公開講演会「地球科学と近代文学が物語るアイスランド」
INFORMATION
火山と氷河の国として知られるアイスランドは、千年前のヴァイキング時代に定住が始まって以来、独自の地域特性を積み重ねてきた。それは、大西洋中央海嶺の上に誕生することで獲得した特異な自然環境と、ヴァイキング以来の歴史的記憶とアイスランド語が生み出してきた文化蓄積が、相乗効果をもたらした結果でもある。
そのようなアイスランドは、そうした地域特性ゆえに、近代においてさまざまな分野の探究者を引きつけてきた。従来、欧米においても日本においても、中世アイスランドで編纂されたエッダやサガといった中世文学やそこから引き出される中世社会の研究が、アイスランドを理解する大きな手がかりを提供していたが、この島嶼を理解する術は、そうした過去だけではない。今進行しつつある火山活動や気候変動を明らかにしようとする地球科学や、アイスランドの魅力に取り憑かれた近代の著述家を分析する文学研究も、等しくアイスランド研究の可能性を引き出すはずである。
本講演では、以上のような観点に基づき、地球科学ならびに近代文学の専門家を招聘する。講演1では、近年精力的にアイスランドの地理・地質情報を発信している星教授が、地質学観点からの報告を行う。講演2では、ジュール・ヴェルヌ研究の第一人者である本学石橋教授が、『地底旅行』などに見えるヴェルヌのアイスランドへの視線に関する報告を試みる。最後のディスカッションでは、19世紀という科学の時代を経て長足の進歩を遂げたそれぞれのディシプリンについて議論するとともに、文理の研究が協働する可能性などについて考察を深める機会としたい。
講師
愛知教育大学自然科学系教授
星 博幸(ほし ひろゆき) 氏
博士(理学、東北大学)。専門は地質学・地質学史・地質学教育、アイスランドの地質と古地磁気など。共著に、高橋美野梨・中丸禎子・小澤実編『アイスランド・グリーンランド・北極を知るための67章』(明石書店、近刊);論文に、「「上・下」と地層の「上位・下位」の区別:地層累重の法則の適正な説明に向けた提案」『地学教育』79-1(2026)他多数。
本学観光学部教授
石橋 正孝(いしばし まさたか)
PhD(パリ第8大学)。専門はフランス近代文学。著書に、『大西巨人闘争する秘密』(左右社、2010);『「異異の旅」または出版をめぐる冒険—ジュール・ヴェルヌとピエール=ジュール・エッツェル』(左右社、2013)他多数。
本学文学部史学科世界史学専修教授
小澤 実(おざわ みのる)
講師、司会
東海大学文化社会学部准教授
上倉 あゆ子(あげくら あゆこ) 氏
修士(言語文化学、大阪外国語大学)。共著に、『スウェーデンを知るための64章【第2版】』(明石書店、2024);『北欧文化事典』(丸善出版、2017)他。
詳細情報
名称
内容
15:00~15:10 導入:小澤実
15:10~16:00 講演1「アイスランドの地質学的記録は何を物語るか」:星博幸氏
16:00~16:10 休憩
16:10~17:00 講演2「ジュール・ヴェルヌとアイスランド」:石橋正孝
17:00~17:30 ディスカッション:全員