ソリトン理論の入門書

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ソリトン理論などの非線型可積分系に関する,日本語で書かれた入門書・専門書のリストです。(各発行年度順)
(以前にN氏(現日大)といっしょに書いたものが元ですが,最近発行された本を加えました。)
関連する話題(量子可積分系,超幾何関数,楕円関数)についても,別の文献リストを作ってみましたが,まだまだ不充分です。
何か良い本をご存知でしたらお教えいただければ幸いです。

パンルヴェ方程式に関しては大山陽介先生@阪大の「パンルヴェ方程式文献」が充実しています。
また,高崎金久先生@京大の「本のページ」およびそこからのリンクも,大変参考になります。

一般向け解説書                雑誌の解説記事                専門書

一般向け解説

ソリトンについて,数式をほとんど用いずに書かれている解説のリストです。

数学と物理の2重らせん
薩摩順吉 著,丸善 (パリティブックス),2004年1月
(パリティの連載記事(2002年4月号~2003年10月号)の単行本化)

薩摩順吉 「世の中にあるさまざまな形の波動」
AERA Mook 「数学がわかる。」,朝日新聞社,2000年7月,pp.58-61

ソリトン,カオス,フラクタル:非線形の世界
戸田盛和 著,岩波書店 (物理読本 4),1999年9月

ソリトンがひらく新しい数学
上野喜三雄 著,岩波書店 (岩波科学ライブラリー 4),1993年10月

ソリトン:非線形のふしぎ
渡辺慎介 著,岩波書店 (New science age 48),1992年1月

コンピュータ物理の世界 三体問題からカオス,ソリトンまで
榊原・佐々木・内藤・渕上 著,講談社 (ブルーバックス B-849),1991年1月
第四章,三節「ソリトン-かたまりとして伝わる波」に,歴史も含めた簡単な解説がある。

ソリトンとは何か:くずれない波の謎をさぐる
坪井泰住 著,講談社 (ブルーバックス B-826),1990年6月

雑誌の解説記事

上のものよりはやや専門的に,ある程度数式も使った解説です。難易度はモノによります。

前田恵一 「重力理論入門 10  ~軸対称時空と逆散乱法~」
数理科学 2007年3月号

筧三郎 「ランダム行列と可積分系」
数理科学 2007年2月号

特集 「ヤング図形で遊ぶ物理と数学 -イメージ力を鍛える-」
数理科学 2007年1月号

村田嘉弘 「可積分系・パンルベ方程式とツイスター」
数理科学 2006年10月号

特集「連続と離散をつなぐ数学」
数学セミナー 2006年3月号 
(超離散系についての特集号です。)

野海正俊 「曲がった鏡の表現論」
数学のたのしみ 2006冬,pp. 103-127

斎藤政彦 「パンルベ型方程式とモジュライ」
数理科学 2005年8月号

広田良吾 「行列式とパフィアン」
応用数理での連載
((1)Vol.14, No.1, Mar. 2004, pp.62-66; (2)Vol.14, No.2, June 2004, pp.70-76; (3)Vol.14, No.3, September 2004, pp.47-54; (4)Vol.14, No.4, December 2004, pp.79-87)

辻本諭 「可積分系と行列表示」
数学セミナー 2004年6月号,pp.44-48

梶原健司 「可積分系/不思議な波が運ぶ奇跡とからくり」
数学セミナー 2004年1月号,pp.24-26

時弘哲治・薩摩順吉 「セルオートマトンの背後にひそむ物理 ― 超離散系の観点から ―」
日本物理学会誌 Vol. 58, No.12 (2003),pp. 895-902

坂井秀隆 「可積分系と特異点」
数学セミナー 2003年12月号,pp.36-39

大山陽介 「初めて空を飛んだ数学者/ポール・パンルヴェ」
数学セミナー 2003年12月号,pp.54-58

特集 「差分学の世紀 -デジタル世界の未来と可能性-」
数理科学 2003年9月号

国場敦夫 「セル・オートマトンと量子群」
応用数理, Vol. 13, No. 2, 2003年6月号,pp.125-136

高橋大輔 「超離散化された波」
数理科学 2003年4月号,pp.35-40

筧三郎 「可積分系という「おもちゃ」」
数学セミナー 2003年4月号,pp.47-49

山田裕史 「【表現論】 めくるめく官能の世界」
数学セミナー 2003年1月号,pp.19-21

薩摩順吉 「[講座] 物理と数学の2重らせん」
パリティ (丸善) での連載 (2002年4月号~2003年3月号)
第1回 微積分の力,第2回 アインシュタインの3つの仕事,第3回 力学系をとらえる,第4回 拡散と調和,第5回 波動の本質,第6回 ソリトンの発見,第7回 ソリトンと算術,第8回 無限可積分系,第9回 連続から離散へ,第10回 カオスとフラクタル,第11回 セルオートマトン,第12回(最終回) 超離散系

高崎金久 「可積分系とその応用を巡って」,長谷川浩司 「表現論と可積分系」
上野・高橋・中島 共編 「数学の未解決問題 21世紀数学への序章」  所収 (サイエンス社,2003年1月)
(数理科学の記事をまとめたもの。雑誌掲載時よりも加筆されている。)

薩摩順吉 「非線形」
数学セミナー 2002年11月号,pp.23-25 

國場敦夫 「ソリトン・セルオートマトンと量子群」
パリティ (丸善) 2002年8月号,pp.61-63 

中村佳正 「可積分系」
数学セミナー 2002年5月号 (←この号には,他にも可積分系に関連した話題が掲載されています。)

特集 「数理物理この10年」
数学セミナー 2002年3月号

大山・太田・加藤・黒木・長谷川 (対談) 「可積分系と物理をめぐって ─30代の数学者たち」
数学のたのしみ no. 29,日本評論社,2002年2月

特集 「数学による物理の表現  ― その共進化と多様な可能性 ―」
数理科学 2001年12月号

薩摩順吉 「超離散とは何か?」
数学のたのしみ no. 26,日本評論社,2001年8月,pp.25-34

神保道夫 「可積分系の中の無限」
数学のたのしみ no. 26,日本評論社,2001年8月,pp.35-48

山田泰彦 「パンルヴェ方程式とディンキン図形」
数学のたのしみ no. 23,日本評論社,2001年2月,pp.25-34

特集 「ソリトンと佐藤理論」
数学セミナー 2001年3月号

戸田盛和 「ソリトン・カオス・フラクタル」
数学のたのしみ no. 22,日本評論社,2000年12月,pp.16-32

特集 「数理物理学における代数解析的方法」
数理科学 2000年11月号

長谷川浩司 「表現論と可積分系」
数理科学 2000年7月号 (数学の未解決問題 21世紀に向けて11)
web版はこちら

高崎金久 「可積分系とその応用を巡って」
数理科学 1999年12月号 (数学の未解決問題 21世紀に向けて5)

國場敦夫 「C.N.ヤンとヤン-バクスター方程式」
数学セミナー 1999年11月号,pp.48-52

特集 「超離散  ― 進展する数理モデルのデジタル化 ―」
数理科学 1999年9月号

薩摩順吉・時弘哲治 「超離散化  ― セルオートマトンと微分方程式をつなぐ ―」
応用数理, Vol. 9, No. 3, 1999年9月号,pp.236-246

特集 「ハミルトン力学系の展開  ― カオス・可積分系へのアプローチ ―」
数理科学 1999年8月号

吉田春夫 「コワレフスカヤのコマ」
数学セミナー 1999年7月号,pp.32-37

伊達悦朗 「ソリトン  数学のひとつのひろがり」
数理科学 1999年5月号

薩摩順吉 「差分の世界」
Computer Today での連載 (1988年5月号~1999年3月号)
(1)「コンピュータと解析学」1998年5月号,(2)「ベクトル解析を差分で考える」1998年7月号,(3)「差分系における関数」1998年9月号,(4)「非線形差分方程式-その1」1998年11月号,(5)「非線形差分方程式-その2」1999年1月号,(最終回)「超離散」1999年3月号

梶原健司 「パンルヴェ方程式の対称性」
数学セミナー 1999年2月号,pp.18-21

梅村浩 「Painleve 方程式の100年」
数学 (日本数学会編集,岩波書店) 第51巻 (1999) pp.59-84

野海正俊 「パンルヴェ方程式 -対称性からの入門-」
数学のたのしみ no. 9,日本評論社,1998年10月,pp.101-116

岡本和夫 「パンルヴェ方程式/既約性の立場からの入門」
数学セミナー 1998年9月号,pp.15-19

伊達悦朗 「可積分系/KdV方程式をとおして見える世界」
数学セミナー 1998年9月号,pp.20-23

広田良吾・辻本諭 「超離散ソリトン方程式」
電子情報通信学会誌 Vol. 80, No. 11 (1997), pp.1108-1111

時弘・薩摩・松木平・高橋 「可積分セルオートマトン -ソリトン方程式の離散化の果てに何が見えたか-」
日本物理学会誌 Vol. 52, No.4 (1997) pp.276-279

特集 「ひろがる可積分系の世界 戸田方程式の30年」
数理科学 1997年3月号

長谷川晃 「非線形波動の物理と応用 ―光ソリトンによる超高速通信―」
日本物理学会誌 Vol. 51, No.11 (1996) pp.806-809

戸田盛和 「格子ソリトンの発見」
日本物理学会誌 Vol. 51, No.3 (1996) pp.185-188

上野喜三雄 「ソリトン ―新しい数学の揺籃―」
数学 (日本数学会編集,岩波書店) 第47巻 (1995) pp.404-416

梅村浩 「Painleve 方程式と古典函数」
数学 (日本数学会編集,岩波書店) 第47巻 (1995) pp.341-359

特集 「非線形波動の広がり ― KdV方程式誕生100年の現在 ―」
数理科学 1995年9月号

村瀬元彦 「グラフを使ってモジュライ空間を見る」
数学セミナー 1995年8月号,pp.51-57

中村佳正 「非線形可積分系 ~無限自由度と離散時間系への道標~」
数理科学 1995年6月号

伊藤利明 「離散パンルヴェ方程式」
数学セミナー 1995年2月号,pp.34-39

広田良吾 「ソリトン -微分から差分へ-」
数理科学 1994年4月号,pp.22-26

時弘哲治 「1次元励起子系の量子スピンモデル」
日本物理学会誌 Vol. 49 (1994) pp.297-301

長谷川晃 「ソリトンと光通信」
数理科学 1993年9月号,pp.19-23

高橋大輔 「箱と球でもソリトン系!」
日本物理学会誌 Vol. 48 (1993) pp.37-40

広田良吾 「差分学のすすめ」
応用数理, Vol. 3, No. 1, 1993年3月号,pp.48-57

中村佳正 「非線形可積分系の応用解析の展開」
応用数理, Vol. 2, No. 4, 1992年12月号,pp.330-342

和達・児玉・長谷川 「新しい自然観を切り開く「ソリトン」」
日経サイエンス 1992年12月号,pp.12-38

上野喜三雄 「対称性がひらく新しい解析学」
科学朝日 1992年7月号,pp.38-41

渡邊慎介 「非線形波動 1次元から多次元へ」
数理科学 1992年5月号,pp.18-23

上野喜三雄 「数理物理の現在」
数学セミナー 1992年4月号

薩摩順吉 「ソリトンの現在」
数学セミナー 1992年4月号

特集 「無限自由度の解析学 数理物理の現在」
数理科学 1992年3月号

高橋大輔・薩摩順吉 「単純なソリトン系をなすセル・オートマトンについて」
日本応用数理学会論文誌 1 (1991)

薩摩順吉 「ソリトンの高次元化」
日本物理学会誌 Vol.46, No.1 (1991) pp.588-590

戸田盛和 「ソリトンのパラドックス」
数理科学 1990年8月号

木村弘信 「Garnier 系の葉層構造」
数学 (日本数学会編集,岩波書店) 第41巻 (1989) pp.223-236

梅村浩 「Painleve 方程式の既約性について」
数学 (日本数学会編集,岩波書店) 第40巻 (1988) pp.47-61

和達三樹 「ソリトン物理学」
日本物理学会誌 Vol.43, No.10 (1988) pp.751-758

薩摩順吉 「ソリトン」
数学セミナー 1988年4月号 (特集/現代数学のキー・ワード),p. 30

和達三樹・阿久津泰弘 「厳密に解ける格子模型」
日本物理学会誌 Vol.42, No.10 (1987) pp.624-633

別冊 数理科学 「ソリトン」
1985年10月

SYMPOSIUM 「ソリトン物理学」
月間フィジクス 1985年2月号

特集 「ソリトン 新しい波」
数理科学 1985年2月号

特集 「ブラックホールとソリトン」
数理科学 1983年3月号

三輪哲二・神保道夫 「ソリトン方程式の変換群を見つける」
数学セミナー増刊,シンポジウム数学4,『数学研究の最前線』(齋藤正彦,廣瀬健,森毅 編), 日本評論社,1982年7月,pp.5-18

青本・柏原・佐藤・神保・伊達・広田・三輪 「討論 自然の秩序は非線型にある ― ソリトン」
数学セミナー増刊,シンポジウム数学4,『数学研究の最前線』(齋藤正彦,廣瀬健,森毅 編), 日本評論社,1982年7月,pp.19-56

柏原・神保・伊達・三輪 「ソリトン方程式と Kac-Moody リー環」
数学 (日本数学会編集,岩波書店) 第34巻 (1982) pp.1-16

和達三樹 「量子逆散乱法」
日本物理学会誌 Vol.36 (1981) pp.786-793

吉田春夫 「コワレフスカヤのコマ」
数理科学 1981年1月号,特集 「こま・コマ・独楽」
(別冊数理科学「力とは何か」(1995年4月), pp.127-133 に再掲されている。)

特集 「ソリトン 非線型波動の不思議」
数理科学 1980年5月号

広田良吾 「ソリトン理論における直接法 (2次形式化法)」
月間フィジクス 1980年4月号,SYMPOSIUM 「続・数理物理学」,pp.279-285

岡本和夫 「パンルヴェの超越関数」
月間マセマティクス 1980年7月号 「微分方程式」,pp.516-521

岡本和夫 「変形理論と場の量子論」
科学 (岩波書店) 第50巻 (1980) pp.636-641

三輪哲二・神保道夫 「τ函数の理論」
数学 (日本数学会編集,岩波書店) 第32巻 (1980) pp.289-307

岡本和夫 「Painleve の方程式」
数学 (日本数学会編集,岩波書店) 第32巻 (1980) pp.30-43

専門書

古典可積分系(ソリトン方程式,パンルベ方程式,可積分力学系)について書かれた専門書のリストです。
量子可積分系については,別のリストを作りました。

ソリトンと物理学
戸田盛和 著,サイエンス社(SGCライブラリ 49),2006年7月
前半はソリトン理論に対する入門。「戸田格子」発見前後の歴史など,開拓者ならではの示唆に富む逸話が満載されている。
後半は「物理学とは何か」と題する連載(数理科学,2002年5月~2004年5月)をまとめたもの。

可積分系の機能的数理
中村佳正 著,共立出版(共立叢書 現代数学の潮流),2006年4月
戸田方程式と直交多項式論との関係から始まり,それらを数値計算法に応用する手法が解説されている。中村氏らのグループの最新の研究成果まで解説されており,興味深い。

力学の解ける問題と解けない問題
吉田春夫 著,岩波講座 物理の世界 力学4,岩波書店,2005年12月
ケプラー問題を出発して,どういう問題が「解ける」のかについて,最近の結果まで紹介している。

ツイスターの世界 -時空・ツイスター空間・可積分系-
高崎金久 著,共立出版,2005年5月
「ツイスター (twistor) 理論」に関する,日本語での初の本格的な解説書。

曲面の微分幾何学とソリトン方程式 -可積分幾何学入門-
井ノ口順一・小林真平・松浦望,立教SFR講究録 No. 8,2005年2月
曲面論とソリトン方程式についての入門的解説:
 第1章 負定曲率曲面とサイン・ゴルドン方程式(井ノ口)
 第2章 平均曲率一定曲面とハイパボリック・サイン・ゴルドン方程式(小林)
 第3章 曲面の差分化(松浦)

現代数学の流れ1
岩波書店 (岩波書店 現代数学への入門),2004年8月
第5章に神保道夫氏による「よみがえる 19世紀数学」という解説があって,可積分系の研究における古典数学の再発見についてまとめられている。(岩波講座「現代数学への入門」所収のものの新装版)

差分と超離散
広田良吾・高橋大輔 著,共立出版,2003年2月
著者らが育てあげてきた差分方程式,および超離散(超差分)方程式に対する理論の解説書。豊富な演習問題と,丁寧な解答がつけられた労作。(数学セミナー 2004年2月号,p.75 に永井敦氏による書評,岩波「数学」2004年7月号に梶原健司氏による書評があります。)

力学
大貫義郎,吉田春夫 共著,岩波書店(現代物理学叢書),2001年6月
(岩波講座現代の物理学(1997年11月)中の一冊の新装版)
前半は,解析力学の解説書。後半で,可積分性の判定条件について解説されている。

可積分系の世界 -戸田格子とその仲間-
高崎金久 著,共立出版,2001年3月
著者と上野喜三雄氏によって定式化された「戸田格子ヒエラルキー」についての解説書。 論文発表以降の発展についても詳しく書かれている。(数学セミナー 2001年11月号,p.88 に,橋本義武氏による書評があります。)

パンルヴェ方程式 -対称性からの入門-
野海正俊 著,朝倉書店 (すうがくの風景 4),2000年9月
著者と山田泰彦氏によるワイル群に基いた理論を,大変分かりやすく解説してある。 
(数学セミナー 2001年7月号,p.81 に,梶原健司氏による書評があります。)
(英訳: M. Noumi,"Painleve Equations through Symmetry",Translations of Mathematical Monographs 113,Oxford University Press,2004)

パンルヴェ方程式の眺望
高野 恭一・ 野海 正俊 編,Rokko Lectures in Mathematics 7 (2000)
神戸大学で行われた研究集会の報告集。PSファイル (1,837KB, tgz) をダウンロード可能。

非線形波動とソリトン (新版)
戸田盛和 著, 日本評論社,2000年8月
元々は数学セミナーの連載。線形波の解説から始めて,戸田方程式を初めとする非線形方程式が詳しく論じられている。 途中の式変形なども省略されずに書いてあるので,(真面目に読めば)大変分かりやすい。

可積分系の応用数理
中村佳正 編,裳華房,2000年6月
可積分系の理論と数値計算などの応用数理の分野との関係をまとめたもの。
(数学(岩波書店) 第54巻3号に,高崎金久氏による書評があります。)
(応用数理(岩波書店) Vol.11, No.3, Sep. 2001, pp.260-261に,渡辺慎介氏による書評があります。)

コマの幾何学 -可積分系講義-
M. Audin 著 (高崎金久 訳),共立出版,2000年3月
古典力学のコマの問題を題材に,可積分系で用いられるさまざまな手法を解説している。

ホロノミック量子場
神保道夫 著,岩波書店 (岩波講座 現代数学の展開 4),1998年12月
2次元イジング模型の相関函数がパンルベ方程式(の特別な場合)を満たすという事実と,その背後にある数学が解説されている。

現代数学の広がり2
岩波書店 (岩波講座 現代数学の基礎 34),1997年7月
第3章に村瀬元彦氏による「積分可能系の展開」という解説があって,KP階層の話から氏の最近の研究までがまとめられている。

コンツェビッチによるウィッテン予想の解決
寺杣友秀 著,上智大学数学講究録 no.40,1997年4月
寺杣先生の上智大学における講義をまとめたもの。KP階層の理論を幾何学に応用する話。

波動と非線形問題30講
戸田盛和 著, 朝倉書店,1995年
ソリトンに限らず,非線形問題全般に関する入門書。他の30講シリーズ 同様,大変分かりやすい。途中に挿入されている「Tea Time」も興味深い。

ソリトンの数理
三輪哲二・神保道夫・伊達悦朗 著, 岩波書店,1993年6月
著者らによって開発された自由フェルミオン場の方法を用いて,ソリトン方程式の持つ数学的構造が論じられている。
(英訳もある: T. Miwa,M. Jimbo & E. Date,"SOLITONS,Differential equations,symmetries and infinite dimensional algebras",Cambridge tracts in mathematics 135,Cambridge University Press,2000)

ソリトンからカオスへ
川原 琢治 著,朝倉書店,1993年5月
可積分系に限らず,一般の非線形方程式を扱う手法を論じている。

直接法によるソリトンの数理
広田良吾 著, 岩波書店,1992年10月
「広田の直接法」の開発者自身による,双線形化法の解説。 「ソリトン方程式とは,行列式またはパフィアンの恒等式である」という観点にたって,様々な方程式が扱われている。(英訳もある: R. Hirota,"The Direct Method in Soliton Theory",Cambridge tracts in mathematics 155,Cambridge University Press,2004)

非線形波動 (岩波講座現代の物理学)
和達三樹 著, 岩波書店,1992年 (改訂版 2000年6月)
古典逆散乱法などの基礎的事項から,量子逆散乱法,結び目理論等の最新の話題まで解説されている。
(数学セミナー 1992年10月号,p.109 に,高崎金久氏による書評があります。)

ソリトンと逆散乱変換
M. Ablowitz and H. Segur 著 (薩摩・及川 訳), 日本評論社,1991年12月
基本的な事柄がいろいろと書いてある 「百科辞典」的な本。物理的な応用にも詳しい。(日本語版は少々高価。)

量子群とヤン・バクスター方程式
神保道夫 著,シュプリンガー・フェアラーク東京,1990年12月
ヤン・バクスター方程式の研究から発見された「量子群」の,発見者自身による解説。

佐藤幹夫講義録 (1984年度・1985年度1学期)
梅田亨 記,数理解析レクチャー・ノート 5,1989年5月
佐藤先生が京都大学数学教室で行った講義をまとめたもの。

ソリトン物理入門
渡辺慎介 著, 培風館,1985年6月
大変読みやすい入門書。電器回路におけるソリトン等,物理的な視点からの解説が充実している。

パンルヴェ方程式序説
岡本和夫 著,上智大学数学講究録 no.19,1985年2月
岡本先生の上智大学における講義を,ご本人がまとめたもの。岡本先生の手書きの字を見ることができる。

ソリトン方程式と普遍グラスマン多様体
佐藤幹夫述,野海正俊記,上智大学数学講究録 no.18,1984年6月
佐藤先生の上智大学における講義を元に,野海先生がまとめたもの。いわゆる「佐藤理論」の解説。

非線形力学
戸田盛和・渡辺慎介 著,共立出版,1984年1月
古典力学系に現れる非線形系の扱い方を解説している。第4章は「非線形波動」というタイトルで,物理の立場からのソリトン理論の入門となっている。

ソリトン [理論と応用]
G.L.ラム,Jr. 著,戸田盛和 監訳,培風館,1983年6月
逆散乱理論の解説。物理的な応用例を多数紹介してある。特に,いわゆる「自己誘導透過」についてはかなり詳しい。

KdV方程式
田中俊一・伊達悦朗 著,紀伊国屋数学叢書 16,紀伊国屋書店,1979年7月
準周期解(有限帯ポテンシャル)の扱いに詳しい。

非線形格子力学
戸田盛和 著, 岩波書店,1978年 (増補版 1987年4月)
戸田格子の発見者自らによる教科書。

非線形波動
谷内俊弥・西原功修 著, 岩波書店,1977年5月
「逓減摂動法 (Reductive Perturbation)」に詳しい。