OBJECTIVE.
内閣府 総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の野地博行プログラム・マネージャーの研究開発プログラムの一環として、立教大学の末次正幸准教授らは、バクテリアゲノム複製サイクルの繰り返しを試験管内に再構成することに初めて成功しました。
ポイント
- 大腸菌ゲノム複製のサイクルを25種のタンパク質により世界で初めて試験管内で再構成
- 等温で自律的に複製サイクルが繰り返し、20万塩基対を超える長鎖環状DNAを指数増幅
- 本技術により、これまで大腸菌を用いていたDNAクローニングを無細胞で簡便に行うことが可能に。
研究の概要
図1 複製サイクル再構成系
内閣府 総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の野地博行プログラム・マネージャーの研究開発プログラムの一環として、立教大学の末次正幸准教授(元 JST戦略的創造研究推進事業 さきがけ 研究員(兼任))らは、バクテリアゲノム複製サイクルの繰り返しを試験管内に再構成することに初めて成功しました。
構築した複製サイクル再構成系は、複製開始配列を持つ長鎖環状DNA1分子からの指数増幅を導くものでした。従来、長鎖DNAのクローニングには大腸菌細胞を宿主としたDNA組換え操作が必要でしたが、本技術により、数時間の等温反応のみで、20万塩基対(遺伝子200個程度)を超える長鎖DNAを正確に試験管内増幅する事ができるようになりました。この成果は、ゲノム複製のメカニズム解明につながるだけでなく、ゲノムレベルの長鎖DNAを人工合成するための次世代遺伝子工学ツールとしての利用が期待されます。
構築した複製サイクル再構成系は、複製開始配列を持つ長鎖環状DNA1分子からの指数増幅を導くものでした。従来、長鎖DNAのクローニングには大腸菌細胞を宿主としたDNA組換え操作が必要でしたが、本技術により、数時間の等温反応のみで、20万塩基対(遺伝子200個程度)を超える長鎖DNAを正確に試験管内増幅する事ができるようになりました。この成果は、ゲノム複製のメカニズム解明につながるだけでなく、ゲノムレベルの長鎖DNAを人工合成するための次世代遺伝子工学ツールとしての利用が期待されます。
本研究は、2017年9月28日17時(日本時間)に英国の科学雑誌『Nucleic Acids Research』オンライン速報版に掲載されました。
図2 複製サイクル再構成系における環状DNA分子の指数増幅
図3 無細胞クローニング