公開講演会「情報アクセシビリティと図書館の役割」
INFORMATION
河村宏氏は図書館に勤めて、しょうがいのある同僚、しょうがいのある利用者と出会ってからほぼ50年が経ったという。このご講演ではまず、国際標準規格DAISYの開発を進めたことをはじめとして、河村氏のこれまでの軌跡を振り返っていただく。そして、これから取り組みたいと考えておられるという、情報アクセシビリティに関する国際的な共同研究開発計画をご紹介いただく。図書館サービス、しょうがい者の人権、著作権、インターネット、電子出版、国際連携そしてAIのすべてが、しょうがい者を含むすべての人の情報アクセスに深く関係する。私たち図書館に関わる者たちは、特に現代社会で強く求められる情報アクセスのユニバーサルデザイン化にどう関わっていくか、河村氏と共に考える。
講師
国際DAISYコンソーシアム理事
河村 宏 氏
河村宏氏は、東京大学附属図書館在職中に、それまで支援をしてきたキャンパス内外のしょうがいがある学生諸氏の将来の支援に必要な、デジタル録音図書の国際標準規格の開発を提唱された。そのために、1996年、国際DAISYコンソーシアムの設立に参画。理事および会長(2008-2011)として、今日までDAISY規格およびアクセシブルなEPUB規格の国際共同開発と普及に努めてこられた。DAISY(Digital Accessible Information SYstem)から始まった、アクセシブルな電子出版技術の国際共同開発は、河村氏らの活動によって今日までに大きく進み、電子出版の普及と共に世界的に出版者を巻き込むものになった。2018年に国会が承認し、翌年に日本でも効力発効となった、視覚しょうがい者等による著作物の利用機会促進マラケシュ条約の実施を進める新しい技術的条件は整っていると言える。
一方で、同音異義語を正確に読まなければならない日本語の特性と格闘してきた日本、ひいては河村氏の経験は、合成音声による読み上げでは十分に目的を達成できない分野(少数派言語の作品や正確な読みを必要とする教科書等)のアクセシブルな電子出版物の製作技術開発や、アラビア語圏や先住民族語で暮らす人々が多い国々で特に求められている。河村氏はエジプトやエクアドルでこの支援プロジェクトを先導された。現在、河村氏はEPUB文書(電子書籍の標準ファイル形式)に必要に応じて手話や動画をテキストに同期して追加できるようにする国際共同研究開発を計画しておられる。
河村氏は2017年、DAISYの開発・普及に貢献したことに対して、第54回点字毎日文化賞(毎日新聞社)を授与された。