2022/10/01 (SAT)

立教大学共生社会研究センター・オンラインセミナー
「運動のアーカイブズ/アーカイブする運動—『環境正義』の視点から—」開催(2022年11月3日)のお知らせ

南アフリカ共和国のウィットウォーターズランド大学(ヨハネスブルク)のHistorical Papers Research Archiveは、1966年に同大ウィリアム・カレン図書館内に設置された機関です。

大学の独立性を活かし、南アフリカ聖公会から市民運動体まで様々な主体の記録を受け入れており、市民社会からも信頼を得ています。また近年は、1977年に活動を開始したWits History Workshopや、80年代に反アパルトヘイト運動の中で設立されたSouth African History Archive(SAHA)と協働で学内にアーカイブズ・ハブ(Archives Hub)を立ち上げ、アーカイブズの保存・活用といった課題に取り組むとともに、大学外の市民社会とのさらなる協働を目指しています。一方で、南アフリカのアーカイブズをめぐる現状は厳しく、多くの機関が資金やスキルの不足に悩んでいるようです。

そこでこのセミナーでは、トピックとしては環境正義に焦点をあて、まず社会運動のアーカイブズを保存するアーカイブズ機関の視点から、Gabriele Mohaleさん(Historical Papers Research Archive)と当センターの平野泉が報告します。次に、運動自らによるアーカイブズ保存活動の立場からDebora Matthewsさん(SAHA)、そして小泉初恵さん(水俣病センター相思社・水俣病歴史考証館)のお二方のお話をうかがい、それを受けて、Wits History WorkshopのNoor Nieftagodien氏に、ディスカッサントとして論点を指摘し、議論を取りまとめていただきます。

そのうえで、 国境を超えた運動アーカイブズの連携、アーカイブズと市民社会との連携、そして運動アーカイブズの様々な形での活用方法について、参加者も交えて議論を深めたいと考えています。時差のため、南アは早朝、日本は祝日の午後遅めと、どちらにとってもやや微妙な日時の設定になってしまいましたが、どうぞふるってご参加ください。

イベントの詳細

日時:2022年11月3日(木)16:00-18:00
実施方法:オンライン会議システムZoomにて開催します。アクセス情報はお申込み後にお知らせいたします。
*英⇔日同時通訳あり


スピーカー:
Gabriele Mohale氏(ウィットウォーターズランド大学 Historical Papers Research Archive & Wits Digitisation Center 館長・センター長代理)

ベルリンで植字工としての訓練を受け、ライプチヒで印刷技術を学んだのち、その分野で数年間勤務。1991年に南アフリカに渡り、南アフリカ大学で情報科学の学士号を、2009年にウィットウォーターズランド大学で文化遺産学の修士号を取得。2007年からアーキビストとしてHistorical Papers Research Archiveに勤務し、2017年からは館長代理として、様々なデジタル化プロジェクトに携わってきた。近年は、市民社会におけるアーカイブの役割や地位を際立たせるため、大学の各学部や市民社会組織・独立アーカイブ機関との連携を深めている。2020年からは、国際アーカイブズ評議会(International Council on Archives)の大学・研究機関アーカイブズ部門(SUV)の事務局メンバーとしても活動している。

Debora Matthews氏(ウィットウォーターズランド大学 South African History Archive (SAHA)契約アーキビスト)
アーカイブズに関するキャリアのスタートは1990年代前半、クワズールー・ナタール大学ピータマリッツバーグ校のAlan Paton Centre & Struggle Archives。アーカイブズへの関心の高まりから、アーカイブズ研究の大学院コースを修了し、2009年から2016年までSAHAのアーキビストを務める。2017年にアーカイブズ関連のコンサルタントとなり、主としてPublic Affairs Research Institute(PARI)やGALA Queer Archive(GALE出版との共同作業)を担当した。2021年にSAHAに戻り、一時期ウィットウォーターズランド大学外に本拠を移していたSAHAの、同大への再移転を指揮した。現在はSAHAの日々の運営に携わっている。関心領域は、アーカイブズと/の社会運動、南アフリカのアーカイブズをめぐる社会的状況、そしてアーカイブズの果たすべき役割など。

Noor Nieftagodien氏(ウィットウォーターズランド大学ヨハネスブルグ校 歴史学教授、南アフリカ地方史研究主任、Wits History Workshop代表)
フィル・ボナーとの共著に、タウンシップの歴史であるAlexandra - A History (Wits University Press, 2008)およびKathorus - A History Maskew Miller Longman, 2001)、また都市史の業績としてEkurhuleni - The Making of an Urban Region (Wits University Press, 2012)がある。また、学生の政治運動に関するThe Soweto Uprising (Ohio University Press, 2014)やStudents Must Rise(Wits University Press, 2016年)、あるいは反アパルトヘイト運動に関するOne Hundred Years of the ANC - Debating Liberation Histories Today(Wits University Press, 2012)など共編著も多く、現在はLabour Struggles in Southern Africa, 1919-1949: New Perspective on the Industrial and Commercial Workers' Unionの刊行を予定している。また、南アフリカ学生会議(アパルトヘイトとの闘いにおける主要な高校生運動)と南アフリカスポーツ評議会(スポーツ運動)に関するパブリック・ヒストリーのプロジェクトにも携わる。History Workshopでは、ライフヒストリーのインタビュー、展示、ウェブサイト、出版物の収集など、歴史学とアーカイブズの協働に重心を置く多様なコミュニティ・ヒストリーおよびアーカイブ・プロジェクトのパートナーでもある。

小泉初恵氏(水俣病センター相思社)
1991年、兵庫県神戸市に生まれる。立命館アジア太平洋大学アジア太平洋社会学部(環境専攻)在学中は、水俣病は研究テーマではなかったが、卒業論文指導教官の助言で水俣を訪れ、公害発生地域の現在に興味を持ち、2015年、水俣病センター相思社に入社と同時に水俣に移住。相思社が収集した水俣病関連のアーカイブズ管理・運営(データベース入力、デジタル化、利用者への対応など)、低農薬みかん販売、学校訪問コーディネート等様々な業務を担当し、2021年には学芸員資格を大阪芸術大学の通信課程で取得。現在、水俣病を取材した9人の写真家のフィルムを長期的に保存・活用するための「水俣・写真家の眼」プロジェクトにも関わっている。

主催:立教大学共生社会研究センター
共催:Archives Hub (ウィットウォーターズランド大学 Wits History Workshop, Historical Papers Research Archive and South African History Archive(SAHA))
参加費:無料
定員:50名
お申し込みはこちらから



Witwatersrand University, Historical Papers Research Archive

Witwatersrand University, South African History Archive

Witwatersrand University, History Workshop

水俣病センター相思社

お問い合わせ

立教大学共生社会研究センター

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