2019/09/05 (THU)

現代心理学部の川越敏和助教らによる研究論文が『Human Brain Mapping』に掲載
~「何も考えていない」ときの神経相関を同定~

キーワード:研究活動

OBJECTIVE.

現代心理学部の川越敏和助教は島根大学医学部の小野田慶一講師、山口修平教授と共同で、「何も考えていない」こころの状態が意図的につくり出せること、またその際に特徴的な脳活動パターンが生じていることを発見し、その成果を「Human Brain Mapping」誌に報告しました。

論文概要

マインドブランキング (MB) とは、「何も考えていない」こころの状態で、頻度は少ないですが日常生活において確実に存在する現象です。ぼーっといろいろなことを考える「マインドワンダリング」とは独立した心理現象であることが報告されています。MBは発生頻度の低さから、調査が難しいとされてきました。

今回の研究では、実験参加者に対して「できるだけ何も考えないように」という教示を与えることでMBの生起率が増えることを見出し、MB中には言語を司るブローカ野と、記憶に関わりマインドワンダリングの責任領域の1つである海馬の活動が減少していることを発見しました。

この結果はMBにおいて内的な言語生成 (内言) が行われていない可能性を示唆し、こころが「無言」になることで「何も考えてない状態」がつくり出される、あるいは本人がそう認識することが明らかになりました。展望としては、例えばうつ病における反芻思考の抑制などにMBが応用できる可能性が挙げられます。

掲載情報

 タイトル

The neural correlates of “mind blanking”: When the mind goes away

 著者 Toshikazu Kawagoe, Keiichi Onoda, Shuhei Yamaguchi
 誌名 Human Brain Mapping

お使いのブラウザ「Internet Explorer」は閲覧推奨環境ではありません。
ウェブサイトが正しく表示されない、動作しない等の現象が起こる場合がありますのであらかじめご了承ください。
ChromeまたはEdgeブラウザのご利用をおすすめいたします。