ラテンアメリカ講座・講義
ラテンアメリカ論・ラテンアメリカ文学
ラテンアメリカ論Ⅰ:先住民社会から近代を見つめる
講師清水 透
「発見」から現代にいたるラテンアメリカの歴史を、先住民社会から見つめることを通じて、私たちが当然のこととして受け入れてきた近代という時代を考え直す。
授業内容
年間授業計画
1)インディオと私:1979年以来メキシコの先住民社会チャムーラ村で調査を続けてきた自分を振り返る。
2)ラテンアメリカの今:今何が問題として浮上しているか、映像を中心にサパティスタ運動のここ15年をふりかえりつつ、ラテンアメリカの「今」が何を僕たちに問いかけているかを考える。
3)なぜそのような「今」となったのか。以後の講義では、その原因を歴史を遡って考える。まず第一は、原点としての「発見」の現代的意味。
4)第二に、植民地支配のあり方を、空間構造の再編過程のなかに見る。
5)第三に、キリスト教化と、それに対する先住民の文化の創造力について考える。
6)第四に、植民地支配に対する先住民側の武力抵抗と、それ以外の抵抗のあり方について考える。
7)第五に、白色国民国家構想を軸に展開する19世紀の近代化過程と先住民社会との関係を考える。
8)第六に、プランテーションと先住民労働の関係を具体的事例としてとりあげ、資本主義と先住民共同体、祭りとの関係について考える。
9)第七に、国家による「自分探し」と混血性の主張について考える。
10)第八に、サパティスタ運動の原点ともいえるメキシコ革命の意味と限界性について考える。
11)第九に、1970年代以降現在にいたる先住民村落と都市との関係の激変の現状を紹介しつつ、植民地的秩序の液状化の様相を捉える。
12)最後に、「虐殺の村アクテアルで考える」と題し、ラテンアメリカの近代化の歴史から、僕たちは何を学ぶべきかを考える。
学習方法
パワーポイント、映像資料などを用いて、講義形式で行われます。
教材
毎回、参考文献一覧を含む詳細なレジュメを配布。パワー・ポイント、映像資料を活用。
主要参考文献:清水 透 著『エル・チチョンの怒り』 1988年、東京大学出版会
受講生の声
「講義内容のレベルは高くて、私にとりましては、とてもよい刺激になっております。清水先生のご精進ゆえかと思いますが、思策の深さ、博覧強記に本当に自分の勉強不足を感じています。テーマが終了するたびに提出するレポートも当初は負担に感じましたが、今は、拙い文章や、考えであっても、自分の学んだことを整理するよい機会になっています。」
「レジメを配り、毎回高度な講義をされるのには頭がさがる思いです。こちらの基礎知識がないために、6~7割しか理解できない感じですが、レベルを下げる必要はないと思います。映画も楽しかったです。」
ここがオススメ
2009年から開講した授業です。清水先生の授業ではひとつのテーマを終えるごとにレポート提出が要求されます。課題の提出数や、午前中の授業は、平日多忙をきわめる社会人には厳しく感じられるかもしれません。2009年度はどなたにもご満足していただけました。カルチャー講座とは一線を画した本気で学びたい方を対象とした授業です。これまでの視点を覆すアカデミックな刺激を受けてください。
ラテンアメリカ論Ⅱ:現代ラ米情勢
講師伊高浩昭
ラテンアメリカ(以下ラ米)情勢を現在進行形で伝え、分析し、世界および日本との同時性を探る。ニュースという<生き物>を追うジャーナリズムの手法を知ってもらう。
授業内容
過去1週間のラ米全域(カリブ海沿岸の非ラ米地域を含む)の重要ニュースをまとめた資料を基に、そのニュース(出来事)を分析し解説し展望する。ラ米史の縦軸と現代世界という横軸の接点で同時代性を考え、味わう。講師執筆の新聞・雑誌記事なども参考資料として提供する。日本のメディアがほとんど伝えない出来事をふんだんに紹介する。これまで年数回、ラ米諸国の駐日大使やラ米専門の大学教授らを招いて、公開講演会やシンポジウムを催してきた。講師の友人のラ米人が臨時講師として講義に飛び入り参加することもある。休暇をラ米で過ごす受講生が少なくないが、そのような受講生には必ず旅行報告をしてもらい、現地のもようを皆で追体験する。これは「個人とラ米の接点でものを考える」という視点から重要。
教材
授業が行われる週のラ米に関する新聞、雑誌、その他メディアに掲載された記事。
成績評価
ラ米情勢、ラ米旅行体験、ラ米文化、「私(受講生)とラ米」などのテーマでレポートを提出。独自性を評価。100点満点中50%。残り50%は出席率。
講師よりメッセージ
人間が能動的、受動的に関わって出てくるニュースは生き物です。毎週、その週の重要なニュースを紹介し、解説します。年に数回、ラ米諸国の大使や興味深い人物を招いて講演、質疑応答を行います。受講生にはラ米旅行の体験談などを報告してもらいます。講義が終わった後に皆で都内のラ米料理店を訪ね交流を深めることもあります。
受講生の声
「伊高先生のまさに『今』を切り取るニュース解説は非常に為になるとともに面白く拝聴しています。何年も受講している方が多いのも納得です。資料やその他のイベント情報なども豊富で非常に内容が濃いと思います。」
「いつもフレッシュな時事の教材。現在進行形のことなのでわかりやすい。スピードはOK。高度なことも、一般向けに噛み砕いてくれる。資料は週刊誌並みに多し。(催し物の情報も)」
ここがオススメ
ラテンアメリカに駐在しても、留学しても、33カ国にもなる全ての国々の事情まではわからないというのが一般的なラテンアメリカ通ではないでしょうか?40年以上にわたってラ米中心に第一線で活躍してきた現役ジャーナリストが最新のラ米ニュースを解説します。初心者はラ米の多様性に驚き、ラ米通は得た情報を自分の仕事に活用できる、そんなラ米に興味を持つ全ての方を対象とした授業です。講師の解説が講義の中心となります。また、たびたび公開授業を行うのも魅力のひとつです。これまで受講生のみを対象としてきた授業を多くの方に公開しようと公開講演会の形で行うようになり、講座の雰囲気を知る機会ともなっています。2009年度は「世界遺産オルロのカーニバル」を開催しました。
ラテンアメリカ論III:ラテンアメリカ音楽
講師高場 将美
ラテンアメリカの音楽の真のエッセンスを、理解し、感じること。その音楽をつくったひとびとへの尊敬と愛を深めたい。
授業内容
ラテンアメリカ音楽とは、南北アメリカ大陸とカリブ海地域の、スペイン語とポルトガル語の音楽と考えることにします。したがってブラジルも含みます。さらにラテンアメリカの一番大きな母体だったイベリア半島(スペインとポルトガル)の音楽も扱います。これらの地域の文化の、いちばん魅力的な部分、いちばん美しくポジティヴな部分が昇華した表現だと信じます。それを知識として理解するよりも、「感じ」ていただくために、その底にある人間感情とか感性をさぐっていきたいと思います。ソン(ルンバ)、ボレーロ、ランチェーラ、タンゴ、アンデスのフォルクローレ、ブラジルのサンバ、フラメンコ、ファド等々、1ジャンルだけでも1年間の講座が開けるほどですが、それぞれのエッセンスをはっきり感じていただけるよう簡潔でも核心をお伝えしたいです。詩のことばについて発音や文法、音楽の簡単な理論についても、概論と、折に触れて考えることをします。ただし、語学、音楽の予備知識はまったく必要ありません。辞典的な用語解説ではなく、音楽の表現するものすべてを感じていただけるような講義にしたいと思います。
学習方法
講義形式の授業です。音楽を聞いて感じながら、感性を高め、知識を深める、ぜいたくな授業です。扱う地域は広範にわたります。
教材
ラテンアメリカ音楽
受講生の声
「各国、各地域の音楽を聴き、知ることで、これほど迄にその国、その地域、その民族とその歴史を理解しえるとは考えてもいませんでいたが、講義を通じてそれまで知らなかったラ米諸国の諸相を知り、また、考える契機をいただき、有意義であり、感謝しています。何よりも長い経験、実体験に裏打ちされた選曲が良いのだと感じています。」
「毎回、興味深く拝聴させていただいております。特に、映像が楽しいです。「へーっ、こんなふうに演奏しているのか?」など発見があります。おそらく、苦労して編集していただいているのだと思います。」
「講座案内に書かれてあった高場先生のこの講座についての内容説明の文章を読んで迷いなく受けよう!と思い、友人を巻き込みました。(笑)受けてみてやはり正解だったと思っています。高場先生が何よりもラテンアメリカ音楽を愛してらして、その音楽に携わっていらっしゃることが、幸せだっていう感じが、毎回、伝わって来るのです。講師の先生ご自身が、まず楽しそうにされているのが、受講生にとって、とても重要だと思っています。私がほとんど知らなかったラテンアメリカ音楽の魅力、歴史、各国のそれぞれの特徴などなど、短い時間で構成するのは、大変かと思いますが、毎回、裏話などもまじえながら、紹介してくださるので、とても楽しく学ばせていただいています。あと、高場先生は、スペイン語の発音や、先住民の言葉などについて時々、解説されることがありますが、私は、それがとても好きです。」
ここがオススメ
高場将美講師の音楽に関する知識の幅広さ、奥深さ、人柄が最大の魅力。この授業をとっている受講生以外もこの授業の素晴らしさを感じることができたのが、2009年11月に行った「サウダージ・アナログサウンド~ブラジル音楽の夕べ」でしょう。(興味のある方はこのHPの「講演会」→「最近行われた講演会」→「サウダージ・アナログサウンド」もご覧になってください)バリエーションに富んだ、高場先生の選ぶ素晴らしい音楽を聞きながら、音楽を通して、ラテンアメリカが学べる授業です。
ラテンアメリカ文学
本年度は開講しません