公開セミナー「AI時代のアーカイブズ評価——情報の大海をスマートに渡るには」

INFORMATION

  • 2026年4月3日(金)14:30~16:00
  • オンライン開催

アーキビストの様々な業務のなかで、最も難しいのはアーカイブズの評価だと言われている。公文書であれ、大学や市民社会組織の運営記録であれ、保存すると決めた記録は後世に残るが、廃棄と判断したものは取り戻せない。この不可逆性が、アーキビストの判断を難しくしているのである。

「技術的には全部保存できるのでは」と考える人も多いだろう。しかし、デジタル記録の真正性を損なわずに保存できる機能を備えたストレージは高価なことから、何を残すべきかを評価・選別しないわけにはいかない。適切に保存されず、記録の真正性が失われれば、証拠としても歴史資料としても無価値なデータを抱えこむことになる。保存量が増えるほど、管理の手間は増え、情報漏洩のリスクも高まる。アーカイブズ学が、記録を評価し、保存すべきものだけを保存するための議論を継続しているのはそのためなのである。

そこでこのセミナーでは、近年アーカイブズ評価の分野で国際的なリーダーシップを見せるバスマ・マフルーフ・スハーブー(Basma Makhlouf Shabou)氏をお招きし、AI時代における最先端の知見をご紹介いただく。

アーカイブズ評価に関する考え方は、この30年間に劇的に変化した。従来の「仕事の現場で生まれた記録を、アーカイブズ機関に移管すべきか廃棄すべきかを決める」ことから、「仕事の現場でいかなる文書を作成し、記録として管理体系に取り込み、管理の経過を監査したうえで処分を判断する」包括的な過程としてとらえられるようになったのである。これは官庁、企業、大学、NGOなど、どんな仕事の現場、どんな業務の記録にも適用すべき考え方であり、技術革新により日々生み出される情報の海に誰もが溺れている今こそ、記録をめぐる賢明な判断が求められているのである。

本セミナーが、アーカイブズ評価を通じ、将来必要となる記録をいかに絞り込むかという課題に対する先端技術を用いたアプローチを学び、より「賢い=スマートな」アーカイブズ評価を、様々な技術を活用しながらどう実務に取り込んでいくかを考えるための契機となることを願う。

講師

西スイス応用科学芸術大学(HES-SO, Haute école spécialisée de Suisse occidentale)、経営大学院ジュネーブ校(HEG, Haute École de Gestion de Genève)教授・情報科学専攻修士課程主任
バスマ・マフルーフ・スハーブー(Basma Makhlouf Shabou) 氏

専門は計算論的アーカイブズ学(Computational Archival Science)、自動評価選別(Automated Appraisal)、デジタル保存、情報ガバナンス評価など多岐にわたる。2010年にモントリオール大学で博士号(情報学)を取得。自治体などの公的機関や国際組織(国際赤十字委員会(ICRC)、世界貿易機関(WTO)、国際社会事業団(ISS)、Enfants du Monde)などと幅広く協働するほか、仏語圏スイス初のアーカイブズ学研究所であるArchiLabを率い、アーカイブズ評価とAIアプリケーション(InterPARES AI)、研究データ・ライフサイクル管理(DLCM/OLOS)などの先進的研究や、アーカイブズ機関のマッピング(Open Map for Archives Network in Africa, CORAA)などのプロジェクトに取り組んでいる。
デジタル保存賞(2020年)、フランス芸術文化勲章シュバリエ(2021年)などを受章し、2022年にはアフリカを代表するアーカイブズ専門家のランキング(トップ8)の第1位に選出。ヨーロッパ、アジア、アフリカの多様な制度環境で、情報ガバナンス方針策定、成熟度評価実施、アーカイブズ管理の枠組み構築などに関する豊富な実績を有する。

詳細情報

名称

公開セミナー「AI時代のアーカイブズ評価——情報の大海をスマートに渡るには」

対象者

本学学生、教職員、校友、一般

申し込み

  • 事前申し込み 必要
  • 参加費 無料

【定員】
80名

以下のWebサイトよりお申込みください。

主催

共生社会研究センター

共催

日本学術振興会科学研究費・国際共同研究加速基金(海外連携研究)「アーカイブズ評価自動化のためのAIツールの概念実証」24KK0006研究代表者:橋本陽氏(京都大学、大学文書館、特定助教)

後援

全国歴史資料保存利用機関連絡協議会

お問い合わせ

共生社会研究センター

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