2015/12/01 (TUE)

理学部物理学科の立花隆行助教が2015年度日本陽電子科学会奨励賞を受賞

キーワード:研究活動

OBJECTIVE.

理学部物理学科の立花隆行助教が、「陽電子消滅誘起イオン脱離の研究」により、2015年度日本陽電子科学会奨励賞を受賞しました。

日本陽電子科学会は、陽電子に関する物理、化学、生物およびその他の分野、ならびに陽電子の応用に携わる研究者・技術者相互の連絡をはかり、陽電子の科学や利用技術の発展に寄与することを目的として2009年に設立されました。

日本陽電子科学会奨励賞は、将来陽電子科学の分野で活躍することが期待される研究者を奨励することを目的として、2年に一度授与されます。

立花隆行助教(左)と白井泰治日本陽電子科学会会長(右)

コメント

COMMENT

理学部物理学科
立花隆行 助教

このたびは2015年度日本陽電子科学会奨励賞を賜り、大変光栄であるとともに身の引き締まる思いです。これまで研究をサポートしてくださいました、東京理科大学長嶋泰之教授、立教大学平山孝人教授、および共同研究者の方々にこの場をお借りして御礼申し上げます。

物質を構成する粒子には、「反粒子」が存在します。例えば、負の電荷を持つ電子の反粒子に対しては、正の電荷を持つ「陽電子」が存在します。陽電子は、電子と出合うと一緒に消滅(対消滅)して2本のガンマ線になるという面白い性質をもっています。この性質は、がん検診の際に用いられるPET(Positron Emission Tomography)という検査法にも利用されています。受賞理由となった研究では、陽電子ビームを物質に照射すると、対消滅の結果として物質の表面を構成している原子が取り除かれる(脱離する)ことを明らかにしました。さらに、物質中にある陽電子は自身で居心地のよい場所を選んだ後に対消滅することから、脱離する原子種に選択性があることなども分かってきました。このような陽電子の「好き嫌い」を利用すれば、材料となる物質の表面から特定の原子種のみを取り除くことで、その物質に新たな機能や性質を付与することが可能になるかもしれません。

今回の受賞を励みにして、陽電子科学の発展のためにより一層研究に励んでいく所存です。そして多くの方に興味を持っていただける研究ができればと考えています。

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