2017/10/13 (FRI)

長谷川修一文学部准教授と天理大学を中心とする「テル・レヘシュ発掘調査団」、初期シナゴーグの全容を明らかにする! ~テル・レヘシュ遺跡第11次発掘調査の結果~

キーワード:研究活動

OBJECTIVE.

長谷川修一文学部准教授と天理大学を中心とする「テル・レヘシュ発掘調査団」(団長:桑原久男天理大学教授、副団長:長谷川修一立教大学准教授)が、去る10月2日、天理大学で記者会見を行い、今夏のテル・レヘシュ遺跡第11次発掘調査の詳細を発表しました。

初期シナゴーグ跡の全景

10月2日に天理大学で行われた記者会見では、2016年にイスラエル北部のテル・レヘシュ遺跡で見つかった「初期シナゴーグ*」の追跡調査について報告されました。
第11次発掘調査では、遺跡発掘に加えてドローンで撮影した画像を基に遺跡の3Dモデルも作成され、「初期シナゴーグ」の全体像がより詳細に判明しました。部屋内部に切り石のベンチが四方に並ぶなど、ユダヤ教の律法を学ぶ場所であった特徴を持っています。
イスラエルでの「初期シナゴーグ」の発見は今回が8例目、「初期シナゴーグ」の構造や特徴を論じる上で貴重な調査結果になりました。
*) ユダヤ教徒が律法を学ぶための会堂

テル・レヘシュの位置

テル・レヘシュの頂部(アクロポリス)の発掘調査区

初期シナゴーグ跡全景(ドローン撮影)

本研究は日本学術振興会科学研究費助成事業(JSPS科研費 JP15H05165、15KK0061、17H01640、17H04527)の助成を受けたものです。 リサーチ・イニシアティブセンター(池袋キャンパス12号館2階)では、今回の発掘調査に関する成果を展示しています。こちらもぜひ、ご覧ください。また、長谷川修一准教授が、2017年3月8日にコレージュ・ド・フランス(パリ)で行なった聖書考古学に関する講演の様子(フランス語)を、下段のリンクからご覧いただけます。

テル・レヘシュ発掘調査結果の展示

長谷川修一先生によるコメント

立教大学文学部キリスト教学科准教授
長谷川 修一

イスラエル北部でのテル・レヘシュでの調査は、天理大学と共同で2006年より実施してきました。昨年のシナゴーグ(ユダヤ教徒が律法を学ぶための会堂)とみられる建物跡の発見を受け、今年8月に再度現地調査を行い、その全容が明らかになりました。
シナゴーグ跡は南北8.5メートル、東西9.3メートルの長方形で石組の壁があったとみられ、壁際にベンチ代わりの切り石が並んでいます。西暦70年にローマ帝国がエルサレム神殿を破壊してからシナゴーグは宗教的な意味合いが強まり、入り口をエルサレムに向けて作られるようになったため、今回発見されたシナゴーグの入り口が北向き(エルサレムとは逆方向)であることは、これが神殿破壊前のものであることを示しています。
今回、初期シナゴーグの全容が明らかになるとともに、ユダヤ教が形成される重要な時期に、小さな集落においても、ユダヤ教の律法を現実の生活レベルで重要視し、実践しようしていたことが明らかとなりました。
また、イエスが活動していたナザレからも近く、イエス・キリストが立ち寄った可能性も考えられます。

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