公開講演会「対話するケアを求めて~つながりとALS」
INFORMATION
ドキュメンタリー映画『杳(はる)かなる』の上映とシンポジウムを通して、多様化するケアの現場の中での対話とつながりの意味と可能性を考える。
SNSの普及により、私たちは広範囲の他者とのつながりを得たように見える一方で、人間関係の希薄化や孤独感、社会の分断が深刻な問題となっている。そもそも他者とのつながりの基盤にある「コミュニケーション」とは何か。
映画『杳かなる』は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の日常に密着したドキュメンタリーである。進行性の難病であるALSは、話すことも呼吸することも徐々に困難になっていくため、生きていくためには「他者」によるケアが不可欠であり、そのコミュニケーションの方法は、やがて、口頭言語から目の動きや表情の微細な差異の読み取りへと、刻々と変化していく。そこには、情報を伝達するための手段を超えて、互いに感受し合い影響を与え合う深く本質的な「対話」が立ち上がってくる。では、そうした「対話」は、どのようにして可能となるのか。映画鑑賞後に、立場の異なる三者によるトークやシンポジウム、そして来場者からの質疑・発言を通して、その可能性を明らかにする。
講師、パネリスト
映画「杳かなる」監督、映像作家
宍戸 大裕 氏
学生時代、東京の自然豊かな山、高尾山へのトンネル開発とそれに反対する地元の人びとを描いたドキュメンタリー映画『高尾山二十四年目の記憶』(2008年)をつくり、映像制作をはじめる。劇場公開した監督作に、東日本大震災で被災した動物たちと人びとの1年8カ月を見つめた「犬と猫と人間と2 動物たちの大震災」(2013年公開)、人工呼吸器を使いながら地域で生活する人を爽やかに描いた「風は生きよという」(16年公開)、自閉症と知的障害のある人が介助者と地域で暮らすさまを映しだす「道草」(19年公開)がある。3年半をかけて制作した「杳かなる」が25年に公開される。クマと人が棲み分けながら生きられる世界を模索する映画の制作のため、東京と岩手の2拠点で暮らす。
本学社会デザイン研究所研究員、大学院社会デザイン研究科兼任講師、ライター、東京都世田谷区生涯大学講師
星野 哲
元朝日新聞記者。墓や葬儀の変化に関心を持って以降、終活関連全般、ライフエンディングに関する分野の取材、研究を続けている。サイト「集活ラボ」を運営。著書に『遺贈寄付 最期のお金の活かし方』(幻冬舎)、『「定年後」はお寺が居場所』(集英社新書)、『終活難民 あなたは誰に送ってもらえますか』(平凡社新書)、『人生を輝かせるお金の使い方 遺贈寄付という選択』(日本法令)、『迷惑かけてありがとう 終活から集活へ』(春秋社)など多数。
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本学大学院社会デザイン研究科教授、文学部文学科文芸・思想専修教授
大熊 玄
詳細情報
名称
内容
・挨拶、趣旨説明
・映画上映(124分)
・監督によるトーク
・コメントと問題提起
・シンポジウム