公開シンポジウム「可能性としてのベ平連—地域の運動経験からいま、何を受けとるか」

INFORMATION

  • 2025年11月29日(土)13:30~17:30
  • 池袋キャンパス 14号館3階 D301教室

今年2025年は「戦後80年」であるとともに、ベトナム戦争終結50年の節目でもある。ベトナム戦争は「戦後」の日本の政治や経済がアジアでの戦争とさまざまなかたちで結びついていることを浮き彫りにした出来事だった。自らを含む日本社会がベトナムでの殺戮や破壊を支えていることへの怒りが共有され、さまざまな反戦運動が広がっていった。日本のベトナム反戦運動を牽引した「ベトナムに平和を!市民連合」(ベ平連)は1965年に東京で結成されて、本年はその結成から60年目となる。

ベ平連は中央・支部からなる上意下達式の組織形態をとらず、規約や綱領もつくらず、参加した誰もが「ベ平連」を名乗ることができる、人びとの自発的な参加を重視する運動だった。そのため、400近くものベ平連が日本各地につくられ、多様な運動を展開した。しかし、これまで「ベ平連」といえば「東京のベ平連」が紹介されることが多く、各地域に生まれた「地域ベ平連」の豊かな運動に注目が集まることはほとんどなかった。

本シンポジウムは「地域ベ平連」のさまざまな運動の姿を明らかにした『可能性としてのベ平連——地域の運動経験と未完の記憶』(市橋秀夫・大野光明・平井一臣編、ミネルヴァ書房、10月予定)刊行を記念して、研究者とベ平連に携わった方々の対話を通してベ平連とその各地域での多様な展開、当事者の反戦運動やベトナム戦争以降の経験などを広く共有することを目的とする。ウクライナ戦争やパレスチナでのジェノサイドが止まることなくつづき、また、日本社会が急激に軍事化されている状況のなかで、わたしたちのこれからの社会や運動のあり方、自らの生き方を考えるために「地域ベ平連」を再検討したい。

登壇者

鹿児島大学名誉教授
平井 一臣(ひらい かずおみ) 氏

専門は日本政治史、日韓関係。べ平連事務局長・吉川勇一氏資料との出会いをきっかけにべ平連研究、とくに地域べ平連の研究に着手。2020年に有志舎から『べ平連とその時代—身ぶりとしての政治—』を出版。近年は、日本と韓国の社会運動の関係史を中心に研究を進めている。『可能性としてのベ平連』共編者。

作家
吉岡 忍(よしおか しのぶ) 氏

1948年長野県生まれ。早稲田大学在学中にベトナム反戦運動に参加、殺すなバッジ制作、脱走兵支援、フォークゲリラを行う。ノンフィクション『墜落の夏』(講談社ノンフィクション賞)『日本人ごっこ』『鏡の国のクーデター』『M/世界の、憂鬱な先端』、小説『月のナイフ』などの著作のほか、テレビ番組でアフガン戦争や阪神・淡路、東日本等の災害を報道。

元長崎ベ平連
八田 紀代子(はった きよこ) 氏

1968年1月末に結成された長崎ベ平連の活動に結成当初から関わり自宅を長崎ベ平連の事務局とする。現在まで長崎ベ平連の仲間たちとの交流を継続。

独立行政法人日本学術振興会特別研究員-PD(本学)、津田塾大学非常勤講師
港 那央(みなと なお) 氏

東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程修了、博士(学術)。博士前期課程在籍時より長崎ベ平連の研究を始め、現在もオーラル・ヒストリーの実践によるベ平連研究を継続。『可能性としてのベ平連』執筆者。

元福岡ベ平連
鷲野 正和(わしの まさかず) 氏

高校3年の時に「一人べ平連」を始め、福岡で行われていた「十の日デモ」に参加し福岡のベ平連と出会う。岩国市の反戦喫茶「ほびっと」設立・運営にも参加。

埼玉大学教員
市橋 秀夫(いちはし ひでお) 氏

専門はイギリス近現代社会史。埼玉大学に所蔵されていた地域ベ平連資料(現在本学共生社会研究センター所蔵)と出会い、福岡の十の日デモやベ平連参加者のオーラル・ヒストリーと文字史料を蒐集している。『可能性としてのベ平連』共編者。

詳細情報

名称

公開シンポジウム「可能性としてのベ平連—地域の運動経験からいま、何を受けとるか」

対象者

本学学生、教職員、校友、一般

申し込み

  • 事前申し込み 不要
  • 参加費 無料

主催

地域ベ平連研究会

共催

共生社会研究センター、科学研究費補助金・基盤研究(C)「ベトナム反戦運動と市民社会ネットワーク形成についての研究」(22K01873)、滋賀県立大学大野光明研究室

お問い合わせ

共生社会研究センター

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