成AIと異文化コミュニケーションの関係においては、想像以上に「人間の判断力」が重要であることを感じた。AIは便利なツールである一方、それをどのように使い、どう受け取るかは人間次第であるという点が、登壇者全員の話から共通して伝わってきた。特に印象に残ったのは、「見抜く力」である。相手の背景や置かれている状況を踏まえ、その場に応じて判断する力は、数値化や自動化が難しく、経験を通して身につけていくしかないものだと感じた。在校生の意見にもあったように、異文化コミュニケーションの学びにおいては、経験を通して何を感じ、どのように考えたのかが何より重要である。生成AIは思考の整理や言語化を助けてくれる存在ではあるものの、自分自身の感情や体験そのものを代替することはできない。むしろAIを活用するからこそ、状況を判断し、相手を想像して自分の言葉で伝える力がより一層求められるのだと感じた。今回の対談は、経験と判断力を軸にAIと向き合う姿勢の重要性を再確認する機会となった。(2年次 野本 響葵さん)

ポスター発表

ポスター発表では、本学部の在学生が中心となり、海外・国内フィールドスタディ、インターンシップ、サービスラーニング、立教日本語教室、立教コミュニティ翻訳通訳RiCoLaS、学部公認学生団体LINK CICなど、計12団体による活動報告が行われた。各団体は、授業や正課外活動を通して取り組んできた内容や、そこで得た学びについてポスターを用いて発表を行った。参加者は会場内を自由に移動しながらポスターを閲覧し、実際に活動に関わった学生と直接対話する形式で実施され、本学部の学びや地域社会との連携活動の魅力を伝える機会となった。

私が担当したサービスラーニングA/Bは、地域との連携を通して外国にルーツを持つ子どもたちを支援する授業である。近隣の中学校に通う生徒を対象に、入り込み活動や放課後学習活動を行い、宿題のサポートや日本語指導など、言語面・コミュニケーション面での支援をしている。これらの地域連携活動を通して、多文化社会への理解を身につけることが目的だ。私は立教大学近くの中学校で行われている「入り込み活動」に参加し、中国語や英語を活かしながら、外国にルーツを持つ生徒への言語支援(ウィスパリング)や学習環境づくりに取り組んだ。活動を通して、「支援」とは、単なる「通訳」や「説明」ではなく、人と人をつなぐ関係づくりであると実感した。また、自身の発表を通して、限られたスペースの中で要点を整理し、初めて話を聞く人にも伝わるよう工夫することの難しさと大切さを学んだ。来場者との対話では、高校生、大学生、社会人など立場によって質問や関心が異なり、相手に応じて伝え方を変える必要性を強く感じた。

今回のシンポジウムのテーマである「AIと異文化コミュニケーションが出会うとき、世界はどう変わる?」に関連して、AIは言語の壁を低くする一方で、相手に寄り添い関係性を築く役割は人にしか担えないと感じた。AIと人の支援が補い合うことで、より安心して学び、共に生きる多文化社会が実現していくのではないかと考える機会になった。(2年次 シ ウコウさん)

※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。

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