国際会議:ブラジル日本人移民100年の軌跡
Centurial Trajectory of Japanese Immigrants in Brazil
文学部の丸山浩明教授が編著『ブラジル日本移民-百年の軌跡-』(明石書店)により2011年度地理空間学会学術賞を受賞しました。 この著書は、立教大学ラテンアメリカ研究所のプロジェクト研究「ブラジルにおける日系移民資料の分析・保存とデジタルアーカイブ構築:移民百年の軌跡」と、2008年10月25日(土)、26日(日)に開催された国際会議「ブラジル日本人移民100年の軌跡(Centurial Trajectory of Japanese Immigrants in Brazil)」の成果を取りまとめたもので、2010年7月に刊行されました。 表彰式は、2011年6月18日(土)筑波大学で開催された地理空間学会大会・総会にて執り行なわれました。
【丸山浩明教授のコメント】
このたび賞をいただいた著書は、ラテンアメリカ研究所を推進母体にして、本学の研究助成制度である立教SFR(学術推進特別重点資金)により実施したプロジェクト研究と国際会議の成果をとりまとめたものです。今日、深刻な消失の危機に瀕する移民資料の永続的保存を図りつつ、さまざまな学問分野の協同による学際的なブラジル移民研究の可能性を具体的に追求した内容です。課題を残しつつも、学問の壁にとらわれない挑戦的な姿勢が評価されたのかもしれません。本研究にご参加くださった日伯両国の研究者の方々、そして一連の研究活動を親身にご支援くださったリサーチ・イニシアティブセンター、メディアセンター、ラテンアメリカ研究所の皆さまに、心からお礼を申し上げます。
「ブラジル日本人移民百周年」に当たる2008年10月25日(土)26日(日)、立教大学において「ブラジル日本人移民100年の軌跡(Centurial Trajectory of Japanese Immigrants in Brazil)」と題する国際会議を開催しました。その概要をご紹介します。
1908年6月18日第1回ブラジル日本人移民を乗せた「笠戸丸」がサントス第14埠頭に接岸して以来、ブラジルにおける日本人移民の歴史は、2008年でちょうど100周年を迎え、その記念すべき年に、当国際会議は、次のような目的のもとに開催された。
- ブラジルにおける日系移民資料の分析・保存とデジタルアーカイブ構築の構成の可能性を探る。
- ブラジル日本移民史研究の重要性とその意義を確認する。
- ブラジル日本移民史研究をめぐる現状と課題を確認し、将来に向けた研究深化の具体的な道筋を探る。
- 2007年度立教大学SFR(学術推進特別重点資金)単独プロジェクト研究に採択された研究課題、「ブラジルにおける日系移民資料の分析・保存とデジタルアーカイブ構築:移民百年の軌跡」の成果を広く公表し、日本移民研究の新たな視座と公開方法を広く社会にアピールする。
- 日本とブラジルの長年にわたる友好関係を確認し、両国の今後の国際交流のあり方を模索する。
ブラジル日本移民100周年に当たり、現在、日本とブラジルの双方で移民をめぐるさまざまな行事や研究が行われた。とりわけ現地の日系社会では、移民100周年史の編纂や、移民史料館の建設・改修など、各地で移民史を後世の伝承に対する関心が高まった。しかし、これまでブラジル日本移民研究は、必ずしも活発に行われてきたとはいえず、この移民100周年が、日本とブラジルの研究者や日系社会の協働による移民研究の発展に大きく寄与する一つの契機となることが期待されている。その実現のためにも、日本とブラジルにおけるこれまでの研究の成果や、移民関係資料の現状・課題について協議する場が切望されていた。
こうした状況の中、立教大学ラテンアメリカ研究所では、2007年度立教大学SFRに採択された単独プロジェクト研究「ブラジルにおける日系移民資料の分析・保存とデジタルアーカイブ構築:移民百年の軌跡」に取り組んでおり、同年7月~9月にかけて実施したブラジルでの本格的な現地調査により、当プロジェクト研究が所期の目的を達成しうる見通しを得た。その成果を広く社会に公表し、かつ移民研究全体の中に位置づけることで、当プロジェクト研究の意義をより一層明確化することが望まれた。
2008年はブラジル日本人移民百周年の記念すべき年であり、ブラジル日本移民史に対する関心が両国を中心に広く高まった。移民史研究や移民資料の現状と課題を確認し、同時に立教SFRの研究成果を公表する国際シンポジウムを開催するにはこのうえない好機と考え、当国際会議を開催した。
- 移民研究やそれを支える移民資料の保存・公開など、移民にかかわる多分野の専門家が一堂に会して、これまでにない総合的な議論を行うことができた。
- 新たな視座で取り組んだ移民史研究の具体的な成果が公表され、日本・ブラジル両国の専門家による活発な意見交換が行われた。
- 歴史研究における資史料や研究成果を広く公表・共有する方法として、デジタルメディアを利用することの有効性と問題点について考える場が提供された。
- 人文・社会科学(歴史、地理、文化人類学など)と情報科学との連携による萌芽的なプロジェクト研究の成果が公表され、その更なる発展と深化に向けた道標が得られた。
- 一般の利用者から研究者まで幅広く活用できるように設計されたデジタルメディアコンテンツの試験サイトに関して、多方面からの有益な意見聴取が行われた結果、今後のさらなる改良なども確認できた。
- 資料のデジタル化やそのWeb公開が、現地社会や移民にとってどのような意味を持つのかという問題を含め、研究成果の社会還元について現地研究者と議論を深める貴重な場となる。
- SFRプロジェクト研究で発案された新しい移民研究の視座や研究アプローチが、会議で議論されることで、ブラジル日本移民研究の今後の深化につながる道標が提示された。
- 移民研究や移民資料の公開に関して、人文・社会科学の研究者と情報科学(デジタルメディアコンテンツ開発)の研究者が協働して取り組む1つのモデルが具体的に提示された。
- 日本とブラジル両国の研究者交流が促進された。
- 立教大学ラテンアメリカ研究所の活動、その社会的貢献に対する理解が得られた。
このプログラムは2008年10月25日26日に開催された国際会議のプログラムを以下に伝えます。なお、国際会議での講演や共同討議内容については、現在著書として刊行すべく作業中です。
第1日・・・10月25日(土)
会場立教大学池袋キャンパス7号館1階7102教室
開会式・基調講演・・・・・午前10:30より
- 10:30
開会式・・・大橋英五(立教大学総長)、駐日ブラジル連邦共和国大使館メッセージ
- 11:00
基調講演・・・石川友紀(琉球大学名誉教授)
- 11:40
会議趣旨説明・・・丸山浩明(立教大学教授、立教大学ラテンアメリカ研究所所長、本会議主宰)
- 12:00
昼食
ブラジル日本移民研究における「空白」と「断絶」・・・・・午後13:00より
- 13:00
映像作品上映「ブラジル日本移民百年の軌跡」
- 13:30
「日本人によるブラジル日本移民研究の現状と課題」
・・・・・森幸一(サンパウロ大学教授)
- 14:00
「ブラジル人による日本移民研究の現状と課題」
・・・・・本山省三(サンパウロ大学教授・ブラジル日本移民史料館館長)
- 14:30
「外交史料館所蔵ブラジル日本移民関係史料と研究の可能性」
・・・・・柳下宙子(外務省外交史料館課長補佐)
- 15:00
コーヒーブレイク
- 15:30
「ブラジルにおける日本人移民の特徴:ヨーロッパの移民との比較を通じて」
・・・・・宮尾 進(元サンパウロ人文科学研究所所長)
- 16:00
共同討議「ブラジル日本移民研究における「空白」と「断絶」-研究深化への展望」
司会:丸山浩明(立教大学教授、立教大学ラテンアメリカ研究所所長)
コメンテーター:三田千代子(上智大学教授)
- 17:15
第1日目終了
第2日・・・10月26日(日)
立教大学池袋キャンパス7号館1階7102教室
立教大学ラテンアメリカ研究所SFRプロジェクト研究報告
「ブラジルにおける日系移民資料の分析・保存とデジタルアーカイブ構築」
事例研究報告1・・・午前10時より
サンパウロ州バストス/マットグロッソ・ド・スル州カンポグランデ・バストス、カンポグランデ
- バストス市の歴史的概要と日系社会の現状―アンケート調査の結果より
・・・・・中村茂生(ラテンアメリカ研究所研究員)・渡辺伸勝(関西学院大学大学院研究員)
- 映像を利用したカンポグランデの日系社会発展史:デジタルアーカイブの試み
・・・・・丸山浩明(立教大学教授、立教大学ラテンアメリカ研究所所長)
- 戦後のJAMIC移住地・バルゼアアレグレの歴史
・・・・・小島アナ(マットグロッソ・ド・スル連邦大学助手)
事例研究報告2・・・・・
移民「写真」資料のデジタル化とデジタルアーカイブ構築・利用
- ブラジル日本移民史における写真資料の性格と重要性
・・・・・中村茂生(ラテンアメリカ研究所研究員)
- 12:00
昼食
- 13:00・・・・午後の部
- ブラジルにおける日系移民「写真」資料のデジタル化:その成果と課題
・・・・・山口真里(慶應義塾大学DMC統合研究機構)・西山洋介(慶應義塾大学メディアセンター本部)
- 移民「写真」資料のデジタルアーカイブ構築とその研究・教育利用の可能性
・・・・・遠山緑生(嘉悦大学講師)
- 移民「写真」資料のデジタルアーカイブ利用の実際-サンパウロ州奥地の山焼きの事例
・・・・・渡辺伸勝(関西学院大学院研究員)・入江伸(慶應義塾大学メディアセンター本部)
- 移民資料のデジタル化にともなう著作権の問題と対応
・・・・・石井美穂(慶應義塾大学DMC統合研究機構)
- 15:00
コーヒーブレイク
- 15:30
共同討議「移民研究におけるデジタルアーカイブの意義と可能性」
司会:入江 伸(慶應義塾大学メディアセンター本部)
- 16:45
閉会式
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