OBJECTIVE.
理学部物理学科の内山泰伸准教授らによる「宇宙線の起源」に関する研究成果が、米国「Science」誌の「ブレークスルー・オブ・ザ・イヤー2013」の次点(Runners Up)に選出されました。
「Science」誌では毎年画期的な科学的成果の中から「ブレークスルー・オブ・ザ・イヤー」が1件選出され、それと同時に9件が次点として紹介されます。内山准教授らによる「宇宙線の起源」に関する研究成果は、「ブレークスルー・オブ・ザ・イヤー2013」として選出された「がんの免疫療法」に次ぐ業績として位置づけられました。
今回の選出に最も重要な役割を果たした研究論文は、「Science」2013年2月15日発行号に掲載された "Detection of the Characteristic Pion-Decay Signature in Supernova Remnants" です。
宇宙線の起源は、100年にわたって追求されてきた未解決の問題です。(一次)宇宙線の大部分は、銀河系内の超新星の爆発に由来するのではないかと考えられてきましたが、観測的な裏付けはありませんでした。近年の研究により、超新星残骸の衝撃波によって、高エネルギー電子が加速されることが分かってきましたが、宇宙線の主成分である高エネルギー陽子の加速については、直接的な証拠は得られていませんでした。
内山准教授らによる共同研究グループは、フェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡を用いた観測によって、宇宙線陽子が超新星残骸で生成することの決定的な証拠を発見しました。この成果は、フェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡のイベント再構成法の改良や較正の精度向上などが進んだことで、はじめて可能となりました。
研究内容に関する詳細は、内山准教授のホームページにも掲載されていますので、ぜひご覧ください。