2021/11/17 (WED)

第34回「辻荘一・三浦アンナ記念学術奨励金」受賞者決定

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OBJECTIVE.

第34回「辻荘一・三浦アンナ記念学術奨励金」の受賞者が以下の通り決定しました。

【受賞者氏名】
坂本 日菜(さかもと ひな)氏
作曲家、日本聖公会横浜教区横浜聖アンデレ教会聖歌隊指揮者・オルガニスト

【受賞対象業績】
現代キリスト教音楽における「レクイエム」をはじめとする作曲活動


「辻荘一・三浦アンナ記念学術奨励金」は、故辻荘一名誉教授(音楽史)および故三浦アンナ教授(美術史)のキリスト教芸術研究上の功績を記念し、キリスト教音楽またはキリスト教芸術領域の研究者を奨励するため、1988年に設置されました。

「音楽史」部門および「美術史」部門の研究者に対し1年ごとに交互に授与されますが、本年度は「音楽史」部門が対象となります。


【授与式】
日 時  2022年1月29日(土)11時から
場 所  立教学院諸聖徒礼拝堂(池袋キャンパスチャペル)

※本年度は新型コロナウイルス感染拡大の状況に鑑みてレセプションは開催いたしません。
選考理由
【選考理由】
坂本日菜氏は、日本のキリスト教音楽界において、聖歌、ミサ曲、レクイエムといった幅広い分野の作曲と演奏を手がける音楽家であり、現代の教会活動に多大な貢献を果たしてきた。坂本氏の創作は、過去の偉大なキリスト教音楽作品の深い理解と研究にもとづいたもので、代表作の一つである《太平洋戦争犠牲者のためのレクイエム》(2016年初演)は、ルネサンス期以降の各時代の作曲家たちが残した、ラテン語によるレクイエムを今日的価値観のもとで深く再解釈した作品である。そこでは、従来のラテン語による公式典礼文を基調としながら、各楽曲の合間に日本語の追悼詩を挿入し融合させることで、戦争の犠牲者に捧げられた独特な音楽世界を、ソプラノ独唱、混声合唱、トランペット、マリンバ、ハープ、オルガン、朗読の編成によって生み出している。

本作は、以下の5部構成「救いを求める祈り」「破壊と試練」「曙」「許しと招き」「主とともに、永遠の安息へ」による全16曲からなり、第3曲〈怒りの日 Dies irae〉では、1941年に日本軍がアメリカ合衆国との太平洋戦争勃発時に発信したモールス信号「トラ・トラ・トラ」がオルガンの音によって鳴り響き、不気味に始まる。「最後の審判」という伝統的な主題が、モールス信号の無機質な音を介して、現代的な出来事に直接的に結びつけられ、やがて最後には「S・O・S」の信号へと変化していくことで、日本人の戦争体験は神の審判という神学的な視野の中に立ち現れる。同じく第6曲〈思い出したまえ、慈悲深きイエスよ Recordare Jesu pie〉は、オルガンによるバッハのコラール前奏曲《おお人よ、汝の罪の大いなるを嘆け O Mensch, bewein dein Sünde gross》(BWV 622)に、合唱とソプラノ独唱を重ね合わせ、叫びのような祈りで曲を結ぶ書法により、伝統的な教会音楽に新たな息吹を吹き込んでいる。

こうした独創的な活動に加えて、『日本聖公会 聖歌集』(日本聖公会管区事務所刊、2006年)や『日本聖公会聖歌集による聖歌伴奏・アレンジ集』(立教大学教会音楽研究所刊、2013年~継続中)に数々の聖歌とミサ曲およびそのアレンジ作品を発表し、日本聖公会の音楽を通じた宣教、信仰生活の向上にも貢献してきた。
 2021年現在で総数67点にわたる坂本氏の作曲活動は多岐に渡り、その他の宗教作品として、グレゴリオ聖歌を軸に復活の朝のマグダラのマリアに起こった心の動揺を描く最新作《黎明》(オルガン独奏曲)は、2021年7月にスイス、ローザンヌのサン・フランソワ改革派教会にて初演され、2022年7月には、アメリカ・オーガニスト・ギルド全国大会(於シアトル)からの委嘱作品《玉響 TAMAYURA The Orbs Encircling Me in Heaven》(マリンバ、オルガン)の現地での初演が決定するなど、国際的な舞台での活躍も今後さらに期待される。

以上の理由により、坂本日菜氏を第34回「辻荘一・三浦アンナ記念学術奨励金」の受賞者に決定した。

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