2025年度 秋季人権週間プログラム「ヤングケアラー:子どもや若者がケアを担うということ」(「立教大学ヒューマン・ディグニティ宣言」コラボレーション企画)
INFORMATION
本学では2021年4月に「立教大学ヒューマン・ディグニティ宣言」を公表し、本学のすべての学生・教員・職員が協働して「人間の尊厳」を大切にする働きに具体的に取り組むことを最重要課題とした。そこで今回のプログラムでは、ヤングケアラーについて取り上げる。
ヤングケアラーとは、家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者のことを指します。誰からのサポートも得られずに、重いケアを担う状態が数年間続くと、ヤングケアラーの学校生活や進路、友人関係、心身の健康にも、影響が出てきてしまうことがあります。しかし、子ども自身が自分の状況を「当たり前」と感じ、周囲も気づきにくいことから、ヤングケアラーのことは単なる「お手伝い」と捉えられ、近年まで、その状況や影響に注目されることはありませんでした。子どもがケアを担う背景には、世帯人数の減少や共働き化など、家族のあり方がこれまでとは変わってきたにもかかわらず、「家族のことは家族で」と考える従来の日本社会の規範が関わっています。
講演では、ヤングケアラーの調査や支援づくりに関わってきた澁谷先生にお話し頂き、子どもの権利や社会全体で取り組んでいくことについて考えます。
成蹊大学文学部現代社会学科教授
澁谷 智子(しぶや ともこ) 氏
1974年生まれ。成蹊大学文学部現代社会学科教授。博士(学術)。
東京大学教養学部卒業後、ロンドン大学ゴールドスミス校大学院社会学部Communication, Culture and Society学科修士課程、東京大学大学院総合文化研究科修士課程・博士課程で学ぶ。日本学術振興会特別研究員、埼玉県立大学非常勤講師などを経て、現職。専門は社会学・比較文化研究。著書に『コーダの世界』(医学書院、2009年)、『ヤングケアラー——介護を担う子ども・若者の現実』(中公新書、2018年)、編書『ヤングケアラーわたしの語り——子どもや若者が経験した家族のケア・介護』(生活書院、2020年)、『ヤングケアラーってなんだろう』(ちくまプリマー新書、2022年)など。