2019/02/05 (TUE)

現代心理学部の川越敏和助教らによる研究論文が『Neuroimage: Clinical』に掲載
~主観的物忘れに関わる可能性のある脳活動を発見~

キーワード:研究活動

OBJECTIVE.

現代心理学部の川越敏和助教と島根大学医学部の小野田慶一講師、山口修平教授は、島根大学医学部神経内科が管理するデータベースを用いて主観的物忘れ(Subjective Memory Complaints; SMC)と安静時の脳活動・脳容量との関連を調査し、認知症超初期に関わる機能的・構造的に重要な脳部位を同定することを目指しました。この研究論文が『Neuroimage: Clinical』に掲載されました。

論文概要

主観的物忘れ (Subjective Memory Complaints: SMC) は、高齢者において多く見られる状態であり、例えば約束の期限を忘れる、探しものをしていて何を探していたか忘れる、など日常生活における自分で感じる認知機能の低下を指します。SMCはアルツハイマー型認知症の超初期段階とも言われていますが、SMCと脳との関連についてはまだよくわかっていません。

現代心理学部の川越敏和助教と島根大学医学部内科学第三講座の小野田慶一講師、山口修平教授は、島根大学医学部神経内科が管理するデータベースを用いてSMCと安静時の脳活動・脳容量との関連を調査し、認知症超初期に関わる機能的に重要な脳部位を同定することを目指しました。

仮説に依存しないデータ駆動型の解析を行なったところ、SMCが強い高齢者は脳の後頭・頭頂葉内の機能的結合が高いことがわかりました。これは、低下した何れかの脳部位の機能を補うための補償的な変化であると推測されます。一方で脳構造データからはSMCとの関連は見出されず、脳機能、すなわち脳活動の変化が、脳構造の変化よりも先に起きることを示しました。本成果は認知機能低下の超初期段階の検出につながるものだと考えられます。

また、本研究での補足的な縦断解析では、SMCが高い高齢者は現在の認知機能は低下していないが数年後の認知機能は低下することも明らかになっており、SMCについて理解を深める興味深い研究であると考えられます。

掲載情報

 タイトル

Subjective memory complaints are associated with altered resting-state functional connectivity but not structural atrophy.

 著者 Kawagoe T, Onoda K, Yamaguchi S.
 誌名 Neuroimage: Clinical